- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101233017
感想・レビュー・書評
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山下洋輔「ピアニストを笑え!」
山下さんの若い頃のエッセイ。文章にユーモアがあり面白い。途中で退屈になる部分も多々あるが、言葉のセンスが良いので、読む価値は十分にあると思う。
p4
・山下洋輔さんのプロデビューは高三。
p16
・わざわざヨーロッパまでジャズをやりに行って何が面白いと、今更言われても困る。とにかく俺達三人の乗ったアエロフロート・イリューシン64型機は、羽田の空へ飛び上がってしまった。
p18
・プロ野球にマンコビッチという奴が入って来た時は、皆困った。
p20
・頭痛発熱ゲロウンコの四十苦
p25
・「ジャガイモをナイフで切ったな。公共の場でそういう事をやると、教養の無い、ろくな仕事の出来ない人間だと思われる。ジャガイモは左手をフォークで、こうほぐすように切るのだ」「ありがとう。しかし、日本人はそれに比べると寛容だな。外人が子供みたいな箸の使い方をしても、そいつの教養を疑ったりしないからな」
p44
・旅とは帰ってくるものなのだ。だから、人生は旅だ、などという言葉が僕には分からない。どこへ帰っていくというのだろう。むしろ、人生は放浪だ、といってくれた方が良い。帰るあてが無く、行きっぱなしだ。
・「猫ふんじゃった」を弾けるのだからジャズがやれないはずがない。
p50
・親とケンカするのは猫とかチータとか他の動物でも普通らしい。
p60
・エルヴィン・ジョーンズの奥さんは日本人。奥さんには頭が上がらないのは有名な話。
p70
・ベートーベンは死ぬ時、雷光を睨んで拳を振り上げて。しかし、ジャズマンが損な事をした話を聞いた事が無い。みんな野たれ死にだ。
p77
・どうせシリメツレツにしか書けない。もともと尻は裂けているのだからかまわないが。
p88
・俺は、こういうことには「ゴルゴ13」のごとく非情だからなんでもない。
p125
・夜空を丸飲みした。
p131
・動物は同じ種同士ではめったな事で殺し合わない。自分が劣勢だと分かったものは負けを認め。勝ったものは命までは奪わない。同じ種で殺し合うのは人間くらい。
p144
・「畜生、心を入れ替えた前科者の気持ちがよく分かる。世間の偏見がまた彼を悪の道へ踏み込ませるのだ」
p167
・異境での病気ほど、外国というものを思い知る事は無いだろう。
p179
・ヨーロッパに下手なベーシストはいない。おそらく伝統だろう。しかし、同じ理由でドラムが悪い。ドラムに関しては日本の方が良い。
p185
・ドイツではビールが水より安い。
p235
・ドイツ人は人に物を聞かれて「知らない」と答える事が出来ない。その「知らない」ということは、自分が馬鹿であるということであって、とても耐えられないのだ。
p250
・「アメリカ文化でオリジナルなものはジャズとブルースだけだ」と言ったのはジェームズ・ボールドウィンだ。深く傷ついた黒人の苦しみの官能化としてジャズやブルースが生まれ育って来たというのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示