隔離島: フェーズ0 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101268316

作品紹介・あらすじ

若き医師・一ノ瀬希世は、伊豆諸島の小さな島の診療所に赴任してきた。人口四百人弱の同地には、健康増進運動が浸透していた。住民たちは皆いきいきと暮らしており、長患いする者もいないという。だが、その運動に関心を抱いていた旧友の新聞記者が突然失踪。希世は不審な死や陰鬱な事件に次第に包囲されてゆく。この島で、一体何が起きているのか――。戦慄の医療サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 母の生まれ故郷である離島へ赴任した医師・希世。
    島民の半分以上が高齢者なのに、寝たきりの人は数名。
    その理由は、全島あげて取り組んでいる”ぴんぴんころり運動”のおかげだという…。

    仙川環さん、ほとんどの作品を読んでますが、
    今回の医療色は、さほど濃くなかったです。
    そのかわり終始、不気味な空気が漂う物語でした。

    呪われた歴史…。
    その地域に根付いた風習…。
    貧しさから、老い先短い者の命と、未来ある子供の命を
    天秤に掛ける。
    閉ざされた島の中で、何が正しいのか、何を信じていいのかわからなくなる。
    誰もが怪しく思え、疑ってしまうんです。

    WOWWOWでドラマ化して欲しいような作品でした。

    • azu-azumyさん
      杜のうさこさん、こちらでもこんにちは~♪

      きゃっ!
      私、仙川環さんの本も読んだことないわぁ~

      ドラマ化して欲しいような作品な...
      杜のうさこさん、こちらでもこんにちは~♪

      きゃっ!
      私、仙川環さんの本も読んだことないわぁ~

      ドラマ化して欲しいような作品なのですね!

      仙川さんの本、探してみなくちゃ~♪
      2016/03/21
    • 杜のうさこさん
      azu-azumyさん、こんばんは~♪その2(笑)
      仙川環さん、好きでずっと読んでます。
      医療に絡んだ作品が多いかな。
      でも、この作品...
      azu-azumyさん、こんばんは~♪その2(笑)
      仙川環さん、好きでずっと読んでます。
      医療に絡んだ作品が多いかな。
      でも、この作品は医療色はいつもより薄め。
      なんかね、少し横溝正史氏っぽいの。

      そうなの~、ぜひWOWWOWで!
      ドラマW大好きなんですよね~♪
      2016/03/23
  • 他の地との交流もほとんどなく、孤立した地で暮らす通島の人々。
    閉鎖的な環境は人の心も閉ざしていく。
    よそ者を嫌い、あからさまに警戒心を露わにする島民たち。
    前任者の引退を受け、島へと医師として赴任した希世は何とか島にとけ込もうとするがなかなか上手くはいかない。
    島で推進されている「ピンピンコロリ運動」。
    だがその謎を解くと言っていた友人は失踪し、やがて島内で死亡が確認される。
    目撃者もなく、どうやって友人は島にやってきたのか。
    希世は漠然とした不安を抱きながらも、医師としての務めを果たしていくのだが・・・。

    初心忘るべからず。
    当初は崇高な目的があったとしても、時は人を変えていく。
    いつしか目的は別のものに変わり、達成するための手段はどんどん悪辣になっていく。
    閉鎖的な島で異議を唱えることは、自ら孤立することを意味する。
    それだけの勇気と覚悟を持つ者は簡単には現れない。
    希世がよそ者だからこそ思い切った行動に出られたとも言える。

    医療はまだまだ一般人にとっては特別な領域だ。
    病気だと言われれば大概の場合、それを疑うことはない。
    医師と患者の信頼関係のうえに成り立っている。
    その信頼を逆手にとり、自分勝手な目的に利用した時点で医師の資格はなくなってしまうと思う。
    どこかに本当にありそうな可能性もあり、心がヒヤリとさせられた物語だった。

  • 島ぐるみでひた隠しにする秘密に一気読み。おもしろかった。
    全員参加の朝の体操とか飲まされるジュースとか、健康にいいという甘言の裏に潜む強制力に嫌悪感。
    終盤で味方がポツポツ増えたけど、四面楚歌の中主人公は女一人でよく頑張ったと思う。それが報われてオセロ盤のように一気に形勢をひっくり返したラストは胸がすくなぁ。
    島のその後が気になるところ。タブの木に隠してあったのも実際何だったのか知りたい。それが心残り。

  • タイトルから感染症が広まって隔離される島の話かと思ったら違った。パンデミックではなくて医療サスペンス。

    情緒不安定な女友達が死んだり、元カレがやってきたり。閉鎖的な島で女医さんが孤軍奮闘しながら仲間を増やして謎を解き明かしていく。

    昔の環境だったらそういう風習があってもおかしくないかもなーと思えた。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 離島に赴任した女医が、島の風習と戦う

  • あまり期待せずに読み始めたけど面白かったです。祖父母、母が生まれた小さな島に赴任した若い女医師。寝たきり老人が居ず長患いしない島として注目されている島だが何か隠されたものを感じる主人公。この島を訪れることになっていた友人が消息不明になったことから調べていくうちに主人公にも危険がおよぶ。いろんな不審死は島民が島を守るために起こした行動かと思いきや実はもっと大きなものが関係していた。ラストは爽快感がありました。

  • 隔離された島では、ぴんぴんころり運動により健康に成果を得ている。赴任した若い女医がふと疑問を呈したところから、話が展開していく。閉ざされた村の因習、医学者の狂った欲が錯綜するサスペンス。2019.7.27

  • 離島に赴任した女医が、島の悪しき風習に立ち向かう。

    1章 ぴんぴんころりの島
    2章 野木の御山
    3章 断崖の祠
    4章 逆転のオセロ盤
    5章 祭りの夜
    6章 神の御心
    7章 海難法師の海
    エピローグ

    伊豆諸島にある無医村の島・通島に、島出身者を母に持つ一之瀬希世が赴任する。

    島では、ぴんぴんころり運動と称し、朝の体操や健康ジュースの摂取などが行われ、島人たちの健康はすこぶる良い状態が保たれていた。

    しかし病気の進行が懸念された患者を大きな医療機関に紹介しようとした矢先に、その患者が死亡してしまう。

    その後も不審な死が続いていたころ、希世のいとこで新聞記者の春美が、運動を取材したいと申し出ていたが、ぴんぴんころり運動のからくりを発見したといった後、失踪してしまう。

    島の閉鎖的な人間関係、島民同士で罪人を裁く風習など、島の秘密に迫ろうとする希世は危険な立場に。

    島に隠された陰謀は暴くことはできるのか?


    結構ドキドキしながら読めました。
    最近の作品では一番好きです。

  • 伝統や風習を頑なに重んじ、よそ者を受け入れないなど、閉鎖的な島へ赴任した女医が、不可解な事件に巻き込まれる話。
    崖から落ちて運よく助けられる場面はそんな偶然あるのか?と思ってしまった。

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著者プロフィール

せんかわ・たまき
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念し、医療問題を中心に社会性と娯楽性を兼ね備えた作品を発表する。著書には『転生』『繁殖』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』などがある。本作は『幸福の劇薬』に続く「医者探偵・宇賀神晃」シリーズ第二弾!

「2020年 『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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