魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101240510

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記シリーズを読んだ後に読んだので、おかげで怖さはなかった。十二国記の世界を知らずに読んでたらめっちゃホラーだったんだろうなぁとも思うけど、やっぱり最初に読んでみたかったかも?

    異質な高校生、高里の周りで次々と起こる事件。残酷な死。でもその残虐さと同じくらい、周りの人間の偏見や思い込み、異質なものを排除しようとする力も残酷だ。

    自分の居場所がないと感じる人は多いと思うけど、現実は誰かが迎えに来てくれるわけではないし、選ばれし人なんていない、残念ながら。その中でどうやって折り合いをつけて生きていくか。自分で自分の居場所をつくれるか。

  • とうとう手を出してしまいました十二国記シリーズ。けっこうボリュームあるから躊躇していたのですが、新刊も出たようですし、何より人気シリーズみたいだし。
    日本の女性ファンタジー作家三羽鴉のいよいよ3人目です。さすがですね、この本もぐいぐいと引き込まれるように読み進みました。

    で、で、で、あれ?十二国記ってファンタジーじゃないの?現代のまま、白い腕だけとか一つ目の犬とか・・・ホラーやん。高里に関わった人間が次々と不審な事故に遭い、時には死亡事故まで。いや、なかなか怖かったですね。
    後藤と広瀬のやりとり。「人は汚い卑しい生き物だよ」「エゴのない人間はいない」。いやーダークだなあ。あまりにもズバリと指摘して・・・そして最後の広瀬のエゴ。「人が人であることは、こんなにも汚い」・・・

    ムルゲン、グリフィンに泰麒、廉麟、白汕子、傲濫、なんて言葉が出てくるとファンタジーと思いますけどね。

    解説の「著者に訊ねたいと思う。私たちは、どこへ行けばいいのか、と」が最後に響くな。

    けっこう謎なところが多かった感じですが、書評をチラ見したところ、伏線というか次巻以降を読むといろいろわかりそう。では、いざ本編へ。

    あ、そうそう、この本って実はけっこう古いんですよね。電話のくだりがね、やはり時代を感じるなーと思って。ケータイなんてものが普及する前のお話なんだな。って、何年前?

    • decoさん
      ようこそ、十二国記シリーズへ!
      ほんと本巻は昔々ですよ。
      シリーズ新刊リリース何年待ったことでしょうw
      ようこそ、十二国記シリーズへ!
      ほんと本巻は昔々ですよ。
      シリーズ新刊リリース何年待ったことでしょうw
      2013/06/22
    • urarinchoさん
      コメントありがとうございます。
      その昔の本が復刊というか新装丁でまた出てくるというのが、人気がある証拠ということでしょうなあ
      ご長寿シリーズ...
      コメントありがとうございます。
      その昔の本が復刊というか新装丁でまた出てくるというのが、人気がある証拠ということでしょうなあ
      ご長寿シリーズは気長に待つしかないですもんねえ。ファンにはツライ!
      2013/06/23
  • この作品で「人の怖さ」を改めて感じ、心が重くなる。
    人が恐怖のあまり、人を攻撃し抹消しようとする。
    第三者からみて、それはあまりにも理不尽に思え、理性的でないと明らかに感じることでも、本人は気づかない。
    むしろ、自分を守るために、なんの躊躇もなく暴力や罵声を浴びせかける。
    それが、どんどん周りに伝播していき、誰も理性的ではなくなる。
    緊迫感のある恐怖と、人が狂っていく様が描かれていた。
    そして、最後の最後、「人の闇」に気づいたとき、怖さよりもしんどいという感情が勝ち、とても考えてしまった。
    感情移入をしてしまったのも大きい。
    「人って、なんで…」
    人が人であることは、汚いことなのかもしれない…。
    読み終わった後に、ふと思う。
    小野不由美さんの描写力、人を惹きつける力は圧巻だなと。
    十二国記シリーズを全部読み終えた後に、またもう一度今作を読んでみたい。
    もしかしたら、違った見え方がするかもしれないから…。

    • bmakiさん
      はい!その通りと思います。
      十二国記シリーズを読み終えてここに戻ってくると、全く違う読み物になるかと。。。
      はい!その通りと思います。
      十二国記シリーズを読み終えてここに戻ってくると、全く違う読み物になるかと。。。
      2024/01/15
  • 十二国記シリーズでよく話題に上がるのが、この魔性の子をどのタイミングで読むか?
    まずこれを読むに当たって、少なくとも「黄昏の岸暁の天」までは読むべき。
    最初に読んだなら★2程度の作品だが、本編読んだ後では、全てが伏線に思えて面白すぎる!ゆえに★5の作品!
    銅の剣がロトの剣に昇華した!というような感覚を憶える小説。これを最初に執筆して、後に十二国記シリーズを手掛けていく……最初から壮大な構想ができていたからこそのエピソード0なのだと実感しました。
    さすがは小野主上です!

  • 母校に教生としてやってきた広瀬。受け持ったクラスで一人だけ違う雰囲気を纏う生徒、高里が目に留まる。聞くと彼は昔神隠しにあい、忽然と消え、1年後にまたふっと戻ってきたというのだ。

    ある日、生徒が高里をからかった後に事故にあった。それを機に高里にちょっかいをかけたものは後日何かしらの事故にあうということが続く。

    因果関係が掴めないまま広瀬は高里と話すうち、高里は神隠しの間の記憶がなく、その時にいた場所を思い出そうとしていることを知る。「ここは自分が本当にいるべき場所ではない」と常々思っていた広瀬は高里にシンパシーを持ちどんどんのめり込んでいく。

    そして高里の周りで起こる事故も死人が出るほどになり、クラスは集団パニックを起こす。「お前が祟ったんだろう?」と高里を咎めれば後日何かしらの事故が起こる...、事故の内容も規模もエスカレートしていき収拾のつかない事態になっていく。

    広瀬は高里を庇うが高里はどんどん孤立していく。そんな中で高里は記憶を少しずつ取り戻し、やがて真相に辿り着くことになる。

    十二国記のエピソード0にあたる話。ホラー調で不気味なんだけど、展開が気になり次々とページをめくってしまう。この話がどのように繋がっていくのかとても楽しみな内容でした。

  • 「自分の居場所は別の場所ではないか」と感じている泰麒に対して、強い共感を覚えてこの世界に居場所を作ってやりたいと思っていた一方、最後には自分がその場所に帰れないのであれば、泰麒が帰るのも許せなかった広瀬。
    月の影に出てきた陽子の友人 杉本さんを思い出した。自分が選ばれたかった。自分の居場所が他にあるはずと思いたかった。
    十二国記ではそういった驕りとも取れる人の思いがかなり生々しく残酷に描かれる。
    これに共感、もしくは辛く感じる人は現代に多いのではないだろうかと思う。
    自分は胎果で、いつか麒麟が迎えに来るんじゃないか。そんな願いが実は心の底にあるものではないだろうか。だからこそこの結末は残酷だ。
    広瀬や杉本さんは私の一部ではないかと思う。
    そう思って辛くなる度、陽子が言う「自分の王である」ということを度々思い出さなければいけないのだと思う。

  • 15年くらい前に読んだけれど、内容をキレイに忘れてしまっていたので、初めて読むワクワク感とともに楽しめたのが良かった。
    唯一ちゃんと覚えていたのは泰麒の話、という1点。悪いことが起こってくんだったっけ?というぼんやりした記憶以上に悲惨な災いが発生していてお終いまでハラハラし続けた。広瀬という視点者が、程よく読者と物語を繋いでくれたと思う。このまま十二国記本編を久し振りに読みたい、そんな気持ちの高揚をもたらしてくれた。

  • ついに十二国記シリーズに手をつけてしまった。ずっと気になっていたけど十数冊あるということで非常に迷っていた。読む順番とか色々あるみたいだけど、エピソード0であるこちらの魔性の子から素直に読むことにした。ホラーというわりにはそこまで怖さは感じなかった。が、色んな謎を残したまま終わったため先が気になる!

    個人的に印象に残ったのは、高里のことをずっと同胞だと思っていた広瀬。
    広瀬「ここは俺たちの住む世界じゃないよな!」
    高里「あなたの世界はここ。おれ人間じゃない。」
    広瀬「!!!!」
    この時の広瀬の絶望感はきっと計り知れないものがあるだろう。そんな広瀬はこの世界とどう折り合いをつけて生きていくんだろうというのが気になった。
    広瀬の今後に幸あらんことを。

    • kuma0504さん
      ようこそ、十二国記の世界へ。
      ここにある伏線を20数年後に回収するという力技も是非お楽しみ下さい。
      ようこそ、十二国記の世界へ。
      ここにある伏線を20数年後に回収するという力技も是非お楽しみ下さい。
      2024/04/09
    • イータンさん
      二十数年で伏線回収とは、ファンの方にとってはすごい出来事だったのかな。とか考えると続きを読むのが楽しみになってきました!
      二十数年で伏線回収とは、ファンの方にとってはすごい出来事だったのかな。とか考えると続きを読むのが楽しみになってきました!
      2024/04/10
  • 十二国記シリーズのはじまりにあたる本書。背表紙には「戦慄の序章」とある。まさにそのとおり。子どもの頃から遊園地のお化け屋敷さえ苦手な超怖がりだったから最初の最初から嫌〜な予感がしてたのに。見てはいけないものほど見入ってしまうように、または「何者か」に引き込まれるように、ぐいぐいと読まされてしまった。ほんとに怖い。怖すぎて、次の一冊を読まずにいられない。

  • 息子が面白いから読んで!と勧めるので仕方なくチャレンジ。日常からかけ離れすぎていて、初めは読破できるか心配だったが、読み進めるとワクワクしている自分に気づいた。おばたんにも楽しめたダークファンタジー。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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