ローマ亡き後の地中海世界3: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181967

作品紹介・あらすじ

北アフリカから到来するイスラムの海賊による侵攻が激しさを増すなか、マホメッド二世率いるトルコ軍の猛攻の前に、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルが陥落。さらにトルコは海賊を自国の海軍として吸収し、攻勢をますます強める。キリスト教連合国はアンドレア・ドーリアを総司令官に擁立。事態は地中海世界全域を巻き込んだパワーゲームの様相を呈することとなった……。

感想・レビュー・書評

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  • 海賊が暴れる地中海。トルコはそんな海賊を中核に取り込んでいく。アラブ人のイスラムから変わってトルコのイスラムがキリスト教側と戦うが、ふと思うとイタリアはベネチア国、教皇領、スペイン領などパクスロマーナの記憶も遠い過去になってしまい、国として存在しなくなってしまった。ドーリアと赤ひげの海戦が始まる。

  • イスラムが伸長し海賊が地中海世界を跋扈する状況の中、前巻のルネサンス期までのヨーロッパの反応は基本的には各領主や都市単位での防衛であり、大規模な海軍や防衛組織としての反攻は、アマルフィ、ジェノヴァ等のいくつかの海洋都市国家によるものか、法王が旗印となった十字軍のような動きのみであった。

    本巻では、それがフランスやスペインといった大国がヨーロッパ側にも現われ、それらの国家間のパワーゲームによって地中海世界の主導権が移行していく時代に移り変わっている。

    ただ、イスラム世界対キリスト教世界という枠組みは、ここでもある程度のレベルまでしか適合せず、大国間のせめぎあいにおいては、そのような宗教によるブロックの枠を超えた合従連衡が数多く行われている様子が分かった。

    特にフランスとスペインの2大国の間の主導権争いは16世紀の前半を通じて大きな要素となっており、フランスはスペインをけん制するためにトルコと同盟を結ぶ。

    国際情勢を地域ブロックや宗教といった単一の枠組みだけで捉えることは、現代においても正確とは言い難いが、この時代においても同じような状況が出現していたということがよく分かった。

    その中で、最強の海軍組織を維持し、アドリア海を中心にシーレーンの安全を確保しながら、インテリジェンスの力と外交力で通商国家としての繁栄を負維持していったヴェネチアのような国家が存在したということも、現在と通じる。

    マキアヴェリ等の、現代にも読まれる政治学者がこの時代に出てきたのも、故なしとしないことであると感じた。

  • 地中海が今も境界であるのだろう。
    国に雇われた海賊達と襲撃を受けた人々の時代

  • 2020/06/01 購入
    2020/07/14 読了

  • 北アフリカから到来するイスラムの海賊による侵攻が激しさを増すなか、マホメッド二世率いるトルコ軍の猛攻の前に、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルが陥落。さらにトルコは海賊を自国の海軍として吸収し、攻勢をますます強める。キリスト教連合国はアンドレア・ドーリアを総司令官に擁立。事態は地中海世界全域を巻き込んだパワーゲームの様相を呈することとなった……。

  • インテリジェンスの始まりは中世のヴェネツィア共和国、塗料がトルコ政府に売られたのを知った。日本では戦国時代の前半、スレイマン、カルロス、フランソワ1世の時代。イェニチェリ軍団。カルロス憎しのあまりのフランスとトルコの同盟。赤ひげ(バルバロッサ)とドーリア。

  • オスマントルコの台頭とキリスト教徒内部の争い。

  • 1453年コンスタンティノープルの陥落から1538年プレヴェザの海戦途中まで
    オスマントルコと海賊たちとフランススペイン教皇とわれらがイタリアの戦いの海編
    作者大好きの地中海洋歴史ロマンの詰め合わせでとても楽しそうなのが伝わってくる

  • キリスト教世界海軍vsトルコ海軍(中身は海賊)の時代へ(そして、キリスト教世界はフランスとスペインという2大国の時代へ)アンドレア・ドーリアがイタリア軍艦の名前にいかにふさわしい名前なのかが伝わった。

  • 北アフリカから到来するイスラムの海賊による侵攻の激しさが増すなか、マホメッド二世率いるトルコ軍の猛攻の前に、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルが陥落。さらにトルコは海賊を自国の海軍として吸収し、攻勢をますます強める。
    キリスト教連合国はアンドレア・ドーリアを総司令官に擁立。事態は地中海全域を巻き込んだパワーゲームの様相を呈することとなった・・・。
    (当書裏表紙あらすじより)

    コンスタンティノープルの陥落、そしてロードス島攻防。
    海軍を持たないトルコが地中海を荒らしまわっていたイスラム教の海賊達を引きいれて海軍代わりに徴用した、というのは知らなかった。
    中世は基本的にキリスト教圏とイスラム教圏のせめぎ合い、という様相だということが、これでもかと描写されています。
    でも所々に、スペインでは魔女裁判が盛んに行なわれていた、という具合に、キリスト教の闇の部分についても記述しています。
    この辺のバランスは下手な教科書を読むよりも、よほど為になると思います。

    イスラム教の海賊の拉致・略奪が多く描かれているけれど、キリスト教も「異端」と認定された教義を信仰していた人々は迫害を受けていたのだ、ということを忘れてはならないと感じました。

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