死後の恋: 夢野久作傑作選 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206417

感想・レビュー・書評

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  • 久作の短編集は何冊か読んでいるので(角川の少女地獄、教養文庫の死後の恋、ちくま文庫の日本文学シリーズなど)収録作品の被り程度を前もって確認、どうやら半分くらいが既読だけど、残り半分は未読の作品のようなので読むことに。

    さて表題作は安定の狂いっぷり。怖さ不気味さおぞましさどれをとっても最高の完成度。それでいて一抹の憐憫。初読のものでは、脱獄した凶悪犯が人形だらけの家に迷い込む「白菊」は道具立てが好み。「怪夢」は夢日記のような印象。「悪魔祈祷書」はむしろ実在してほしい。「木魂」はなぜかずっと脳内で、つげ義春の絵で浮かんでました。

    夢野久作名義でのデビュー作にあたる「あやかしの鼓」も読み応えがあって面白かったです。呪われた鼓の言い伝え、その製作者の末裔と呪われた側の末裔のドロドロした伝奇的な設定に加えて、美しい未亡人が鞭を持って迫ってきたり、狂人を装ったある人物が「実は私は○○なのだ!」と正体を明かすどんでんがえしがなんと二段構えだったりと盛り沢山。ただ主人公の行動原理が不明でいささか幼稚なのでイラっとしていたところ、巻末に収録されている当時の書評で乱歩が色々鋭く指摘していて目から鱗でした。

    ※収録作品
    「死後の恋」「瓶詰地獄」「悪魔祈祷書」「人の顔」「支那米の袋」「白菊」「いなか、の、じけん」「怪夢」「木魂」「あやかしの鼓」

  • 手軽な狂気。そのまま読むぶんには良いが頭を捻って考察をしようなどと考え始めると途端に自分の肌の裏に蠢くものが血と肉であるのか分からなくなってくる。

  • 悪魔祈禱書、木魂、死後の恋
    よかった

  • 読んでいる内に異界に入ったような感覚、読後に現実にいることを思い出す感覚、それを味わえただけで満足する、夢野久作らしい一冊でした。

  • どの作品も珠玉と行った感じ 表題作の綺麗な凄惨さがたまらない
    実は一押しは「いなか、の、じけん」

  • 日下三蔵さん編。解説も読み応えあります。
    <収録作>
    死後の恋
    瓶詰地獄
    悪魔祈祷書
    人の顔
    支那米の袋
    白菊
    いなか、の、じけん
    怪夢
    木魂
    あやかしの鼓

  • 夢野久作は『ドグラ・マグラ』を挫折し、ちくま文庫を読んだきりでした。今回、短篇集なので読めるかな、と思い読み出してみたら面白く、ぐいぐい世界に引き込まれました。
    怖ろしいけれどそこに独特の美学があるように思えます。
    ちくま文庫にも収録されていたけれど『瓶詰地獄』が二人だけの楽園の救いの無さ、禁忌を犯す兄の血の滲むような苦悩が見事で印象に残ります。『いなか、の、じけん』はユーモラスなものからぞっとするようなものまであり、当時の田舎ではほんとうにこれと似たような事が起こっていても不思議ではないのかも…と思わせられる物語で様々な読後感を得られて楽しめました。
    いつか『ドグラ・マグラ』に再挑戦してみようか…。

著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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