- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101261614
作品紹介・あらすじ
1939(昭和14)年、「女性だけが撮れる写真が必ずある」という写真協会創設者の言葉に背中を押され、新たな一歩を踏み出したのは24歳のとき。ドイツ製高級カメラのライカを購入し、スーツ姿にハイヒールの出で立ちで脚立を抱え奔走する日々。戦争を通して歴史的瞬間にも立ち会った──日本初の女性報道写真家がレンズに収めた人々との貴重な秘話、波瀾万丈の100年を辿るエッセイ。
感想・レビュー・書評
-
2018年3月11日読了。図書館で借りた。
新潮文庫版。
著者の本は数冊読んだが、この本は著者の今ではなく、過去のことを書いた本。そういう意味では目新しかった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本初の女性報道写真家。今年、100歳を迎える笹本恒子
さん。偶然見ていたテレビで紹介された女性は、現役の
写真家だと言う。
まったく知らなかった。報道写真は好きなのだが、これまで
彼女の作品を目にした記憶がない。
なので、新刊書店で本書を見かけた時に衝動買いした。
知らないはずだ。彼女が画家を目指しながら写真家へ
転身したのは戦前。
60年安保の頃までは写真家として活動したようだが、その後は
服飾関係の仕事へ転身していた。以前に撮影した作品で写真展
を開催したのは写真の世界から離れて随分経った頃だと本書で
知った。
本書は2002年に単行本で出版されたのだが、2014年9月で
著者が100歳になるのを機に改訂されて文庫化された。
カメラの扱い方も知らずに飛び込んだ写真の世界で、右往左往
しながら仕事を続けた頃のエピソードとその時代の雰囲気が
綴られている。
古い言い方になるが、職業婦人の大先輩。勿論、人生の大先輩
でもあるのだが、体当たりでの取材体験が興味深いのは前半だけ。
あとは軽い読み物と言う感じで、かなり肩透かしだった。
著者の撮影になる写真も掲載されている。しかし、私の感性
とシンクロしなかったのか心に響かない。残るものがない。
なんでだろう。日本初の女性報道写真家。この肩書が先入観
になったのがいけなかったのか。
苦労話を期待した訳ではないけれど、全体に薄っぺらい印象
が残った。もっと写真の話が綴られていると思ったのだけれど
なぁ。あ、「やらせ」告白もあるけど、既に遠い昔のお話なので
時効だよね。
彼女の写真作品より、100歳、日本初の女性報道写真家という
言葉が独り歩きしているのかな。私には魅力のない写真だった。 -
大変面白かった。
100歳になってからの執筆だとばかり思い込んでいたら、原稿自体は昭和35年に書かれたものだった。道理で近しい時代の事に触れられていない訳だ。
戦争中は、報道写真家として、戦時体制の構築に組み込まれていながらも、本心は戦争が嫌で仕方ないというのがよく伺える。戦争を経験された方の声は重い。 -
写真の撮影技術関係の話は皆無、著者の写真のキャリアの話が中心
-
今年100歳を迎えたそうで、ところどころで脚光を浴びている様子の著者。女性報道カメラマンの第1号だそうで、その過去の思い出を綴ったもの。戦前の内容が多く、そこから当時の様子が垣間見えてくるのが面白かった。わりとおしゃれでモダンな感じがした。
著者は器用なのかもしれないけど、カメラマンとして活躍していたのは、100年におよぶ人生のなかではごく一部の時期であり、フラワーアレンジメントの講師をはじめ、ほかのことを仕事の中心に据えていた時期もだいぶあるみたい。そういう意味では、今も現役カメラウーマンということになっているけど、ちょっと看板に偽りありな感じがしないでもない。一筋に生きてきたというよりは、場当たり的にあっちこっち向きながら生きてきた感じにやや浅薄な印象をもったのも事実。