- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101203812
感想・レビュー・書評
-
この著者さんを読むのは2作目。
前回読んだ高レビューの本は私には全く響かなくてレビューすら書かなかったけれど、この本は好き本だった。
読んでよかった。
ふくらはぎまで、生ぬるいヌルヌルした水でがんじがらめにされてるような登場人物たち。
でも空からはたしかに微かに光が降りていて。
将来をどうしていくのかは日々の選択で変わってくるよね
光を見つけることが出来る環境とか自身のモチベーションとか偶然や必然の出会いとか。
みんながみんな、光を見つけられるわけでもない。
いろいろ私の人生も振り返ってしまいました。
オムニバス形式で、いろんな人の人生が絡んでるストーリーです。
1人の自死を選んだ男性から派生する人々のその後。
光が見える最後の2作品が私は好きでした詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みやすくスルスル読めました。
全体的に暗くて切なくて…その雰囲気が好きでした。
うろこは比較的明るい内容でした。 -
現代の恋愛を描いた短編連作集。読み進めるごとに彼の彼女の姿が浮き彫りになっていく。読む手が止まらなくなる。
傷つきたくないから踏み込まない、遺すべきもの、それぞれの愛のかたち...。チリチリ、チクチクする気持ち...。しばし余韻に浸ろう。 -
【かたち】にとらわれた登場人物が葛藤していく連作短編集。
それぞれが思う生き方や考え方の【かたち】があって、その【かたち】にはまることの安心感や、はまらないことでの虚無感が痛々しく描かれていました。人間の内面を上手に描く千早さん、さすがです! -
オムニバス的なストーリー
人を深く知って、その関係が壊れるのが怖く、のめり込まないようにある程度距離を保つ。その気持ちがすごく理解できる。
ただ、そこには発展はない。怖いけど一歩踏み込む勇気は必要だ。
誰かに自分の存在の証拠を残すために、あとかたを残したくなる人もいる。自己主張を口で言わなくても、何かしら、主張したいのかな。 -
あーーやっぱり
気持ちに正直に生きよう
なにも残せなくても -
著者の恋愛観は一貫している。果たしてそれが愛と呼べるのか不確かなものの中にこそ本質が潜んでおり、暴力すらも愛との境界は曖昧だということを。
-
"男ともだち"のハセオ然り、茜さんが描く爛れた感じの人物が渋くて個人的には刺さる。今回で言うところのサキちゃん、千影さん。それぞれの強い信念のようなものに惹かれる一方で、実は内面に脆さを抱えているあたり人間味があって好き。
-
連作短編集。それぞれの登場人物が繋がっていって面白かった。
恋愛の甘いだけじゃない何とも言えない感情が、綺麗な文章で表現されている。
歳を取って経験が増えて若い頃よりも、感情に蓋をしたり、相手との距離を取ったり、自分が傷付かないように立ち回っちゃう。
寂しいような仄暗いような、じんわり残る読後感が良い。 -
直木賞を受賞された千早茜さんの作品を読んでみたくて、過去候補作になったというこの作品を読んでみた。
初めは文学的な文体に少し入り込めず、距離を置いて読んでしまっていたけれど、連作で一人一人の想い、ストーリーに徐々に引き込まれていった。特に最後のうろことねいろ。
さきちゃんの無であり、でも正直な生き方、一見強く見える千影さんの葛藤、いろんな人の視点で描かれているからこそ、強く見える人も普通に抱えている想いがあることに改めて気づく、そんな作品だった。
他の作品も読んでみよう。