- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152288
感想・レビュー・書評
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ニ巻目。良順はオランダ軍医・ポンぺと出会って医学を学び、長崎で医学伝習所を開講。付属病院建設のため東奔西走の日々を送る。医によって徳川幕府の階層社会に風穴を開けるダイナミックな展開が読んでいて心地いい。
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いよいよ三名そろい踏み。良順、伊之助の半生がここまでのところ半々ぐらいで語られてきていたわけだが、その中に関寛斎がめだって入り込んでくる。
本作を読み始めた頃はこの伊之助こそが後年の関寛斎かと勝手に思い込んでいたのだが、どうも「街道をゆく15巻 北海道の諸道」で触れられ、強烈な印象を残すある老医師とはその人となりにおいてこの幼少の伊之助のものとは一致せず、どこで豹変するのだろうかなどと想像をふくらませて読み進めていたが根本が間違っていた。関寛斎その人は上総の生まれの人で、その半生は九十九里浜や徳島を経て北海道に至るわけで出発点は佐渡ではない。ただこの二人が長崎で触れ合うことによって、伊之助、のちの司馬凌海、の後半生に新たな芽が吹き出す仕組みだった。まずい…、ますます目が離せない。
ここで逆ペアリング考を提案したい。「街道をゆく」作品中、前述の10巻「佐渡の道」、15巻「北海道の諸道」に加え、本作2巻、中盤あたりから登場する場面の予告編として17巻「島原・天草の諸道」に含まれる平戸のくだりを併せて、もしくは追って読まれるのをおすすめしたい。自分の場合はこれらを読むときに地図をみながら読むことを怠ったためいまだ地名への反応速度が遅いままであるが、それでも訪れたことのない場所への憧憬の度合いが激的に異なるのを感じている真っ最中故だから…である。` -
新選組と懇意にし、また幕府の海陸軍軍医総裁となった松本良順の軌跡を読みたいはずなのに、何故か3・4巻は読まなかった。今後読む予定。(2021.9.5)
※2009.7.23購入@ehon
売却済み -
長崎の地でポンペに師事した良順はオランダ式の病院を長崎に作ることにした。長崎奉行の岡部の力もあり見事完成し順天堂から学びにきていた舜海や関寛斎らと共に活動する。一方伊之助は一度読み聞きしたものは記憶するという類稀なる能力でポンペの講義を他の塾生に翻訳して伝えたりしていたが、人間関係に興味がなく他の塾生やポンペから毛嫌いされてしまい追い出される形で平戸へと旅立つ。そこで同じ塾生だった岡口等伝の娘と結婚することとなる。
オランダ式の病院を導入することによって日本の封建社会が覆され平等意識が民衆に芽生えるきっかけになったというのは驚きだった。 -
幕末。西洋医学を極めようと奮闘する医師を描く。幕藩体制という官僚組織の中で苦闘する松本良順と蘭医ポンペ。
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いつの時代も日本という国は無能なお役人さんに振り回されているんだなーと思ってしまった。全く主題から外れてはいるが。伊之助は今でいう発達障害なのかな。でもお勉強はズバ抜けてできる感じ、この人の様な類の人物も今の医学界にも沢山いるなとも思った。結局時代は変われど、社会は同じように回っているんだな。違うように見えても。
ポンペさんは、日本の近代医療の礎を築いたお方なのか。シーボルトの方は存じ上げていたが、これは盲点だった。 -
主人公は、良順なのか伊之助なのか。
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2022.8.10読了
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司馬遼太郎の小説は不思議な魅力がある。ときどき冗長な記述が延々と続くこともあれば、引き込まれるようにスイスイと読めることもある。この小説で、伊之助に関する記述は後者に属する。天才となんとかは紙一重というが、伊之助はまさにそんな人物だ。味噌汁の中に釣り針を入れられた件、ラシャで作った着物が腰までしかなかった件、佳代に私は寝ますと言った件などなど、どれも傑作だった。
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★評価は読了後に。
うーむ、伊之助の話、やっぱりあんまり面白くない。
このキャラクターとしてチョイスして調理できる素地をこの作家は持っていないと思う。良い悪いの話ではなく、この作家にはそういう話は向いていないし、また、誰もそれを求めてはいない。
別の作家が取り上げて描く人物のような気がするのは凡民の気のせいか。