- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171340
作品紹介・あらすじ
コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。窮地の聡子を救うため、なんと"まぼろしの遊撃隊"がやってきた。かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。虚構の壁を超越し、無限の物語空間を達成し得たメタ・フィクションの金字塔。日本SF大賞受賞。
感想・レビュー・書評
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5段階のメタフィクションというのはすごく、それなのにエンタメ性を失わないのがすごい
罵倒語の豊富さに笑った
「殺しなさい」も笑った詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み返し。最初は新聞連載で読んでる。そのときは、ただ享受するだけで、投書もしなかったし、電脳にも参加しなかった。私がパソコン通信にはまるのは、少しあとの話だ。
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これはまた。メタ小説というのか虚実が何重にも重なって重層的に話が進む。よくも新聞小説でこんなのが許されたものだ。1991年の朝日新聞というから毎日目にしていたはずだが全然覚えていない。細切れの新聞小説はもともと苦手だし、この内容ではストーリーが追えなかったかもしれない。宇宙もののSFかという出だしはすぐに裏切られて、それがコンピュータゲームの1シーンに過ぎず、話の本線はゲームに参加している企業重役たちとその関係者なのだが、読者参加型で投書者と作者の丁々発止のやりとりによって話が変化していき、最後は虚実の壁が敗れて大乱戦になるという始末。これはこれで完結しているのか破綻しているのかは見方によろうが、ただただ落ち着かない気分だけが残ったぼくは守旧的な読者なのだろう。
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内容(「BOOK」データベースより)
コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。窮地の聡子を救うため、なんと“まぼろしの遊撃隊”がやってきた。かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。虚構の壁を超越し、無限の物語空間を達成し得たメタ・フィクションの金字塔。日本SF大賞受賞。 -
さすが筒井康隆と唸らされる。タイトルもモーリス・ラヴェルの『夜のガスパール』を文字って『朝のガスパール』とはなんとも洒落てる。
『残像に口紅を』『ロートレック荘事件』も相当実験的だったが、本作品は今で言えばTwitterを用いたような視聴者参加型小説を書き上げたのだから凄い。新聞投書とパソコン通信を活用してデイリーで物語が変化していくさまは当時リアルタイムで味わえた読者は相当のダイナミズムがあったであろう。
作品自体は途中放り投げたようなやや支離滅裂になりながらも、最後にあのキャラクターが登場すると本作品は読者の反応はまやかしで元々計算しつくされた構成なのではないかと思わされる。筒井康隆氏の発想の凄さを感じさせられる。 -
新聞連載小説。随時読者の投稿を反映させながらストーリーが展開するというこれまた実験的な小説。物語と自己批評の面白さもさることながら、筒井康隆のくりだす悪口のヴァリエーションは一つの芸。爆笑した。
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虚構、虚構内虚構、虚構内虚構内虚構……、そして現実。それぞれの間にある壁を、時に批評し、時に壊し、ついには乗り越えて、進行する物語。タイトルに隠された意味も最後に明かされるのだけど、それさえもシニカル。
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良くも悪くも筒井康隆。これだけの実績のある作家が、これだけ実験的な作品を書けるというのは本当にすばらしい。ただ、成功しているかというと、うーん。
どうやら、この作品単体で読む物ではなく、同時期のパソコン通信ログの出版もセットで読むということのようだけれど…この作品を、単体の作品として完結させることができたら、よりすごかったと思うのだが。
何にしろ、時代ならではの作品であり、先にも後にもこの時代の筒井康隆であったから実現できた作品であることは間違いない。 -
うーん。
連載時にちょこっと目を通してすぐにやめちゃったけど、
これはリアルタイムで読んでないとあんまり臨場感が無いなあ。