ひらいて (新潮文庫)

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感想 : 275
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101266510

感想・レビュー・書評

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  • いやいや、めちゃめちゃ独特な感性を感じるストーリーに驚き‼️です。あんな複雑・不器用・正直な感情表現をする人っているのかなぁ、いるんだろうネ!
    でも犯罪スレスレかも、あの感情ご少しズレたり、タイミング悪かったりしたら『よくあるニュース』に登場しそう…激情って言えば、なんかポジに聞こえるけど今の時代、微妙だと思う。

  • 初の綿矢りさ作品。

    芥川賞作家。なるほどどうりで・・・

    ぶっ飛んだことを衝動的にしてしまう主人公。
    まえに、「勝手にふるえてろ」の映画を見たけれど、
    その主演が松岡茉優ちゃんで、
    あ、綿矢作品が似合うのかもなあと思った。

    文章がすごく変態感のある・・・
    そんなにひとつのことを掘り下げて描かなくていいよーっていうくらい
    しつこい描写が変態感・・・

    たとえくんの雰囲気がとても良いですね。
    お家も荒れているところとか、すごく「っぽい」

    「でも、信じられないのに、なにかを信じなければやっていけない。
    ‶なにも心配することはない。あなたは生きているだけで美しい“と
    丁寧に言い聞かせてくれる存在を渇望し、信じきりたいと望んでいる」

  • 2.6
    →表現がとても美しいなと強く感じました。
    主人公の狂気を感じるほどの懸命な思いが恐ろしかったです…

  • この本の感想は、一言で言うと”わかる”だった。
    思春期特有の
    衝動に身を任せたような行動
    人を傷つけることを躊躇わない狂気
    心に広がり深くなっていく闇
    自分の中に生じる矛盾
    どれも経験があって、愛のことを憎めなかった。
    制御不能で狂気的な自分を経験したことがある人はぜひ。

  • 教室に気になる人がいる時の描写が生々しく学生時代を思い出させてくれました。文化祭遅くまで残って好きな人と作業するドキドキ感といったら。

  • 読んでて中学生のときの好きな人のこと思い出したりした。狂気としか思えないような情熱はもう恋愛だけじゃなく何に対してもあの頃のようにはもてないのではないかと寂しくなった。
    愛の薄ぺらい自分のことしか考えていないところをすごく悪いように捉えられていたけど、美雪やたとえのように考えられるようになる方が難しいのではないかと思う。私は愛のひとりよがりな気持ちも悪くはないと思うなと

  • 久しぶりの女子高生もの。面白い。男子高生=性欲とイメージしやすいが、女子高生=不可解な生物、と思ってしまう世代としては、わかりやすく女子高生の生態と思考を表現してくれている。恋愛ものに一括りするのはもったいない。

  •  『インストール』『蹴りたい背中』に続き自分が触れる綿谷りさ作品としては此が三つ目となる。『蹴りたい背中』以降にもちょこちょこ何か書いていらっしゃったようだが其方は未読。

     という訳で綿谷りさのイメージが"なんか高校生くらいの子たちの純文学書く人"で固まりつつある。他のも読んでおいた方が良いか?

     今回も女子高生の恋愛の話だ。但し美しい青春の物語ではない。生々しく昏い熱情の描写は丹念に厚塗りを重ねた油絵の画面の盛り上がりのようにヴィヴィッドに感じられる。


     要領の良いカースト上位の女子が何故か好きになったのは地味で朴訥な秀才。然し彼が薄幸の美少女と密かに付き合っていることを"不正な遣り方"で知ってしまう。

     そこから先はもう滅茶苦茶。端から余人の介入する余地など無いプラトニックな二人の世界に、それでも我を通して入り込もうとする。

     これは矢張り高校生でなければ駄目だろう。中学生では幼過ぎ、大学生ではもうこの一種不器用な情熱は失われてしまう。

     大人でも子供でもない高校生という時期に特有の若さがある。十代から二十代後半にかけてをざっくりと指す"若さ"とは決定的に意味の異なる特異な若さである。

     お金は無い。部活や勉強に縛られて自由な時間は常に制約を受けている。時として親や教師といった大人は抗い難い権威として頭上に君臨する。クラスルームという閉鎖空間は絆と紐帯と牽制と掣肘と同調圧力に満ちて暗に独特な政治の世界を展開する。 
     傍から見れば綺麗で美しく輝く自由な世界も内実は案外不自由で、ままならないことの何と多いことか。
     だが自意識だけは恐らく人生の中で最も肥大化する瞬間。それが高校生なのだ。故にこそ始末に負えない時がある。

     作中にもそれらしい譬喩表現があったが、まさに変態の最中にある蛹の内部でおどろおどろしく渦巻くマグマのような自意識が、羽化に失敗して宙ぶらりんのままで体感する外界の空気の感触に戸惑うような、繊細ながらもどこまでも力強い奔騰の文学と言えるだろう。

  • カースト上位の主人公が地味な男の子に恋をする青春物語かと思ってたのに、最後は予想外な終わり方だった

  • 文章の複雑さが変なふうに乗っかってしまっている。
    惹き込まれる文だが、あまり面白くはないのかも。
    『蹴りたい背中』の方がもっと直球で鬱屈した気持ち悪さが伝わってきて好きだった。

著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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