ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

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著者 : 垣谷美雨
  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269511

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ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 郊外に分譲団地を購入した家族の「こんなはずではなかった」的な悲哀と緩やかな絶望が丁寧に描かれている。 特にマンションの住人達で組成される理事会での不毛なやり取りは、独特なあの雰囲気を微に入り細に渡ったレベルで描写していて驚いた。

  • バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、老朽化による建替え問題に振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、友人の三起子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪し、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?! 一気読み必至の傑作社会派エンタメ長編。

  • 空き室が目立ち、高齢者ばかりになってきたニュータウンを舞台に、まだ住宅ローンに苦しみ続ける母と、金持ちだけれど唯我独尊気味な男と出会った娘を中心に描く、「庶民はつらいよ」といった趣の、いたって平凡な人びとの必死に生きるさまを描いたお話です。
    あちこちの場面で「あるある」とうなずくのは、些細な人の悪意だったり、エゴだったり、そういう日常的にちらつくイヤな部分。それでもさらっと、ときにユニークなニュアンスで描かれているので、それほどの嫌味はありません。あるよね、わかるよね、つらいよね。そんなふうに同調させる描写は不思議と、解決が示されているわけではないけれど、しっくり馴染んで読めてしまいます。
    ひとりひとり立場は違うし考え方も違う。それはわかっていても、どこがいいんだあの男!と思わざるをえない。けれど、ただ唯一の長所のみをとらえて自分の人生を操縦した彼女は凄い、と思ったのでした。自分を殺したというのともちょっと違って、清々しくも感じました。

  • 戦後中流層の『斜陽』物語。
    ハッキリ言って、人間は生まれた時から格差の中に放り込まれる。
    本当は一部の成金を除いては、格差の上階層へ移動することなど不可能なのだ。
    しかし、これからも景気は上向き続けるという幻想のもとにローンを組み、不動産を手に入れることで、自分もなんだか中流になっちゃった、とみんなが浮かれ踊ってしまった時代があった。
    後からバブル期と名付けられ、その時にはすでに泡ははじけていた。

    …などと冷静に書いているが、もう、自分とかぶり過ぎて、小説とは、ラストのクライマックスで泣くものだろうが、ダブルヒロイン(母と娘)の母世代の事情が説明されるくだりで、号泣したくなった。
    収入にそぐわないローンを組み、世帯主の給料は半減し、年金支給年齢は上がり、不動産価値は下がり続け、子供はまともに就職できない。
    集合住宅は老朽化で、建て替え問題で住民は揉める。

    娘世代は、幼なじみ3人組のそれぞれと、たらい回しされる、土地持ちナルシストボンボンが描かれるが、このあたりは、何の苦労もなく不動産で暮らせる、真のお金持ちがうらやましくはあるが、あまりに自分とかけ離れ過ぎて憎しみさえわかず、お坊ちゃまキモ~イ、と笑える部分である。

    頼子同様、節約に悩みながら必死で生きてきたが、もしかしたら、世の中の価値観というものが、戦争などという大事件無しにして、ぐるんとひっくり返ってしまった時代に遭遇してしまったのだろうか。
    人生ゲームの上がりは「持ち家一戸建て」ではない。
    雇用の安定は、無いが前提。
    そういう時代になった。

    とても考えさせられ、身につまされる内容だったが、やはりこの人の文章は読みやすく面白い。
    最終章あたりで「そんなに上手くいくわけないじゃない」と思わせる部分があるのは「七十才死亡法案、可決」もそうだったが、それを差し引いても面白かった。

  • 2015の小説なんだが、登場人物の感じがもっと前みたいに感じた。でも、確かに10歳上の世代の感覚はこうかもしれない。世代ごとの断絶が見えるのはこの作者の手柄。読んでてげっそりしたし、もういいや。それも、この作者の力なのだろうけれど。

  • 知ってるようで、分かってる顔して、
    心底知らない世界

    ほんと、下手な仕事できないよ

    仕事だけでなく、いろんなことに
    もごもご、色んな思いが。

    星をつける本ではないけど、
    会社の人に、そして私の仕事を知ってほしいひとに
    隙あればススメタイ

  • タイトルを見た時は、団地のほのぼのとした内容なんだろうと思っていましたが、それが違うと直ぐに分かりました。昨今の住宅問題は全国的に珍しくない話になりましたが、この物語も都心の郊外のニュータウンを軸に、主人公家族の周りに起こっている出来事と、その先の行方を考えさせられる内容です。物語も2つの同時進行となっており、読み手を飽きさせない工夫がしてあり、読みだして夢中になる事かと思います。小説とは言え、そこは架空ばかりではなく、現実の社会問題に提起しているのではないでしょうか。

  • 初めて読む作家で、タイトルから重松清の『定年ゴジラ』のような話を想像していたら全然ちがいました。バブルがはじける直前に買ってしまったニュータウンのマンション。永遠に終わらないかに思える住宅ローンを抱えた家庭の妻と、そんな家庭でお気楽に組まれた教育ローンの返済に悩む娘を中心に、嫌になるほどどろどろ。資産家の超イケメン男性に見初められたと思ったらこれがナルシストのストーカー。文芸作品というよりサスペンスでした。ま、どろどろだからこその面白さで、ページはさくさく進みました。

  • 実体験した人がどれほどいることか・・・・。世知辛い世の中、それでも歩いて行かねばならない。ちょっと息苦しいが面白い一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、老朽化による建替え問題に振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、友人の三起子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪し、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作社会派エンタメ長編。

  • こわー・・。うちもマンションなのでちょっと他人事とは思えず。全国にこういう問題は山積しているんだろうなあ。琴里たち3人の関係も面白かった。朋美は賢いけどほんとにそれでいいの?とか。リアルすぎて今団地に住んでる人は読めないんじゃないかと思ってしまった。ラストに向けてうまくいきすぎるのは垣谷さんのパターンなのかな。でも後味が悪くならないので好きです。

  • ヤバい・・・面白い(いろんな意味で)
    で、結構ハマっちゃったので、一気読みでしたw
    垣谷さんの小説は、作者と同世代、同年代を生きてきた人にしかわからない「あるある」が詰まってて、ホントに面白いうというか、コワいというか。
    私は、この世代がわからなくもないぎりぎりの年代、になるのかな?ホントに同世代だと、逆に読むの辛いかも?
    なんか、こういう作家さんに出会えるのって、「本読みのしあわせ」だよねー♡

  • おもしろい。幾つもテーマを含んでるのに無理なく最後まで楽しめた。住宅ローンは他人事じゃないし、集合住宅の建て替え問題は考え出すと具合悪くなるな。

  •  バブル崩壊に巻き込まれ「頑張ってるのにどうして今はこんなに苦しいんだろう」と思っている世代向け小説。このキャッチフレーズは誤りじゃないけど実に面白い。
     終わりの、ずっと友達じゃなくてもいいって下りが好きだ。

  • 鬱展開の話だと聞いていたので身構えつつ読んだがそこまで酷い話でもなかった。何故か三匹の子豚の寓話を思い出した。

  • 作中だけ見ると客観的に朋美がもっとも成功しているように見えますが、これはこれでなかなかデンジャラスな戦略だという点が隠されていて面白いですね。

  • いろんな視点で観れる団地小説
    団地の建て替え
    バブルの高金利によるローン地獄
    教育ローンの支払い
    社会に出てからの仕事のあり方、新卒でないと中々うまくいかない。

    そして、恋愛。

    チャンス、考え方、最後にはまとまるようだ、

  • バブル期、東京近郊の中古団地を5200万円で購入した平凡なサラリーマン家庭。20年後、住宅価値は1500万円になるが、住宅ローンの支払は未だに終わらない。夫はリストラに怯えながら、バスと満員電車を乗り継いで会社に通う。妻は団地の管理組合員になり、団地の老朽化対策に直面する。娘は奨学金を使って大学を卒業したが就職に失敗し、フリーターに。ローンに追われる彼らに将来を考える余裕はない。

    読んでいて辛くなるのは、この不幸がだれにでも起こりうること。この家族は決して愚かではないし、悪いことをしたわけではない。最悪のタイミングでマンションを購入してしまっただけ。ただそれだけなのだ。家族が幸福になるために手にした「住」が家族の将来を不幸にした。

    バブル、土地神話、住宅ローン、マンション建替…。家を買うことはこれだけの地雷地帯に突入しているのだ。マンションなんて怖くて買えなくなる。

    そんな不幸な家族に、追い打ちをかける金持ちストーカーやキレたマンション住民の反発。格差社会におけるディストピアを描いた小説なのに、ラストを強引にハッピーにしてしまったことがこの小説の価値を下げている。

  • まさしく「斜陽」
    それぞれに抱えたベタな事情
    現実から遊離した「ヨーロッパでは…」
    貧しさ辛さを人のせいにして
    ヌクヌクとした惨めさに閉じ籠る

    岡山の豊かさがなければ
    危機はクリアできなかったわけで
    田畑を売ってそれをしたのだとすれば、
    切り売りで建て替えるのと変わらないんだよな

  • 設定とか背景については面白かったが、小説としては紋切り型。まあ七十歳死亡法案を書くような人というあたりでそうなのかなとは思ったが。他のジャンルで書いたほうがよかったのでは。

  • なかなか面白かった。
    ツイッターで知ってこの連休中に読んだ2冊目。

    家を買うというのは人生の中でも大きな決断。
    ところが時代やその時の経済状況など自分ではどうすることもできない部分の影響を受けるし、簡単にはやり直せないし。
    自分が30を過ぎてそろそろ自分の家探しを意識し、親の家探しの結果の意味もわかる年頃になっていたということもあり味わい深く読めた。
    究極的には幸せとは何かということがテーマの本なのだろう。
    そしてその答えは人それぞれという他なく、それが実感としてわかってきている身としては最後はなぜか安堵感のある本であった。

  • 「家は誰にもあって然るべきなのに、どうしてこれほど翻弄されなければならないのだろう。」
    ニュータウンに住む主婦の、この言葉にしみじみとうなずいてしまうお話。私は家のローンを抱えているわけではないけど、借家暮らしにもリスクや不安は当然ある。
    持ち家だとしても、この小説のように集合住宅の場合、修繕やなんやと話し合いの必要な局面は多く、またそれがうまくいかないことの方が多いんだろう。家の問題だったのに、いつのまにか人間関係のもめごとになってしまうややこしさ。ただ、この小説の面白さはねじれにねじれた問題がなかなかほどけない、そのややこしさの中にある。
    ニュータウンがさびれている、とテレビ番組が言っているのに対し、ミスリード、風評被害だ、と主婦が思う場面が印象的。緑の空間、駅から続く道の美しさなど、ニュータウンにもいいところはある。それに高齢化やシャッター通りはニュータウンに限った現象ではないじゃないか!と。なるほど確かにそうだ。結論ありきの主張に流されてはいかんね。

    家のことと並行して、主婦の娘の恋愛問題も語られている。こちらは家のことに対してちょっと非現実的な展開で、リアリティはないけど、話のスパイス的な印象を受けた。

  • ニュータウン住宅を軸に据えた、人生小説。
    設定も主人公たちの思想も生々しくて、ページは滑らかに進む。
    ただしそれはワイドショー的な興味であり、書き口は教科書的で、展開は少し大人しすぎる。もう少し派手な方が好みだった。
    あと、あとがきがちょっと余計に感じた。
    3-

  • 住宅ローン返済に苦しむ織部家を舞台に、限界集落化するニュータウンや老朽化による建て替え問題、世代格差に資産格差など現代社会の様々な問題を、ユーモラスに描く長編小説。
    バブル崩壊の歪みがいまだに庶民を苦しめる。政治の不味さが最大原因だが、当時の国民の浮かれぶりは私も含めて、今となっては情けなく恥ずかしい。
    登場人物のそれぞれの生き方は、バブルの後片付けをしている私達自身だ。明日に何を見出だすのか。人生に最も大切なことである。

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バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、理事会では我儘なジジババに振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、幼馴染の三紀子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作「社会派エンタメ」誕生。

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