ローマ人の物語 (14) パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)
- 新潮社 (2004年10月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181646
感想・レビュー・書評
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オクタビアヌスの事績の巻
パルティア王国との薄氷を踏む交渉からパックスロマーナはほぼ完成。
盟友アグリッパがいなかったら成し得なかった業績だなと感じた。
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>アウグストゥスはまれなる美男であった。
>しかし彼の美しさは形の美だけではなかった。その顔は話をしているときも話に耳をかたむけているときも、無限の静けさと晴れやかさが乱されることはなく、それが会う人に、容貌の美以上の美を印象づけたのである。
この言葉を支えに、退屈でしたがなんとか読み終えました。
>カエサルは広い壁面に彼にしかできない“速攻”でフレスコ画を描いていく。出来上がったら直ちにすぐ隣りの壁面に挑戦する。この調子で、感嘆している人々の眼の前で次々とフレスコ画が完成していき、広いサロンはあざやかで見事なフレスコ画に囲まれるという具合だ。
>アウグストゥスには油絵を完成する時間的余裕があった。広いサロンには大小とりまぜた数多くの画架が並び立つ。しかしアウグストゥスは一つを完成して次に移るというやり方はしない。最初はキャンパスの多くには、軽くデッサンだけが描かれる。だが時には一挙に完成させることもある。完成した油絵にして観衆に見せたほうがよい、つまりこの機に既成事実にして示しておいた方がよい、と判断した場合である。共和制への復帰を宣言し、「アウグストゥス」の名を贈られた際の演出などはこれにあたる。他の場合は、完成に歳月をかける。良かれと思った時期に画架の前にもどってきては、ちょっと手を入れるという感じだ。そんなことをくり返しているから、関心を持続できないのが普通の観衆は飽きてくる。観衆の注意が緩慢になったときが、アウグストゥスにとってはかえって好機なのだ。油絵は、誰もが気づかないうちにすべてが完成している、ということになる。
永いこと嫌な存在だった元老院とうまくやっているし、パルティア問題解決。
アウグストゥス34歳~44歳。 -
オクタヴィアヌス改めアウグストゥスが、共和政主義者(元老院)の賛同を得ながら、いかにして皇帝としての実権を得ていくかを描く。
こう書くと、いかにも軍事国家の独裁者の出現を連想させるが、そうではなく、古代ローマが地中海周辺を支配する巨大国家となった結果、元老院による寡頭政治(共和政)は統治システムとして機能しなくなり、より効率的なシステムとして帝政へ移行が起こった、そう作者は考えているようである。
システム改革の先駆者が、天才的な政治家・軍事家であったユリウス・カエサルであり、志半ばで倒れた彼の後を継ぎ、40年におよぶ治世においてカエサルの構想を実現したのが、初代皇帝アウグストゥス、ということである。
時代は紀元前から紀元後に移る頃である。 -
シリーズ第6巻は、カエサル亡き後に帝政を布いたアウグストゥス以後のいわゆるパクス・ロマーナ(ローマの平和)の巻。共和政から帝政へと移行したということなのだが、元老院や執政官制度は健在なので、境界は明確ではない。徐々に骨抜きにされていったということのようだ。そもそもカエサルが暗殺されたのが、個人に権力が集中して事実上の王政になるという懸念からだが、その後継者であるアウグストゥスがより巧妙に同じことを達成してしまったのだから、歴史の歯車は止められないものだ。ローマ帝国もヨーロッパの大半から北アフリカ、中東まで版図が広がって、その維持には軍事力が欠かせない。カエサルには抜群の軍功があったが、それをもたないアウグストゥスにはそこが結局アキレス腱となってしまったのは残念なところ。しかしローマの平和と呼びならわされる安定をもたらした功績は大きい。帝政というと反動的なイメージがあるが、立派な統治者がいれば、下手な民主制よりましなのではという気すらする。
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カエサル亡き後のローマ。アウグストゥスは自分のことをよく分かっていて、カエサルになれないこと、カエサルの代わりではないことを誰よりも理解していたなぁと思う。だけど、カエサルのやろうとしたことをアウグストゥスのやり方で、時間をかけてやっている。すごい後継者だ。初代皇帝だけど、二代目。カリスマの後を支える人が本当は1番大変なのかもしれない。それが一代で終わらない秘訣。けど、その後継者を選んでいたカエサルはやっぱりすごい。
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16巻に記載。
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オクタヴィアヌが権力を持ってからのお話し。
確かに刺激的な話は少なくなる。
けどなかなかおもしろい。 -
アクティウムの海戦でローマの最高権力者に登りつめたオクタヴィアヌスは、意外にも共和制への回帰を宣言して元老院派を喜ばせる。しかし、アウグストゥスという尊称を得た彼は、カエサルとは違うやり方で徐々に帝政へとローマ社会を変えていく。
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カエサルの後継者として、ライバルのアントニウスを倒して、ローマの最高権力者になったアウグストゥス。
その手腕は強かに、確実に帝国の道を歩む。
この当時のことが、ここまで詳細にわかって
いることに驚く。
政治的にも文化的にも、
確立されている印象を受ける。
ヨーロッパの成り立ちの原点が
ここにあったんだなぁ。
国家づくりのプランが明確にあって
強い国を作るために共和制を捨て
強権的な手腕を巧みに使うアウグストゥスは
未来が見えていたのだろうか。
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アントニウス・クレオパトラ連合軍に勝利したオクタヴィアヌス。長く続いたローマの内戦に終止符を打ち、「アウグストゥス」という尊称で呼ばれるようになる。彼がいかに元老院の反発を避けながら権力を掌握し、改革を行ったかが語られる。
政治の話がメインになるので、最初はちょっと地味な巻だな~と思ったが、読んでいるうちに面白く感じるようになった。ローマの帝政って、アウグストゥスが皇帝に即位して帝政開始、っていうような単純な形じゃなかったんだなあ。 -
アウグストゥスの治世。平時のリーダーと有事のリーダーでは、求められるものが違う。派手さはないけれど、堅実。
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ちょっと飽きてきたなぁ、、、
そもそもこの長い歴史叙述からしてというところに加えて、このお方の文章ってメリハリが無さと思い入れっぷり・礼賛ぶりがそれに輪をかけてるんですよね。
歴史本でもなく、小説でもない、どっちつかずだから、ちょい読んでで辛いものがあります。まぁこういう歴史話しあったのよ、と軽い気持ちで良いべきですかね。 -
単行本以来の再読。
読者に、の末尾
「天才の後を継いだ天才でない人物が、どうやって、天才が到達できなかった目標に達せたのか。それを、これから物語ってみたい。」
という説明が、端的に本の内容を表している。
地味だけど最高のリーダーだと思う。この逸材を十代の時に見分けたカエサルの人を見る目がまたすごい、ということになるのかな?
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この書籍は、カエサル暗殺その後の前半部分。
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新潮学芸賞