- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101157481
感想・レビュー・書評
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下巻読了。
波切八郎がお信と再会し、橘屋との関係や背後の事情が明らかになります。
その後も、波切さんは岡本弥助や、伊之吉との腐れ縁がどうも切れずに、ダークな方へと進んでしまいます。
この、波切、岡本、伊之吉の3人の人生が、もうちょい上手い事生きられなかったものかな・・と、いつの間にか彼らに幸せになってほしいと思いながら読んでいたことに気づく私。
なので、終盤で岡本が“これで最後”と決心した暗殺の際に、それを阻止しようとした小兵衛さんに斬られ、たまらず飛び出してきた波切さんと小兵衛さんの思わぬ対峙は、何とも悲しいものでした。
そして最終章「三条大橋」は、じんわりと余韻が残る秀逸なラストでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岡本、伊之吉が魅力的で、この人たちの会話のシーンが楽しい。
ずっとあまり好きじゃなかった波切も、最後の方で好きになれた。
ただ、話が尻切れトンボというか、モヤモヤが残る。
そして最後まで、若い小兵衛が想像できなかった。 -
後編になって、一気にストーリーが展開した。浪切八郎の物語であり、若き小兵衛の成長譚である。バイプレーヤーの岡本弥助は小兵衛に殺された。ある意味本望だったような。
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波切八郎を取り巻く人物の背景が明らかになっていき、それとともに八郎の内面には新たな変化が生じる。八郎と岡本弥助、伊之吉のどこか離れがたい関係は、意味深なタイトルに込められたものと相まって「剣客」の世界を形作っている価値観なのだと思う。結末も含めて味わい深い内容だった。
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真剣勝負のその日、波切八郎はついに姿を現わさなかった。しかし秋山小兵衛はなぜか八郎を憎めない。一流の剣客が約束を違えるとはよほどの事がその身を襲ったからであり、実際、道場出奔後、八郎の運命は激烈に転変し、見えない勢力に操られ人斬りを重ねる日々であった。対照的な生き方をとる二人は、互いへの想いを断てぬまま思いがけぬ所で…。「剣客商売」ファン必読の番外編。
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剣客商売番外編下巻。
ものすごいスピード感のあるストーリー展開だった。
この番外編のタイトル「黒白」は、人の人生を示しているのだろうな。
善か悪か。
黒か白か。
ある一端を見れば、悪であり黒かもしれないが、その裏には善であり白かもある。
人の人生、人というものは、黒か白かをバッサリと分けることができない。
頭ではわかっているが、黒か白かをバッサリと切ったほうが、接することも、生きることも楽チンなので、やってしまうが、そんな簡単なものではないのだ。
波切八郎も、岡本弥助も、人に好かれる資質を持っていたと思う。
そして、2人とも、それぞれの苦悩を抱えていた。
辛い人生の道に翻弄された2人という気がする。
どこかで道が違っていたら、きっと、2人は出会わず、全く異なった人生を歩んだだろうなと。
ラスト、波切八郎が無事であったことを知ったとき、小兵衛さんではないが、嬉しくなった。
生きていてくれたと。
そして、その姿から、今は幸せなのだろうと想像して。
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下巻の始まりは、お信と八郎が「情を通じる」仲になった場面からで、小兵衛に引き取られている市蔵と三人で上方へ行くという無難な選択肢もあったはず。しかし、八郎がずるずると岡本弥助の行く末を気にするところから大きく物語は動き出す。本編と違うのは八代将軍・吉宗の逸話や、真田家の騒動という史実を交えて進行することだ。著者の『真田騒動-恩田木工』は未だ積読だが、読む楽しみが増えたというものだ。結びに、小兵衛の好奇心から命を救われた少年が大名となり、小兵衛の隠居祝いを送ったくだりでほろりとさせられた。