女龍王神功皇后 下巻 (新潮文庫 く 5-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101148069

感想・レビュー・書評

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  • 後の神功皇后の若き日、動乱の時代を描く後半。

    息長姫(オキナガヒメ)、後にはタラシ姫尊(ヒメノミコト)。
    力ある巫女だった姫は、神託に従い、タラシナカツヒコ王子との婚姻を受け入れる。
    だが巫女である姫にとって、平然と神の力を否定する王子はやはり好きになれない存在だった。

    倭の帝には跡継ぎがおらず、王族が相争う関係。
    タラシナカツヒコ王子はその争いで勝ち抜け、仲哀天皇となります。
    息長姫は、跡継ぎの皇子を授かるが、それは仲哀天皇が亡くなる時だった。

    仲哀天皇のもとに集まった豪族たちは、次第に息長姫への信頼に傾倒していく。それは建人の政治力も大きく影響していました。建人は武内宿祢と名を改めています。
    兵力はあっても、朝鮮半島への出兵を望む者と、九州の熊襲を征討すべきと望む者とがはげしく対立。
    息長姫はどちらにも期待を持たせながら、皆の前の託宣で大和へ向かうことを宣言する。
    そのカリスマ性で全軍を導くのだった…

    4世紀後半の九州に、神功皇后のモデルとなった女性は存在したのではないか。
    中国大陸や朝鮮半島との交流も踏まえ、伝承と起きたかもしれないことを解き明かしていきながら、いわばファンタジー歴史小説として盛り上げる。
    興味深く読みました。

    • しずくさん
      イイネをありがとうございました。
      sanaさんの本作のレビューを読んで思い当たりました。

      神功皇后の名前は山に登った折に、時々見知っ...
      イイネをありがとうございました。
      sanaさんの本作のレビューを読んで思い当たりました。

      神功皇后の名前は山に登った折に、時々見知っていたぐらいの私。
      住んでいる長崎市の東部にある山(標高約363メートル低山)に登った時のこと。山頂近くに古い鳥居があり、その先に大きな岩が天を衝いて聳えていました。”甑岩”の右側は崖で左側は切り立った石群なのですが、そこに書かれた説明書きに神功皇后の名前がありました。
      甑(こしき)岩と飯香(いか)の浦の地名は神功皇后に関係していました。神功皇后が三韓征伐でこの地を訪れ、皇后が三韓の見える高 いところはないかと訪ね、土地の人に案内されてこの岩の上に立ち、丁度、正午時になり、皇后が大岩で昼食 のご飯を焚かせた。その岩を甑岩(こしきいわ)と呼ぶようになる。”甑”(こしき)とは昔の人が穀物を蒸す時に用いた道具で円柱状の形をしていた。その香りが下の集落の浦に漂い、住民は「飯香の浦」と地名が名付けられた。ちなみに近くの枇杷の産地”茂木”(もぎ)は神功皇后が着替えた”裳着”からだとか・・・。
      福岡の大宰府あたりの低山でも見かけた記憶があります。

      神功皇后は興味あるキャラクター、いつか是非読んでみたいです!
      2022/06/17
    • sanaさん
      しずくさん、
      コメントありがとうございました。
      コメントの見方がわからなくなっていて、ずうっと気づかないまま‥ごめんなさい! 今さらです...
      しずくさん、
      コメントありがとうございました。
      コメントの見方がわからなくなっていて、ずうっと気づかないまま‥ごめんなさい! 今さらですが~
      長崎県の東部をご旅行なさった時に、甑(こしき)岩と飯香(いか)の浦の地名が?
      おお~神功皇后が見晴らしのいい土地で、そんなことがあったのですね。
      漢字も古風で趣ありますね。
      さらには、
      >近くの枇杷の産地”茂木”(もぎ)は神功皇后が着替えた”裳着”からだとか
      いろいろ事績から名前が残っているのですね。
      私は旅行することは少ないのですが、紀行番組など好きで。実際に行った方のお話は臨場感あって、こちらも想像を巡らせることができました。
      ありがとうございました~^^
      この作品も、面白いですよ。
      古代の、今とは違う感覚に思いを馳せながら、人間の原型のような荒々しさや熱も感じました^^
      2023/01/25
    • しずくさん
      sanaさん、コメントをありがとうございます!
      実は私もこのコメントを書いたことを疾うに忘れていました・・・。内容を読んで思い出した次第で...
      sanaさん、コメントをありがとうございます!
      実は私もこのコメントを書いたことを疾うに忘れていました・・・。内容を読んで思い出した次第です(汗)
      半年前のコメント返信を戴くとはなかなか乙な味わいがありますね。

      再度、あらためて神功皇后をググってみると、やはり興味ある御方と思います。ありがとうございました!
      2023/01/25
  • 後に神功皇后として古代日本に名を残した伝説上の人物である。

    今まで古代史に触れ、神功皇后について持っていたあたしの知識は
    卑弥呼のような強大な呪力を元に、群衆を統制し、新羅征伐をしたくらい。

    架空の人物とされているほど、伝承もさまざまで史料も少ない。
    そんな人物を史実に基づき、想像力をめぐらせ、
    こんな魅力的な作品を書くなんて黒岩せんせはほんと素晴らしい!
    最初から最後まで、どっぷりと黒岩ワールドに浸かれる珠玉の一作。

  • 全然難しくなく情景も頭に浮かびやすいのでラクによめた。しかも飽きることもない。

  • この時代のことは正直本当かどうか分からないけれど、そういうこともあったかも、と思わせる話だったと思います。
    神功皇后本人よりも参謀役の建人(タケル)の暗躍が目立っていましたが、そもそも(身分等が)上の人というのは勝手にいろいろと出来ないものでしょうから仕方ないかもしれません。

  •  2002年2月27日購入

  • 神話
    神功皇后

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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