- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181417
感想・レビュー・書評
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空港で買ったけど、飛行機乗ってるときに小説を読んでると、搭乗券やらもろもろの紙をなくさないことを知った。
4人の女性―マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステ、教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジア、イーモラ及びフォルリの女領主カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネール―を通してイタリア・ルネサンスの政治の芸術(アルテ)を描く。
その中で抗った女・流された女・戦った女・利用された女。
塩野七生の書き方は、歴史書とも小説ともエッセイともつかないものだけれど、今回読んでみて思ったのは、研究者が自分のおもしろいと思ってることを親しい人に楽しさのあまりしゃべってるのに近いかもしれない、ということ。
だから、本人が一番おもしろいネタだと思ってることに関して書かれていることが一番おもしろい。
こういう書き方って、『空海の風景』とか「余談だが…」とかいうときの司馬遼太郎に似ている。
正直、ルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・コルネールについては、その周り(ボルジア家/ヴェネッツィア共和国)のほうが氏が好きなので、彼女らについてはほとんど蔑ろといっていいくらいな書き方だった。
やっぱり圧巻はカテリーナ・スフォルツァで、美しく残忍、そして賢く大胆、という彼女を余すところなく読まされ、そこだけはページを繰る手が止まらなかった。
最初に出版されたのが1969年というなんとも近現代の画期の中であって、学習院大を出た後イタリアで遊学(!)していた29歳の彼女にとって、女は小さくおろかな存在らしい。ルネサンスという男の政治が芸術的に花開いていた時期の女たち、というのは基本的に賞賛したり自分を重ね合わせたり肩入れするようなものではないらしく、ここまで詳細に書く割に案外冷めた目で見ているのがうかがえるのがなんともまた塩野流で、肩透かしをくらいながらも、やっぱりおもしろいのです。
地図や系図が豊富なのも、非常にうれしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
塩野七生29歳ののデビュー作であり、この後の数々の著作の原点である。小国をその器量で守り抜いたイザベッラ・デステから始まるルネッサンスの女たちの物語は、「歴史家にも許された想像がある」と師に言われたことを数々の考証を重ねて展開していく手法に彩られている。見事なデビュー作であり、その後の活躍を予感させるに十分だ。
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男にも種類があるように、女にも種類があるのだなと思う。
権力を持たせると強さを発揮したり、そうでなかったり。
いつの時代も女には種類があるのだな。
今の世の中に照らし合わせると面白いかも。
塩野七生さんの小説はまさに歴史をどう今に反映させるかを考えさせられる。 -
マントヴァ公爵夫人イザベッラ・デステ、チェーザレ・ボルジアの妹ルクレツィア、フォルリの女傑カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネールの4人を題材にルネサンス期のイタリアを描き出す。また関連作が読みたくなってきました。
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塩野七生の処女作。
今の彼女のスタイルである、"説明をしつくしながらもくどくない"ところはなく、先へ先へと走っていくような作風が駆け出しの頃の彼女の情熱を感じて楽しい。
ルネサンスを生きた四人の女性にスポットを当て、ルネサンスとは何か考えさせてくれた。