泥流地帯 (新潮文庫)

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著者 : 三浦綾子
  • 新潮社 (1982年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162065

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泥流地帯 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 10年以上前、三浦綾子さんの小説に猛烈にはまった時期があった。で、この小説は今の日本にぴったりだったなあ、と思ったので再読。
    善人は苦悩する。まさにこの言葉がぴったり。
    貧しい部落で生活する一家がまじめにまじめに日々の営みを繰り返すが、裕福な者たちを肥やしていくだけで自分たちは一向に豊かになれない。
    裕福であることが偉いのか?貧しいのはいけないことなのか?
    三浦綾子がどの小説においても必ず重要なテーマに掲げる、主人公の善なる苦悩がここでも大々的に繰り広げられる。
    正しく生きる人たちは小さな望みさえも、ことごとくあきらめなくてはならない。涙を食いしばって、それでも家族には何でもないんだという顔をして、あきらめる。
    望むものを切り捨てて、大事な友人が売られてしまうのもただ見ていることしか出来ない自分の力無さを悔みながらも、それでも家族を思い、明日の正しさを信じて生きる。そんな人々を突然襲った泥流。
    神様はいないんだろうか?正しく生きることは間違っているんだろうか?まじめに生きるとは、バカを見ることなんだろうか?
    それでも、彼等はやっぱり正しく生きることしか出来ない。
    だから、善人はすごいんだと思う。

  • 誠実に生きていても、自然の脅威は容赦ない。
    それでも、真面目に生きていこうという拓一と耕作。

    報われなくても、真面目に生きる。
    私も、そんな生き方が美しいと思う。

  • 大正時代の北海道開拓民の部落。父は亡くなり、母は都会へ出稼中の拓一と耕作の兄弟は貧しさに耐えながらも、正しく生きようとする。

    貧しさがこれほど憎く感じられる小説は他にないだろう。夢も才能もある兄弟だが、ことあるごとに貧困が彼らの足を引っ張る。彼らにも必ずいいことがあるはずと、応援せずにはいられない。

    兄弟のささやかな夢は母と暮らして親孝行をするということ、教師として認められること、思いを抱く人と結ばれること。そのために誠実に生き続ける彼らだが、大自然はそんな希望を残酷にも打ち砕く。

    真面目に、一生懸命に、人のために生きるのは無駄なことなのか。人生とは、こんなにもうまくいかないもので、それでも生きなければならないのか。そんな虚しさ、やり切れなさが読後感を占める。

    続編があるらしいが、彼らは幸せになってほしい。

  • 4回目の読了。
    前回は10年前、その前はまだ学生のころでした。
    三浦さんの本を、思春期に手当たり次第に読みました多くの作品に、苛烈な人生の出来事の中で、いかに生きるか、何を思うかが描かれています。

    頭の中で、何人分もの人生を生きることができることが読書の面白さである、といわれます。だとすれば、三浦さんは長い間ベッドの上で、何人の人生を厳しく、暖かく世に送りだしたことになります。

    困難に負けず、自分の人生を精一杯生きる。

    ヒトコトでいえば、大抵の励ましは同じ意味なのかもしれません。でも、ありきたりな言葉で人から慰められても、自分の生きる力にはなり得ないこともあります。

    今どきの文庫と比べると活字も小さく、長編で読むのが大変です。
    その分、いかに生きるか、自分自身で生きる力を奮い立たせるために、良書です。

  • 読了。
    泥流地帯
    三浦綾子

    ずっと読んでみたかった作品。
    これは自然災害という運命にあった人々の苦しみ、現実を描き出している作品だが、多くの人、見えない悩み、苦しみをたくさん救ってきた作品だと思う。
    特に、前に東北の大震災の起きた地域の人たちに、本の無料配布を行ったところ、この泥流地帯が一番人気で、涙を流しながら読む人が多かったという。それだけ魂を揺さぶる本を書く三浦綾子はさすがです。
    早く続編が読みたい。

  • 上富良野の山奥の日進部落で勤勉に働く拓一や耕一たち。そんな彼らを突如山津波が遅い、泥流が沢一帯を飲みこんでいく…。
    この話のテーマは「真面目に生きても無意味なのか?」人生の試練を問う、ということらしい。
    すごくアモラルというか、やりきれなさが残る読後感。
    終盤、身内を亡くした人々の前で近隣の沢のシンが「私たちは心掛けがよかったから生き残ったんだ」ともらすシーンがある。
    そうじゃないだろと思いながらも、なぜこんなことが?と嘆かずにはいられないことは、神様を信じてからだって、やっぱりある。それでもすべてのことには意味がある。
    「わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。−主の御告げ−それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるものだ。」(エレミヤ書29書11節)
    やっぱり私は聖書の約束を信じる。

    これで終わりと思いきや、どうやら続編があるみたい!
    気になります。

  • 市井、とくに部落などの貧困地帯でたくましく生きる人々の生活を描いた。そしてやがてやってくる、あらがうことができない天災にひたひたと向かっていく。小説の中で際立ったのは、天災とは別に人間のなかにそれこそ泥流のようにこびりつきながら脈々と流れている差別や偏見、それに対してあらがいながら、たくましく生きていく人々、反対に飲み込まれる人々が鮮やかに描かれていた。あらがえないものに対して、人はどのように生きていくか、というとっても深いテーマが描かれていたと思う。三浦綾子という著者の根底に信仰や聖書があるからか、そのバックボーンに支えられた途中途中出てくる箴言のようなものがすさまじく良く、心に染みるいい言葉が多かった。

  • 自分の出身地にこんな文学あったのをちゃんと知らなかったのが悔しい。
    ひたむきに生きる人物たちの試練に、自分の生き方を考えさせられる。自然の前に無力な人間。でも、そこに立ち向かい恩恵をえる人間。生きることとは試練に立ち向かうことなのかな。
    知り合い全員に勧めたい一冊。

  • 阪神淡路大震災、東日本大震災の後も生きていく世代には必読書。

  • 三浦綾子の中ではこれが一番好き。

  • 三浦綾子さんの作品で一番好きかも。
    (と、書ける程読んでいませんが。)ははは。

    読んでから時間が経ってるのでうろ覚えでレビュー書く。

    泥炭地に移植して、決して豊かではない土地を開拓した祖父の世代をふまえて、その三代の一家が中心で語られて行くお話。主人公とその兄(めちゃくちゃいい人)と姉妹。
    お父さんは居なくて、お母さんは家を離れている。お爺ちゃんが居て馬が居る。大家族時代。皆が働き手。

    過酷な土地に住まう人は、皆人格者なのかも。
    (そうじゃない人も出て来るけども。)

    背表紙のあらすじで、村を噴火の泥流が襲うと書いてあったので、心の準備をしつつ読みふけっていましたが…
    ページ数も残り少なくなってから襲って来て…
    なんだか凄いショックが強かった。恐かった。

    続・泥流地帯を見つけたときは即買いでした。有ったんだー!

  • 中学生の時に親の薦めで「氷点」「海嶺」を読んで、それ以来、本をたくさん読むようになった。本が好きになった。
    この2作が余りにも衝撃で、好きな作家を聞かれると「三浦綾子」と答えるものの、他の作品を読んでいなかった。情けない。これから全部読む予定。
    と、まずは、泥流地帯。
    久しぶりに本で涙しました。
    (ちなみに終盤での"修一"の行動や言動のいろいろで。)
    やっぱり本は良い。
    やっぱりこういう本が良い。

    推理小説とか、SFとか、いろいろ読んで楽しんできたけれど。
    私の原点を見つけた気がします。

    これからは読むべき小説をじっくり読むようにしたいです。

  • 泣いた。じっちゃんのように、正直に親切に真面目に生きてきた人たちが泥流に飲まれ、姉意地悪な人・狡賢い人が悠々と生き残っている。生前の心がけなんて、まったく関係無い。理不尽で、怒りたくなるような状況。だけれども、周りを恨むこともなく、この現状を受け入れて前向きに生きる。じっちゃんや拓一の言葉を受け入れながら・・・ 主人公耕作は素直な少年で、ずるい心も持ち合わせているから共感できる点もあった。そんな影響されやすい少年が、まわりの人と関わりながら成長していく物語。 心が洗われる。これは定期的に読み返したい。

  • 貧しくとも真面目にこつこつと生きてきた人たちのささやかな生活を、凄まじい山津波が押し流す。主人公兄弟の親代わりであるじっちゃんや、無垢で無邪気な妹の良子の死は、全く納得のいかない結末だが、それだけにかえってリアリティがあった。色々と立ってたフラグもすべて泥流と共に押し流されて暫し茫然。それでも希望を捨てないラストの拓一の言葉が胸に迫る。続編いきます。

  • 2015.12.17
    大正15年5月、十勝岳大噴火。突然の火山爆発で、家も学校も恋も夢も泥流が一気に押し流してゆく......。上富良野の市街からさらに一里以上も奥に入った日進部落で、貧しさにも親の不在にも耐えて明るく誠実にいきている拓一、耕作兄弟の上にも、泥流は容赦なく襲いかかる。真面目に生きても無意味なのか?懸命に生きる彼らの姿を通して、人生の試練の意味を問いかける感動の長編。(裏表紙より)

    全530ページほどのうち、450ページほどまでは、貧しさの中でも力強く生きている人々の姿がある。数多くの、感銘を受けるような登場人物から、憎たらしい登場人物まで様々で、そんな彼らの人生模様や関わり合いを見ることができる。昔の日本にはこういう村社会があって、貧しさと単調な日々の中を希望を失わず生きていたんだなと、力強く生きることの大切さというか、そういうものを感じさせる。そして451ページ目から、それらの登場人物の大半が、山津波によって流され、亡くなってしまう。耕作と同様に、読む側も、嘘だろ?と思ってしまうような、まさに災害の生み出す、あっという間の地獄を垣間見た。そしてその山津波を経験した上での、本著ラストの、拓一の言葉が、この著書での主張のすべてを物語っている。「おれはな耕作、あのまま泥流の中でおれが死んだとしても、馬鹿臭かったとは思わんぞ。もう一度生れ変わったとしても、おれはやっぱりまじめに生きるつもりだぞ」(p533)。非常に心に深く突き刺さる一言である。我々の生の先には、約束された死がある。例えどんなに生きようが、どんな生き方をしようが、人は最期には死んでしまう。遅いか早いか、安らかか凄惨かの違いはあるが。そしてその死と、生きることは、実は関係がないのではないか。いかなる死が待ち受けるかということと、いかに生きるかということは関係がないのではないか。生きることにおいて、それが報われるのか否かということは、いかに生きるかということとは関係ないのではないか。明日死のうが死にまいが、今日を一生懸命生きるし、報われようが報われまいが、すべきことを真面目に努力する。問題は、死に方とか、何を得られるかとかではない。人生とは、生きるとは、何かを得るための手段ではない。人生とは、生きるとは、それ自体が目的なのではないのか。生きることの外にある目的のためではなく、生きることの内にある目的こそが生きる意義ではないか。例え凄惨な死が待ち受けようとも、例え真面目に生きて馬鹿をみようとも、それでも自分の心に正直に、真面目に生きることで、自分の生に誇りを持つことが大切なのではないだろうか。善く生きるものは恵まれ、悪く生きるものは天罰が下るのか、そうではない。善く生きようが悪く生きようが運が悪ければ人は死ぬ、苦しむ。我々の生き方と、我々の運命には関係はない。では、真面目に生きる意義とは何だろうか。真面目に生きようと生きまいと関係なく運命は我々を翻弄するならば、人は楽を選ぶのではないだろうか。果たしてそうだろうか。人によってはこの、いかに生きようとその結果は運命に関係ないという真実から、快楽主義や虚無主義に走る人もいるだろう。しかし私は、関係ないからこそ、いかに生きるべきかをしっかり考え、そこから報われるか否かの基準を消して、自らが満足できるか否かの基準で、自分の生を考える必要があるのだと思う。そしてその、自らの生に対する満足の度合いで考えたとき、人生に対する誇り、例え生まれ変わっても私は同じように生きたいという想いこそ、いかに生きるべきかの1つの答えではないかと思う。私に降りかかる運命の悪戯は関係ないのだ。それはそれで仕方がない、私のコントロールの外のことだ。しかしその悪戯に如何に対応するかは私の手の中にある。その1つ1つの問題に対する選択において自分が満足できる選択を... 続きを読む

  • 山津波、というものが起こりうることを初めて知った。

  • 本当は頭もいいのに、貧困ゆえに見る世界が狭いのが気の毒だった。祖父は世間も見てきて、なかなかの知性派なのに。

  • 実際の自然災害をベースに、筆者が取材を重ねて書いた小説。主人公の家族が貧しいながらも誠実に生きていくが、運命は過酷である。主人公の祖父と兄の行動や言葉には心を洗われるような気がする。

  • 実家の本棚にあったので「借りるね」と行って持ち帰りました。
    読み始めると、止まらない。

    大正時代の北海道の小さな町が舞台。
    絡み合う人間関係、不条理な運命。
    その中で誠実に生きる人たちの姿。

    心が洗われます。

  • 上富良野地方の山津波。

    タイトルから山津波以降の復興や生活が書かれているのかと思っていたのですが、どちらかというと山津波前の日々の生活に重点をおかれていました。

    昔の小作の苦労や偏見は計り知れないものだったのだろう。ほんのわずかでも知ることができてよかった。

  • 貧しいのに、こんなはめに!

  • 自然の気まぐれの前に無残にも一瞬にして押し流されてしまう。
    数十年を経て築き上げたものをすべて失ってもなお、自然と共に人間として自らの信じる道を歩もうとする兄弟。

  • 図書館で借りて。久しぶりに同時代でない人の本を読んだ気がするけど、かなり引き込まれた。設定や展開が娯楽小説的に興味をひいて頁を捲り続け、一気に読了。
    家族や集落の温かさ、様々な濃い感情と関係。常に他の人の優しさや献身を尊敬する主人公が印象的。鈍感だけどモテてるし。人間のわたしに出来ることは限られているが、私も他人に愛を持って生きていきたい。
    女の人ってつらい。とも思った。

  • まじめに生きることにしようと思います。

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