深夜特急6 ー 南ヨーロッパ・ロンドン〈文字拡大増補新版〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235332

作品紹介・あらすじ

イタリアからスペインへと回った〈私〉は、ポルトガルの果ての岬サグレスで、ようやく「旅の終り」の汐どきを摑まえた。パリで数週間を過ごしたあとロンドンに向かい、日本への電報を打ちに中央郵便局へと出かけるのだが──。 Being on the road ──ひとつの旅の終りは、新しい旅の始まりなのかもしれない。旅を愛するすべての人々に贈る、永遠の「旅のバイブル」全 6 巻、ここに堂々の完結!

感想・レビュー・書評

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  • 遂に最終巻
    イタリアはローマ、フィレンツェ
    そしてお隣りモナコではマカオのリターンマッチ 
    所持金総額500$を切っているのに、カジノに出陣しようとするのには驚いた

    マルセイユ、バルセロナ、バレンシア、リスボン、サグレス、マドリード、パリ、ロンドン
    マドリードではバルをはしご
    旅を始めて酒場で楽しむのは初めて

    最後は、そういうオチなんだ?

    全巻通して一番前向きに見えたのは、香港とマカオのカジノだったかなあ〜

    所持金1900$で一年以上の旅は凄い!
    時代は違うとはいえ、なかなか出来ません
    若いうちの苦労?は、大きな財産になりますね

    公開中の沢木耕太郎さん原作の映画『春に散る』も観てみたい

    • harunorinさん
      ハピアワさん、こんばんは(*´꒳`*)
      深夜特急の旅おつかれさまでした!
      実は、私も10年以上前にこの作品の旅に出たのですが…インドのあの無...
      ハピアワさん、こんばんは(*´꒳`*)
      深夜特急の旅おつかれさまでした!
      実は、私も10年以上前にこの作品の旅に出たのですが…インドのあの無気力な日々の情景に気持ちがシンクロして停滞してしまい、未だ旅の途中にいます笑
      インドの日々と改めて向き合うか、香港から出直すか、シルクロードまで飛ばすか…悩ましい。
      2023/08/30
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      う〜ん、無理して読まない
      好きなもの読んで楽しく過ごす
      途中でやめる事が気持ち悪いなら、インドを飛ばす、でしょうかね
      う〜ん、無理して読まない
      好きなもの読んで楽しく過ごす
      途中でやめる事が気持ち悪いなら、インドを飛ばす、でしょうかね
      2023/08/30
    • harunorinさん
      ハピアワさん、おはようございます(*´꒳`*)
      明快なコメントありがとうございます!
      ホントそうですよねー 読みたいときに、読みたいものを読...
      ハピアワさん、おはようございます(*´꒳`*)
      明快なコメントありがとうございます!
      ホントそうですよねー 読みたいときに、読みたいものを読みたいと思います。
      まだまだ暑いし笑、コロナ流行り出したし、気をつけましょうねー
      2023/08/31
  • ついに完結…!
    後半にかけては多少のマンネリ化もありつつ新しい巻に入るたびにワクワクさせてもらっていた。苦手なシリーズものでここまでひょいひょい進めたのはハリーポッター以来かも笑

    ローマに入ると心なしかトーンアップしていた。雰囲気が、かな?とにかくフィルターが地中海の青からバラ色くらいの暖色に色変わりしていて、ローマから離れがたいのが何となく理解できた。フィレンツェでは街の佇まいとミケランジェロに軽く翻弄される筆者が何故だか羨ましかった。その土地の空気に心ゆくまで浸れることへの憧れか。
    イタリアからフランスへと直行するのかと思いきやスペインを経由するのが筆者らしい。自分が訪れたマドリードはホームレスや物乞いで溢れかえっていたけどこの時は活気があったみたいで、またもや羨んじゃった。

    しかし筆者の高揚感が徐々に薄れてきており(中継地点の描写が乏しくなりつつある)、終わりがそこまで迫っていると嫌でも実感せざるを得なかった。ついでに自分の感想もいつもよりコンパクト、じゃなくて、薄っぺらい笑

    「ほんとにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな」

    旅の締めくくりは些か拍子抜けしたけど、途中漏らした↑を考えると自然な流れなのかも。行ったつもりが良くないと言うけれど、分かったつもりだって充分おっかない。
    自分自身全く旅慣れていないけど、いちばん心に留めておかなきゃいけない心得なのかも。自分の中に「分からない」の余地を残しておく事で余計な痛い目を見なくて済むし、旅ももっと楽しくなる。本当に分かった日が、本当の旅の終わりなのだ。

  • 沢木耕太郎『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫。

    刊行当時、若者たちの旅のバイブルと呼ばれた本作もいよいよ最終巻。インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスでの移動を主題に旅を続ける著者はイタリアからスペイン、ポルトガル、フランス。そして、ゴールのロンドンへ。長い旅を終え、新たな旅が始まる……予感。

    著者は26歳の頃に1年を掛けて、アジアからヨーロッパを旅したというのだから、並みのスケールの旅ではない。普通に働きながら1年という時間を創り出し、海外を旅するのは経済的にもかなり難しいのだが、本作に描かれた旅はそれだけ価値のあるものであったのは間違いない。

    マカオのカジノで痛い目を見たはずなのに、モンテカルロのカジノで200ドルの敗けを取り戻そうとする著者の姿には苦笑したが、後に『波の音が消えるまで』という傑作を刊行したことを考えれば、こういう経験も無駄ではなかったのかと思う。

    最後の最後にオチがある。

    巻末には井上陽水と沢木耕太郎の対談『森の少女とカジノの男』と『あの旅をめぐるエッセイ』を収録。




    旅に対しての自分なりの経験と考えを少しだけ。

    結論から言えば『若い時の旅は絶対に人生の糧になる』ということ。

    最初の本格的な旅は35年以上も前のこと。学割で北海道周遊券を購入し、深夜列車で青森に向かい、青森からは青函連絡船に乗って北海道へ。周遊券を最大限に利用し、列車とバス、時にレンタカーやヒッチハイクで1ヶ月余りを掛けて北海道を隈無く巡った。時刻表を見ながら行き当たりばったりで旅するというのは刺激的で非常に面白い経験だった。その間、畳の上に寝たのは僅か4日。殆どが野宿か、旅先で出会った同世代の若者のテントに泊まったり、移動途中の列車やバスの中で寝たりと、若いからこそ出来たのだろう。

    働き出してからは、毎年夏になると仲間とワゴン車に乗り、2泊3日で波乗り旅行に出掛けた。テントに泊まったり、民宿に泊まったりして、波乗りを満喫し、食事や酒盛りを楽しんだ。まさかこの波乗り旅行が15年も続くとは思わなかった。

    こうした経験があってか、どんな場所でも余り動じず、中国やタイの怪しいホテルのベッドでも苦もなく眠れ、衛生面が多少怪しいローカル食堂で食事するのも楽しみの一つになった。

    最近では海外出張でトランジットで乗り継ぎの飛行機に乗り遅れそうになったり、空港にピックアップのドライバーが居なかったり、台風で飛行機が飛ばなかったりと様々なトラブルに遭遇したが、自らが行動さえすれば何とかなるものだ。

    新型コロナウイルスで海外出張も中断してしまったが、本作を読み、海外出張の再開が非常に待ち遠しい。

    本体価格590円
    ★★★★★

  • 少しずつ読み進めていた『深夜特急』、ついに完結。
    狂騒の香港や、衝撃のインドの巻も良かったけれど、街の美しさに素直に感動している最終巻の穏やかさも意外に好みだった。
    旅も終盤を迎え、一周回って「外国ってわからない」「ほんとにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな」という境地に達する著者。
    みんながその認識でいれば、戦争なんて起こらないのに、と今の情勢に思いを巡らせずにはいられない。

  • 「分かっていることは、分からないということ。」
    インドのデリーからロンドンまで乗合バスで駆け抜けた旅の終わり。
    世界はどこまで行っても分からないことばかりだった。
    一緒に旅したような達成感といくばくかの喪失感を味わっています。
    いやいや、旅の終わりは旅の始まり?
    最後に打った電報がイカしてますね。

    日本に住んでいるとオブラートに包まれているけど、人間が生きる上で必要な根源的な営みや欲求がむき出しのまま晒されていた。
    それをむき出しのまま体感したかったのだと思う。
    特に香港、インド、シルクロードがエキサイティングでしたね

  • 文庫版の「深夜特急」の最終巻となる第6集。ヨーロッパ内を移動する旅。ギリシャから船でイタリアのプリンディッシに移動し、そこからは陸路での移動。ローマ、フィレンツエ、モナコ、マルセイユ、バルセロナ、バレンシア、マドリッド、リスボン、パリ、ロンドン等、私自身も行ったことがある場所が多くなってくる。これまでの旅のような大きなトラブルはヨーロッパでは起きず、順調に旅は続いていく。
    第6集では、どこで旅を切り上げるかが沢木耕太郎にとって大きなテーマとなっていく。香港から始まった旅、一応、目的地はロンドンと決めているが、ロンドンに行き、旅を切り上げる決心がなかなかつかない。ポルトガルでいったん旅を切り上げる決心をして、パリ経由でロンドンに行くが、結局、もう少し旅を続けることにしたところで、「深夜特急」は完結する。
    「深夜特急」を読み返すのは、何度目になるか分からない。5-6回は全体を読んでいると思う。私は、1度読んだ本を読み返すタイプの人間ではない。5-6回読んだ本は「深夜特急」だけだし、読み返すこと自体が珍しい。
    この本を、最初に読んだのは、おおよそ30年以上前。こんな旅の仕方があるのだ、ということに驚きながら、また、各地で沢木耕太郎が巻き込まれる出来事や、あるいは、各地の様子等が面白くて、息もつかずに読んだことを記憶している。2度目以降は、筋は頭の中に入っているので、描かれている旅自体に新鮮な驚きはない。それでも、読み返すのは、私自身が、ここに描かれているようなこと、「このようなことをしてみたい」と思っており、自分自身をこの物語に投影しているからだろう。
    でも、「このようなこと」ってどんなことだろう?ひとつは、日常から離れて、自由気ままに旅をすることだ。それは、「男はつらいよ」の寅さん的な生き方に憧れる気持ちに近い。もう一つは、自分自身の想像の及ばない世界を経験してみたい、ということだ。あらゆる意味で「遠くに行く」旅をしてみたい、ということだ。「深夜特急」の中で、沢木耕太郎は、旅を続けていくにつれ、旅に飽きてしまう部分が出てくる。そのことを、作品中に書いているが、そのようなこと自体も、「遠くに行く」「想像もつかない経験」のひとつになり得ると思うので、読み返しても面白く読んでいるのだろうと思う。

  • 同じ時代、同じ土地
    それがあれば本当に完璧だった

  • 面白かった!香港からロンドンまで。心情が丁寧に書かれていて一緒に旅をしているような気分になった。

  • 全6巻通して、面白かった。旅に出たくなった。
    締めくくりも、旅に終わりはないという感じで、心地よい読後感だった。


    巻末に単行本あとがきと、韓国語版あとがきがあり、後者にて
    「私にとって初めての外国は韓国でした。二十五歳のとき、飛行機が海を越え、半島の上空に差しかかった瞬間の感動は忘れられません。ーーこの地から、西に向かってどこまでも歩いていけば、ヨーロッパに達することができるのだ!」p273
    私も25歳での韓国旅行が初海外だったので、親近感と、飛行機の窓から見えた景色を思い出し、あのワクワクを思い出し、嬉しくなった。
    ヨーロッパまで歩いて行こうとまでは思わないが、日本がちっぽけな島国で、広大な世界のほんの一部に過ぎないことを思い知らされる。


    「知らなければ知らないでいいんだよね。自分が知らないということを知っているから、必要なら一から調べようとするだろう。でも、中途半端に知っていると、それにとらわれてとんでもない結論を引き出しかねないんだな」
    「どんなにその国に永くいても、自分にはよくわからないと思っている人の方が、結局は誤らない」p122
    「ほんとにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな」

  • ずっと読もうと思っていたのだが、コロナで旅行できない今ほど最適なタイミングはないのではないかと思い、ついに手に取ってみた。
    寝る前に少しずつ読もうと思っていたのに、6巻一気読み。こんな旅行に憧れる一方、私には無理な気もするのでやはり読書が正解!
    あと、何気に対談と巻末エッセイが面白い。

    南ヨーロッパ・ロンドン編は、意外にも心温まる旅だった。
    最後のオチがとにかく笑う。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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