- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101192277
感想・レビュー・書評
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乙川さんのはじめての現代小説。それにしても、本当にその場にいるかのような臨場感。戦争の話もかつてないくらいに、その悲惨さが伝わってくる。そしてそこから15年、主人公が25歳で復員し、38になるまでに、大化の改新頃の日本の歴史にも触れて、そして二人の好い女性と佳い女性との間で織り成される叙情。
この著者の本をはじめて読んだ時に目にした「ひともしごろ」、この言葉、別にこの著者のオリジナルではないのだが、そのときは衝撃的な経験だったけど、この本にも数回出てきて、そっか、この言葉は時代小説書いてる時に使っていたんだろうなと、腑に落ちた。多岐子とやっと所帯をもって行こうとしてる矢先に死にそうになってしまい、果たして、信幸は思いを完うできるのか。そして弟の信は本当にフィリピンで生きていたのだろうか、佳江果たしてこのままフランスからヨーロッパで人生を終えてしまうのか。そういうことは全部未解決?いやある意味解決をしながら、ページをもうめくれないところまで、読み終えた
途中、読み終われないかもと思う箇所もあったが、結局、読み通した。
全体的には、至福の時間だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後の日本の面影を知りたいと思って購入。
敗戦後の帰途で体調不良の矢田部を看病した小椋という男を探しながら木地師の歴史を調べて行く。
調査内容に面白さを感じたけど女性に対する態度に何を考えているんだと思ってしまう。
この男性みたいに悠々自適な生活ができたらいいなぁと思う反面、多希子や佳江みたいに自分の力で生活していくのが人間らしさなのだろうな。
この小説は女の強さを出しているのかもしれない。