橋ものがたり (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247052

感想・レビュー・書評

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  • 2014/3/11〜2014/6/21

  • 藤沢周平が描く江戸町人の世界。本書では表題通りに「橋」をキー・コードに物語が拡がっていく。「橋」は、境界でもあり、また人と人とが出会う場でもある。そして、ここには藤沢文学に特有のせつなさと、しみじみとした暖かさがにじむ世界がある。

  • さわやかな読後感

  • 橋の上での出会いと人生。いくつかの短編に流れるのは共通した心温まる下町の人々への愛。橋で毎日出会う女性への秘かな想い。幼女時代に橋で捨てられ、拾われて幸せになった女性の知らない過去探求。5年後に会う約束をした幼なじみの男女のその日。感動の香りが漂ってくる佳品ばかりです。

  • 13/07/31 言うことなし。

  • でもちょっと飽きてきたかな、このストーリー展開、って感じ
    飽きてきたとは言うものの、藤沢周平好きですよ、読み続けています。

    先に『男性に都合の良い、男性が好むような女性像で、そこに違和感を感じました』と、感想がありましたが、言われればそうだなと思いました。
    師の小説には、いろいろな女性が出てきますが、「男性から見た女性」ですね。

  • 短いながらも、気持ちが温かくなるお話が、たくさん詰まってます。

  • 初めて藤沢修平さんの作品を読みました。
    読みやすくて面白く、ドラマ化されるのも頷けますが、個人的には女性の存在がいい加減に感じました。男性に都合の良い、男性が好むような女性像で、そこに違和感を感じました。
    男性向きかしら。

    時代物短編集です。
    登場人物のそれぞれにある「橋」。その橋のこちらとあちらで違ってくる人生の転機。

  • 橋にまつわる、10篇からなる短編集。
    「約束」
    錺師の幸助は年季奉公が明け、家に戻ってきた。五年経ったら会おうと約束していたお蝶との約束を胸に橋へと向かう。だがお蝶は一向に姿を見せず、幾度も帰ろうかと迷う。女郎となっていたお蝶の心情が切なかったが幸せを掴めそうでほっとした。

    「小ぬか雨」
    おすみは独り暮らしをしていたが、ある日見知らぬ男を匿うことになる。おすみに所帯を持つ約束をした相手がいたが、男への思慕が募っていく。そして男への追っ手が…。

    「思い違い」
    職人である源助は両国橋でいつもすれ違う女に恋をしていた。その女おゆうの窮地を救ったことで言葉を交わすようになる。しかし親方に娘婿として迎えたいという話を持ちかけられ…。源助とおゆうが幸せになれるといい。光が見える結末だった。

    「赤い夕日」
    おもんは博徒の父の存在を隠したまま、若狭屋の嫁となった。幸せな暮らしを送っていたが、夫の新太郎には女がいると手代の七蔵が告げ口をしてきたことで心が乱れている最中、父斧次郎が病で余命幾ばくもないと知らされる。悩みぬいた末に父を訪ねるが…。新太郎が誠実な男でよかった。おもんの人生に影が差すことなく終わってほっとした。

    「小さな橋で」
    お店で働く姉おりょうが既婚の手代と夜遊びが出来ないように、迎えに行くのが広次の日課だった。しかしある日姉は手代と駆け落ちしてしまい、広次は母と子ふたりで暮らすことになる。偶然に父親と再会するも、父親は追われており、金だけを渡して去る。心細さから夫以外の男に頼ろうとした母との橋での会話が切なくもあったが、広次が見せる矜持が微笑ましい。

    「氷雨降る」
    真面目に働き続け、息子に跡目を譲ると吉兵衛は己の居場所がなくなったことを感じていた。あるとき昔馴染みの店で呑んだ帰りに橋の上でひとりの女を拾う。手を出すこともなく面倒を見てやるがその女は物騒な連中に狙われていて…。

    「殺すな」
    吉蔵とお峯は駆け落ちをした。お峯の夫に見つかることを恐れひっそりと暮らしているがお峯は昔の華やかな暮らしが忘れられないようで、田舎暮らしを厭う。貧しさや人目を恐れて暮らすことで互いを憎んでしまう前に別れようとするお峯。そんなお峯を手放そうとしない吉蔵がお峯を追って走り出すが、長屋の浪人に止められる。お峯の背中が切ない。

    「まぼろしの橋」
    おこうは呉服屋美濃屋に拾われ、娘として育てられた。そして跡取り息子の信次郎の嫁となって幸せに暮らしていた。しかしおこうは橋の袂に己を置いていった父の姿が忘れられない。そんな折、父の知人だと名乗る男弥之助が訪ねてきて…。弥之助の話したことは偽りだったが、弥之助の心中を思うとどうしようもなく切なくなった。

    「吹く風は秋」
    七年振りに弥平は江戸に帰ってきた。賭場でのいかさまがばれて江戸を離れていたため、親分に詫びを入れる。そして女郎の過去を聞き、作った金を渡して去る。弥平が壷を振る場面の緊迫感が心地よかった。

    「川霧」
    新蔵のもとからおさとは突然姿を消した。橋で倒れていたのを介抱したのがきっかけで、夫婦として暮らしていたはずだった。一年半が経ち、おさとの元夫が島送りになっていたことを知る。お互い納得している様子ではあったけれど、おさとは一報知らせるくらいできなかったのかな…。

  • 読後の余韻と温かさが素晴らしい。
    あさのあつこさんがエッセイの中で絶賛してたから読んだんだけど、ハマりそう。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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