天上の青〈上〉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101146287

感想・レビュー・書評

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  • 下のレビューしてた時のキリスト教で思い出したのでこちらも。
    最後まで解り合えない所が切ない。

  • 【(下)含む】曽野綾子はすごいなぁ。トゲトゲシイ犯罪描写の後に、最後は驚くほど穏やかな往復書簡の描写。そのギャップにやられました。もともと「上手い人だな」とは思っていたけれど、ラストシーンは震えがくるほどでした。


    「愛していてくれるなら、控訴はしない」……この一行はすごいですねぇ。重い、重い言葉です。
    宇野富士夫を他人事とは思えず、弟のことばかり考えてしまいます。母には読ませられない本です。

  • この小説の中の富士男は甘ったれで非常に自己中心的、その上ちょっとしたことが気に入らないというだけで人殺しをする、そんな人間である。良心の呵責もなく殺人を重ねる様はいかにも凶悪犯罪者だが、富士男に惨殺された人がいる一方、富士男との出会いによって自殺を留まった人も描かれていることにすごく意味がこめられていると思う。遺族が糾弾するのは当然だが、私は富士男逮捕後のマスコミや群衆に対して筆者から無言の批難を感じた。正義を声高に叫びつつ「殺人鬼」としてセンセーショナルに祭り上げるべきような完全悪など無いと思う。

    もう一人の主人公雪子がクリスチャンであるという設定なので聖書の一節として「人を裁いてはいけない」という言葉が出てくる。これは人の罪は法律によって現世で裁けるものだが、道徳の罪は人は裁くことはできないから神に任せよという意味らしい。どこからが神の領域なのか、私にはクリスチャンの方がどのようにこの部分を現実世界に適応しているのかがよくわからなかった。
    清らかでどんな人間のことも憎むことがない雪子を通して、どんなに体に肉体的に傷めつけられようが、心だけは誰にも汚すことができない、ということ、そして死刑は犯人の存在を社会から消し去ってしまうが、被害者・加害者を巡る人々の思いは同時に一瞬で消去されるものではないということが心に残った。

  • おっとり癒し系の主人公・雪子さんと、
    頭のおかしい殺人鬼・富士夫のラブストーリー。

    富士夫がむかつきます。
    でも面白いです。
    雪子さんが富士夫のやっていることにいつどのように気がつくのか、富士夫は結局悔悛するのか、気になって下巻まで一気読みでした。

    曽野綾子さんの本には思い切りのよい倫理観があって好きです。

  • 文庫で上下巻所有。曽野先生の小説で一番好き。大人になってから久々に読み返して、はじめて雪子さんの想いがちゃんと理解できたような気がしました。ただの犯罪小説ではない、崇高な魂の物語。

  •  大久保清事件がモデル、人物の描き方がすごい

  • 高校の先生に教えてもらって、買ったらはまりました。
    それからというもの、テレビのニュースや事件にかなり敏感になり今や最も興味のある分野へとなってしまいました。

  • 何よりも秀逸なのは、このタイトル。
    高校の図書館で引き寄せられるように借りてしまった。

  • ここまでの話は結構面白かった

  • (Amazonレビュー引用です。)ある夏の朝、波多雪子は庭先を通りかかった一人の男と知り合った。庭に咲く朝顔の種を分けてほしい、と声をかけてきたその男は、やや投げやりな性格であったが、優しい一面も見せ、時おり訪れては話をするようになっていった。だが男には別の顔があった。自らを詩人と称して次次に女性を誘い、犯し、殺しては埋めるという冷酷な人間。雪子はまだ、その顔を知らなかった…。

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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