- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181042
感想・レビュー・書評
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オスマン・トルコ帝国スレイマン大帝によるロードス島進攻。ロードス島を守る聖ヨハネ騎士団。若き騎士アレサンドロと異端の騎士オルシーニの友情。ヴェネツィア共和国の亡命技師による城壁強化。
ロードス島を退去した聖ヨハネ騎士団の放浪。マルタ騎士団の誕生。現在に至る騎士団の活動。
2010年8月19日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トルコVS聖ヨハネ騎士団@ロードス島。
本の終わりに地図がはいってるんだが、こんなにトルコに近い島だったのかと死ってびっくり。そりゃ、キリスト教世界にとっては対トルコの最前線であり、トルコにとっては喉元にささった棘であっただろう。
物語は、3人の騎士を中心に描かれる。
「コンスタンティノープルの陥落」に対して、人物が絞ってあるので、焦点があわしやすい気がする。また、「コンスタンティノープルの陥落」がコンスタンティノープルだけでなく、ヴェネチアやローマなど様々な土地での話もはいってあったのに対して、ロードス島攻防記はロードス島だけだ。
が、これがこの攻防記の閉塞的な雰囲気をしっかりだしてて、やっぱり塩野七生は上手いのぉと思うのであった。
しかしながら、塩野七生が本当に描きたかったのは、ロードス島を離れた後の聖ヨハネ騎士団の姿だったのではないだろうか。
長男にのみ財産を残すという貴族社会で、次男以下は軍人になるか僧侶になるかしか選択がなかった時代。僧侶であり軍人である聖ヨハネ騎士団を選んだ彼らに、ロードス島を落とされた後は流離うしかなかった。
ただ、その流離いも個々によって違う。
マルタ島に流れ、のちにトルコに一矢むくいる騎士も、騎士であることを捨て僧侶として生きることを選んだ騎士も、ロードス島を落とされたという消失感を抱いて生きていたように感じる。
ロードスやマルタといった、地中海のどこまでも青い海を思うと、余計そのように感じる。
最後に、彼らの騎士の魂が生きていることをがあって、感動した。
そうか、彼らの戦いは決して無駄ではなく(文中で「いい上官というのは自分が犬死ではないと信じられるような死に方を与えるものだ」とあった)何かを繋いだ戦いだったのだろう。 -
戦記三部作、とよく言われる戦記物の2作目。
コンスタンティノープルを陥落させ西進を続けるオスマン・トルコを妨げるように存在するロードス島を本拠とする聖ヨハネ騎士団とスレイマン一世との5ヶ月に渡る壮絶な攻防戦の物語。
聖ヨハネ騎士団の騎士600人足らず。
傭兵は1500人余り。
戦闘参加可能なロードス島の島民3000人。
対するスレイマン一世率いるオスマン・トルコは十万の兵。
1対20とも言える圧倒的不利な篭城戦を人海戦術のトルコに対し、当時最高の技術をもって作られた城壁と「青い血」が流れる騎士のプライドで闘う聖ヨハネ騎士団。
篭城側の不利さを感じつつも勇敢に高潔に振舞う騎士団長以下の人々の姿をイタリア隊に入団したての若き騎士アントニオ・デル・カレットを時に介して書かれている作品。
激闘の末に名誉ある降伏を受け入れて島を去る騎士団の姿とその船出に合わせて礼砲を撃つスレイマン一世のありように感動。
全篇を通して騎士道と言おうかキリスト教圏の貴族階級の誇りが溢れている本だと思う。 -
塩野七生はほんとにすごい。
塩野作品は読めば読むほど、ますます面白くなっていくのです。 -
私が初めて読んだ塩野七生さんの著作です。
「ローマ人の物語」で著者を知った方が多いと思います。
私は「ローマ人の物語」が始まる前にこの本を読むことができて、とても幸運だったと思っています。
著者の地中海文化圏に対する愛情がそこここに感じることができます。 -
ロードス島の要塞のようすや、どのように戦況が移っていったかが丁寧に描かれてあって面白かった。同性愛エピソードは余計かな・・・。そして、聖ヨハネ騎士団が今もまだ存続しているということを知ってびっくり。
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10/02/21 久しぶりの塩野作品。
いつもながら、冴えわたっているなあ。 -
漫画のようサクサク読める。
さすが塩野七生。 -
ヨハネ騎士団の栄光と衰退
歴史の転換期シリーズとして、三部作の二つ目なんですが。
一巻とは書き方が変わる。より客観的に、主体になる視点キャラを減らして。
まあ、コンスタンティノープルよりも資料が少ないからなのかもしれないが。
いろんな書き方ができるんだなあ、と思うわけです。
さて、この本、実はロードス島の攻防戦そのものよりも、エピローグの、後日譚ダイジェストがたまらない。
ヨハネ騎士団の放浪、数十年を超えたリベンジ戦、そして現代へ繋がる話。
まさか、そこまで繋がるなんて、と重みに感動してしまうわけだ。
ダイナミック -
圧倒的な敵に対して怯まず、自らの運命からも逃れようともせず、立ち向かっていった騎士団員たちの姿に心打たれます。