流転の王妃の昭和史 (新潮文庫 あ 32-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101263113

感想・レビュー・書評

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  • ラストエンペラー溥儀の弟の溥傑と結婚した嵯峨浩の自伝。

    良い家の出であるが故に関東軍の謀で政略結婚させられ、旦那は関東軍の軍人からシベリア抑留、娘は心中、後に中国在住でとコクのあるすぎる人生。
    それでも最後は旦那と再会して幸せに暮らすという結末で救われた。

  • 祖母が亡くなりました。
    それを期に、「祖母は幸せだったんだろうか」と考えるようになりました。
    しかし、私は祖母がどんな人生を歩んできたのか、私が生まれるより前どんな世界を見て来たのか、何も知りませんでした。
    満州に居たと言う話は聞いたことがあります。しかし、それ以上は詳しく聞いたことが無かったのです。
    祖母の生きた時代や生活を、少しでも知りたいと思い手に取ったのがこの本でした。
    この本の筆者は、祖母と同じような年齢の女性です。生きた時代や、見て来た時代も似たようなものだった事と思います。

    ラストエンペラーなんて、遠い遠い時代の話だと思っていた私は歴史の事など本当に何も知りませんでした。
    ラストエンペラー(溥儀)が満州の皇帝であった事、溥儀の弟(溥傑)が日本人と結婚していた事、その一族(愛新覚羅家)が波乱の日々を過ごしていた事、ラストエンペラーの弟が最近まで生きていた事、その娘が今も日本で生活して居る事、全て初めて知りました。
    この本を読むのは、正直とても疲れました。
    色々考えさせられる事が多く、何度も中断しながら読む事になったからです。
    遠いと思っていた昔が、実は意外と近い昔で、そんな頃に現代に生まれて育っている私には想像もしないような世界が広がっていました。
    自由や個人が尊重されない時代、それを当り前だと思って生きて行く。
    中国と日本で恨み争う時代に、中国人と日本人が結婚して両国の友好を願いながら、悪化する関係を見ている事しか出来ない。
    中国人の夫を持って、日本人の血を持って、歴史と国の狭間で生きていた筆者の人生が書かれていました。
    日本人で有りながら、中国人の温かさを訴え、日本人の非道さを訴える内容が多く、日本人として恥ずかしくなったり切なくなったりします。

    政略結婚だった二人が、本当に愛し合っていた事がハッキリ伝わってくる内容で、最後はホッと心が温かくなって読み終われました。
    体験した本人だから書ける本で、読めて良かったと思いました。

  • 久しぶりにひっぱり出してきて読みました

    何度読んでも、この人の過酷な運命を受け入れ
    誰を恨むでもなく、耐え忍ぶ様と
    深い愛で結ばれた夫婦の絆に感銘を受けます

    侯爵家の姫として生まれた作者が、
    清朝皇帝家の妃として
    日本と同じように中国を尊び愛する姿勢に
    美しさを感じました

  • 3年半ほど前に、林真理子さん(今年、「野心のすすめ」で大ブレイクされた女流作家さん)の書かれた「20代に読みたい名作」を読みました。そのとき「うるっときた」と自分のレビューに書いた記録があります。やっと読めました。あっという間に読み終わりました。

    歴史関係の本を読むと『政略結婚』は必需品です。ただ、本人の気持ちがイマイチわかりません。でもこの本は、その本人が書いているのです。

    政略結婚なんていうと、好きでもない人といやいや結婚するイメージですよね。
    でもこのふたりの結婚は違うのです。

    もちろん、きっかけはそうでした。でもふたりは本当に愛を築いた夫婦なんです。
    この著者である浩さんはスーパーお嬢様。そして旦那様は満州のラストエンペラーの弟さんです。とても誠実で、おだやかなかたです。

    二人は第二次世界大戦で離ればなれになりながらも、苦難をのりこえて16年ぶりに再会し、夫婦生活をスタートするのです。
    あの時代ですから、それはいろいろありました。
    しかも、それをなんとか乗り越えたのに、このお二人のお嬢さんに、最近話題の●●●●●●●という事件もおこります。

    いろいろ辛いこともあったけど、夫婦が老後いっしょに幸せに暮らしたというのが、ほっと安心。林真理子さんとおなじく、お薦めです。

  • ラスト・エンペラーとして知られる愛新覚羅溥儀の弟、溥傑に嫁いだ日本人浩の手記。

    箱入りのお嬢様として育てられた少女期、突如として降ってわいた政略結婚への戸惑い、理想と現実のギャップに苦しんだ妃としての生活、そして流浪、帰国してさえも続く苦難。

    歴史の中枢近くに位置した方ならではの、貴重な証言が次々と飛び出してきて、読者の胸を打ちます。既に遠くなってしまった昭和と言う時代をもう一度見直すには、絶好の一冊でしょう。

    ただ、個人的には筆者のお嬢様っぷりが若干鼻につきました。天城山心中も、本書とは違う見方があるようです。だけどこれは歴史書ではなく、あくまでも自伝。激動を生き抜いた筆者の思いを、素直に受け取りたいと思います。

  • 中国と日本の中立の立場で批評されているのが良かった。
    軍国主義とはこのような人生をうんでしまうのだと感じた。
    あとは女性的な見方だと思った。
    満州国とかその辺りの歴史知識が余りにもないことに気づいた。歴史を勉強したいな。

  • 随分前から置いていた本。
    読むきっかけを失い読めずにいたけど、
    いざ、読み始めると面白い!

    全てが興味深い内容。

    愛新覚羅浩さんの波乱万丈の人生。
    当人が書き綴る思いは、本当に重い。
    こんな人生を送れる人は唯一無二。

    満洲国に理想を求めた人たちは本当にいたのであろうが、
    それを全ての人が、共有することに無理があったんやろうなぁ。
    しかし関東軍の奢りは酷い。それもいつの間にか歪み気付かないうちにそうなったのか・・・・

    現在の日中関係を見るにつけ想うことが多いですね。

  • 清朝最後の皇帝にして、関東軍によって満州国の皇帝に祭り上げられた溥儀。その溥儀が唯一心を許していた弟溥傑の政略結婚の相手として白羽の矢が立ったのが著者の嵯峨浩である。
    日本の公家の家柄から中国王朝へ。表面上は政略結婚という不本意なかたちであったが、浩は溥傑の人柄に惹かれ、自らが日本と満州の友愛の象徴となるべく、志と希望に満ちた結婚生活をスタートさせる。
    しかし戦局が苦しくなるにつれ、溥儀をはじめとした愛新覚羅家の処遇にも暗雲が立ち込め始める…。
    一般の開拓団や引き揚げの記録とは違い、日本、とりわけ関東軍が満州国をいかにして作り上げ、そして捨て去ったかがありありと伝わってくる。
    苦しい逃避行を終えたのちにも容赦なく襲う悲劇。清朝の不幸な言い伝えが印象に残った。

  • あとがきが泣かせる

  • 新書文庫

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