- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181349
作品紹介・あらすじ
東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語。
感想・レビュー・書評
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長年にわたるジェノバとの制海権争の巻。
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第六話 9世紀に入って地中海が再び活気を取り戻すのは四つの海の共和国によります。アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィア。その中でジェノヴァとヴェネツィアが残り、ライバルとなり時に海戦する様子が書かれています。
ジェノヴァは個人プレーでヴェネツィアは団体の傾向ですが、ヴェネツィアでもやんちゃなカルロ・ゼンとカリスマ的なベットール・ピサーニが活躍します。軽く出てくるマルコポーロの話も面白いです。
第七話 ヴェネツィアの女 ここで今までで一番、江戸東京博物館のヴェネツィア博に早く行きたいと思わされました。
目でカラーで見たほうがよくわかります。もちろん現地にも行きたいですが。
一番面白かったのはカヴァリエレ・セルヴェンテ直訳すると奉仕する騎士ですねー。
能力ある男性と結婚すると不在がちなので、淋しい妻にこの「奉仕する騎士」があてがわれます。しかも無料で。この若い男性にとっても、異性に対していだきがちな幻想から早々免疫になれたにちがいないと。
>フランスの騎士道精神は神と貴婦人に無償の愛をささげることで有名だった。(略)一方ルネサンス時代のヴェネツィアの騎士道精神は、女を幸福にしただけでなく、夫まで幸福にし、さらに若者の人生教育にも役立ったのである。
うーん。私は夫婦で一緒にいたいと思うけど、もしかしたらこっちのほうがいいなって思うようになるのかしら
巻末の渡辺靖さんの解説も面白かったです。 -
中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。
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今のイタリアの長靴の形の前側の一番上がジェノヴァで、後ろ側の一番上がヴェネツィア。前側のジェノヴァの少し南にピサ、それよりだいぶ南、足の甲のあたりにアマルフィがあった。この4つの海洋通商国家のうち、まずアマルフィ、次に海洋国家としてはピサが滅亡した。いずれも今では小さな町だが、それに似合わないほど華麗な教会などがあるそうだ。後に残ったジェノヴァとヴェネツィアのライバル関係がおもしろい。都市同士のこれほど性格の違いはこの物語を通して語られるが、歴史上のいろいろな出来事は年表でも作って整理しないととても頭に残らない。1冊読み終えたときにはすでに忘れている。。。
この巻の最後はヴェネツィアの女性について。一般に政治的社会的な力は持っていなかったようで残念だが、その中で航海中にトルコの海賊に襲われてスルタンに奴隷として献上されたチェチリアという少女がいる。この少女が長じてスルタンの母となり、国の機密情報を知る立場になって、ヴェネツィアにその情報を流していたという。1000年という長い歴史を語りつつ、こういう細かいところまで描写するところが想像をかきたてる。また、この巻には当時の衣装などの絵がたくさん掲載されていて興味深い。 -
東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語
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ジェノヴァとの戦いを描く第6話は燃えである
ただジェノヴァおよびイタリア周辺各国への言及は
もう少し欲しかったところ
7話の女性について触れた話はまさに女性ならではの視点
カヴァリエレ・セルヴェンテを実行したヴェネチアの男性を
真剣に尊敬せざるを得ない -
海の都の物語〈3〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)
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