- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101204369
感想・レビュー・書評
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有栖川有栖作品の短編に慣れていたせいか、事件が起きるまでが超長く感じた。途中のギスギス感にハラハラしつつ、収束まであっという間だった。2006年の作品だが古さはなく、今読んでも新鮮だった。良い作品と思う。
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火村&有栖コンビが、とある勘違いから目的地とは違う島にたどり着いてしまい、そこで連続殺人事件に遭遇すると言う話。
秘密にしておきたいこと。というのが、引っ張る割には大したことがなかった。あーそんなのかーって感じ。
周りの登場人物がやけに攻撃的なのが、ちょっとおかしいと思った。
お見合いの話とか、周りが怒ること自体がおかしい。 -
読んだあと一番に思ったのは「この話はミステリーなんだろうか、SFなんだろうか」ということだった。
いや、殺人事件はあるししっかりとしたミステリーなんだけど、「事件が起きて探偵がそれを暴く」っていうベースも同じなんだけど、それでも根底にあるテーマがテーマだからかそんなことを考えてしまう。
この話が書かれた時よりも今はずっと技術は進歩しているんだろうけれど、でも実現したと言う話を聞かないのは法律もあるんだろうけど倫理観とかそういうものがあるのかなーなんて。
でも、この小説の中では、せめて創作の世界の中では叶えて欲しかった。
謎解きのシーンが本当に辛くて……そこまで解かなくてもいいじゃない、そこは崩さなくてもいいじゃない、って読みながら思ってしまうほどに。
名前に気付いた時は「そんな所にまで……」って愕然とした、まさかそこまで徹底的に対比がしてあったなんて。
読み終わった後に「命」について考えてしまう、そんなお話だと思う。 -
果たしてミステリに派手さは必要なのだろうか?ここ2年半だけで読んだ本は多分200冊は超える。ほぼミステリだ。この話の位置付けとしては派手ではない。トリックも奇抜ではない。読み手に対する謎への引き込み方がうまい!それに尽きる。アウェイの中で罵られながらというのは、同日に読み終わったクイーンのお話が思い浮かぶ。探偵はその推理の過程において、誰かのプライバシーに踏み込み、時に失礼を承知で推理を披露する。火村には有栖がいて、お互いに補完し合いながら、真実に迫っていく。その描き方がよかった。
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連続して起きたふたつの殺人。隔絶された島で、死体の状況や島に集った人たちの証言だけをもとに推理を進める火村と有栖川。
二人の子供たちを中心に周りの大人たちが動いているような不思議な印象。
そして、まったく見えてこない動機。
火村たちは手持ちの少ない情報だけを頼りに、論理的に犯行までのありようを再構築していく。
先の見えない展開はそれなりに面白かった。
ミステリーとしての出来もいいし、何より「火村」シリーズということで安定感もあった。
読者の勝手な思いだろうが、より完成度の高いものを期待していた分、可もなく不可もなく・・・といった思いが残る。
印象に残ったのは成功するビジネスは三つのタイプに分類できる。顧客を脅すか、癒すか、魅せるか。
エンターテインメントのどの分野にも共通する気がして、なるほどと納得してしまった。 -
これも久々の再読。すっかり話を忘れてた。。。
改めて読むと、すごい設定だなと思った。間違えて違う島に連れていかれるとかあるのかなぁ‥‥。
一連の作家アリスシリーズの本を再読していてつくづく思うんだけど、作家アリスって何気に毒舌で面白い。火村先生よりよっぽど気が強い(笑)。 -
孤島を舞台にしたミステリだが、さすがの有栖川。怪奇小説のような不気味な島を舞台に意外な真相の事件を見事に描いてみせた。怪奇小説と書いたが、ホラー的ではなく、不可解という意味である。
事件前の導入部も十二分に尺を取って島に宿る「魔」を描いてみせた。 -
一つ前に読んだ有栖川有栖作品が短編集だったせいか、長編の冒頭部分がなかなか進まなかったが、それでも読んでいくと止まれなくなる。
章が変わるところまでで今日は終わりにしようと思っていたのに…もう少しだけ、あとちょっとだけ…と、とうとう寝不足になる。
事件を解決して一件落着、めでたしめでたし!という爽快感が ない のが有栖川有栖作品の いいところ だなと思っている。
一抹の不安のようなものが心に残る。「君はどう思ったかな?」と作者に問われているようでその余韻に浸るのが私は好きだ。