バーボン・ストリート (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235042

感想・レビュー・書評

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  • ウィットに富んだ小気味のよい文章だ。若干のクセのある口当たりと、圓やかに軽やかに流れる流れていく。そして「あとがき」で書かれた「バーボン・ストリート」の由来がいい。無関係を意識した結果、良質なバーボンのようなエッセイになっている。

    「深夜特急」や「凍」で沢木耕太郎の卓越たる筆力はわかっていたが、本書はまた別の味わいがある。「わからない」「風がみえたら」で描かた一流のミュージシャンやアスリートの感覚を捉えた感性、「退屈の応用」の哲学的推敲は、特に際立っている。

  • 2014年35冊目「バーボン・ストリート」読了。

    なぜこの本を読もうと思ったのか?

    私が図書館に推薦して入れてもらった本であることは間違いない。しかし、なぜこの本を読みたいと思ったのかが思い出せないのである。たぶん、何かしらの本の中で紹介されていたのだろうということで気持ちを落ち着かせてみるが、気になってしまったものを抑えるのは意外に大変なのものだ。

    なんて感じで、沢木耕太郎風に書いてみる(笑)

    初めての沢木耕太郎。粋な文章でカッコよさがにじみ出ているエッセイだった。特に「退屈の効用」については共感することが多い。いろんな視点から読める。

    ----------(以下抜粋)----------

    「なんか面白いことはねえかな」

    ふたりは退屈しきっているようだった。何度も、つまらない、面白いことはないか、と言い合っていた。それを聞きながら、変わらないな、と思った。彼らの台詞がいつの時代の若者にも共通のものだったからだ。若者は常に退屈している。…退屈で退屈でたまらなかった。すべきことはいくらでもあるのに、もっと面白いものはないかと思いつづけていた。だから、私はよく街をうろついた。…しかし、そうやっていて、面白いことにぶち当たったためしがない。今になれば、世の中にそんなに面白いことがころがっているはずがないと理解できる。たまに面白いことにぶつかるから面白いのであって、しょっちゅう面白いことの渦中にいたらさごど面白くないにちがいない。つまらなくて退屈なのが常態なのだ。そもそも、退屈というのが、そう悪くないものなのだ。

    --------------------------------

    こういうエッセイをかける人というのは(最近覚えた)メタ認知能力が非常に高いのだろうと感じる。常に自分の思考や行動を俯瞰できるというか、日常生活の中での気づきを常に持っているというか、何というか…。私自身もともとメタ認知がどういうものかよくわかっていないので上手く表現できないが、自分のことをもう一人の自分が見ているような感じをさらに粋な文章で表現できるところにカッコよさを感じる。そんな一冊。

    (一番驚いたのは、ちょいちょい出てくる登場人物が超大物ばかりってことだったり)

  • 141208読了

  • めちゃくちゃいいな。
    スカッと爽やかサワコーラ

  • 四半世紀前のエッセイ.

  • 久しぶりの沢木耕太郎、再読。けしてカッコつけていないがクールで静寂な雰囲気。実際にあった話を物語として十分に読めるよう構成し、余分な文章を削り取って推敲し、読ませる文章力に感服。若い時にほとんど読んだが、もう一度読み返したくなった。30歳前半に読んで触発され旅に出たが、50歳を過ぎて読む、深夜特急はどんな感情になるのだろうか?

  • 書かれた時代が一昔前だがらこそ、
    当時の世相が垣間見えて面白い。

  • 一気読み。酒飲みながら読むにはもってこいの、おもしろさ。この人の書く文章は内容は、はたから見たら相当に気取っているようなことなのだけど、なぜかスラスラと嫌味なく読ませるし、彼の見ている明瞭な視野にすっとなじめて、読後感もさわやかだ。寺山修司夫人の言うコカコーラみたいな人、とはなんとも言い得て妙なのだろう。さて、バーボンでも飲みながらレイモンドチャンドラーが読みたくなってきた。

  • 「ぼくも散歩と古本が好き」での、山王書房の親父さん。“いき”である。 また、《彼》として語られた高倉健のエピソードが染み入り、健さんのエッセイを読むキッカケにもなった。 バーボンのように、じんわり後味が出て来るこの本は、ちびちびと再読する予感もある。

  • いいです。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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