警官の掟 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 426
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101223285

作品紹介・あらすじ

東京湾岸で男の射殺体が発見された。蒲田署の刑事は事件を追い、捜査一課の同期刑事には内偵の密命が下る─所轄より先に犯人を挙げよ。捜査線上に浮上する女医の不審死、中学教師の 死、不可解な警官の名前。刑事の嗅覚が事件の死角に潜む犯人を探り当てたとき、物語は圧巻の結末になだれこむ。徹底したリアリティと重厚緊密な構成で警察小説の第一人者が放つ傑作長編。『犬の掟』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 佐々木譲『警官の掟』新潮文庫。

    『犬の掟』の改題作。道警シリーズに比べると大分見劣りのする警察小説。

    波に乗れないままに読み終えた。冒頭から矢鱈と込み入ったストーリーで、挙げ句に登場人物の多さが読み辛い作品にしているようだ。

    東京湾岸で発見された射殺死体。単純に見えたはずの事件は過去の事件をも掘り起こし、警察組織の内部にも関わりをみせる…

  • 東京湾で発見される死体、所轄の刑事とその同期の捜査一課の刑事が事件を追う。少々長い気がするけれど、じっくりと事件を捉え、最後はそう来ましたかと。二人(二組)の捜査が順番に書かれてて、着実に進んでるって感じで良かったけれど、二人の絆に関しては、最初だけで弱いように感じが。誰か寄りのもう少し深い心情があればよかったかも。それと、作者、北海道出身の方と思ったけれど、途中から、自分に馴染みの地名が出て来て、それはそれでちゃんと調べて来たのかなあと、驚き。

  • 流石の佐々木譲さんという読み応えのある作品でした。
    所轄の捜査と本庁の捜査が交互に進んでいくのが最初は読みづらさを感じたが、段々と引き込まれていき一気読み。犯人がわかってからの急展開にビックリし、凄いラストでした。

  • 「警官の血」
    「警官の条件」に続く、シリーズ第3段!



    では、なかったという(笑)。

    「掟」に縛られた組織と、
    「掟」を踏み越えた男、
    「掟」に殉じた男、
    「掟」と「友情」に葛藤した男、

    ……の物語。

    切ない結末。

    ★3つ、7ポイント半。
    2018.10.10.古。

    ※「犬の掟」からの改題だそうで。
    改題によって、よりテーマに沿ったタイトルになりはしたけれど、上述の通り、ちょいと紛らわしい(笑)。

  • 警官の血、をとても面白く読んだのでこちらも購入。ただ、元々は犬の掟、というタイトルの改題なので繋がりはないんですけどね。

    本全体に流れる、ドッシリ厚みのある感じや緩むことのない張り詰めた雰囲気、そんなところは本作もしっかりあり、これが良い緊迫感を与えていると思う。


    物語は、1人の暴力団員が銃殺されたところからはじまる。単なる暴力団員同士の抗争事件、つまり簡単に解決できる事件であると想定された事件であったが、解決の糸口は思うように見えず、捜査は混迷していく。。


    2組の捜査官が交互に描かれ、それぞれに事件の鍵となるパーツを地道な捜査によって集めていく。その構図は、読者からみるとひとつひとつのパズルが埋まっていき、意外な犯人か徐々に導かれていく、というもの。

    全体として面白かったし、読み応えは十分、ただ、個人的には意外な犯人がわりと早い段階でわかってしまったこと。これは、わざとわからせるようにした、のだと思うけど、なぜ、そこまでの凶行に至ったのか、その真相解明とともに、分かるようになっていたら。。とは思いました。

  • 「警官の掟」とあるが、「警官の血」シリーズとは関係はない。
    犯人の出現が、あまりにも唐突で(予想は出来たけれども)、犯人捜しについての伏線も最後の方まで出現しない。
    かつ、動機についても全く共感は持てない。
    作者は別に共感は求めていないと思うが。
    代わりに、読者をミスリードしようとしているのだろうエピソードにページがかなり割かれているが、これは冗長でしかない。

  • 2組の警官がそれぞれの立場から事件を追います。最近未解決事件が話題になることが多いですが、これも過去4件の事件に関連性が見えた時、事態が大きく動きます。同期の松本にしても波多野にしても、やるせない思いが強いです。



  • 伏線に次ぐ伏線。

    最後が衝撃的な結末。

    多くは語らず、ぜひご一読ください。

  • 佐々木譲さんの警察小説は大好きで
    登場人物が多いのも複数の方向から事件を追うのも好きなのですが
    今作は中心になる四人のキャラクターの特徴が弱いというか、混乱した。
    小説なのであり得なそうな事が起きるのは良いのだけど、結末へ向かう下りが唐突だった。
    2方向からの捜査と、容疑者や証言者の把握に
    集中していて、じつは伏線はしっかりあったと読了して気付いてしまった。

  • 本作の原題は『犬の掟』だとか。
    文庫化で『警官の・・』と改題したのは、好評の道警シリーズに「警官…」と付してあり、さらに傑作の『警官の血』にあやかった販売戦略上の目論見だろうか。
    所轄と警視庁の二組の刑事たちが、連続殺人事件を追うが、二組の場面が頻繁に変わるので、戸惑いを感じたことは否めない。
    刑事たちが訪ね歩く事件現場の情景を詳細克明に描写するリアリティー溢れる著者の手法は、今作でも如何なく発揮されている。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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