逆転 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250014

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  • 【262冊目】返還8年前の沖縄で、米兵を死に至らしめたとして4人の沖縄地元民が刑事裁判にかけられた。この裁判に陪審員としてかかわった筆者が、判決に至るまでのノンフィクション。
     前半は証拠認定に関する法廷での検事・弁護人のやりとりと証人による法廷証言が延々と続くので、少し退屈。

     ただ、陪審員による審議の場面に入ってから、ぐっと面白くなる。ほとんどが米国人の陪審員の中で、筆者(本文中では「伊礼」という人物に仮託)が孤軍奮闘して、被告人全員傷害致死で有罪!というところから、逆転の結論まで持っていく。

     実はこの後にもう一度「逆転」があるのだが、それまでの民政府による沖縄地元民の見下し方、軽んじ方を踏まえれば充分予想できたオチ。

     こういった裁判1つとっても、米軍占領下でうちなんちゅーがどれだけ苦しめられてきたかよく分かる。だから、彼らが日本復帰を強く望んだ気持ちが分かるようになったかも。あと、米軍基地に反対の人は、目の前で米軍によって起こされている事件・事故だけでなく、こうした差別の歴史も背負っているんだろうなと思う。

  • 第9回大宅壮一ノンフィクション賞。
    アメリカ統治下の沖縄で起きた事件を陪審員裁判で裁いた実話。
    沖縄の青年4人が口論の末、米兵1人を殺害、1人に傷を負わせたとして、重刑が見込まれていたが、著者の粘り(と屁理屈?)で無罪に近い逆転判決を得る。
    サブストーリーとして、著者が経営する会社がREX(沖縄で商売するための特殊免許を発行する組織)に目を付けられ潰されそうになる、という展開があり、当時の沖縄の様子をかいまみることができる。
    後日談として、沖縄青年の1人が著者を訴えた事件が起こったそうだが、和解している。

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