ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269511

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  • 平成初期、バブル崩壊と共に浮上した住宅ローン問題。
    そんな最中、織部頼子は老朽化による建て替え議論が沸き上がる分譲団地の理事の順番が回ってくる。
     
    一方、娘の琴里は就職先の会社が倒産して以来バイトで暮らす日々。
    そんな琴里に親友だと思っていた女性から押し付けられたひとりの男性はイケメンで、資産家で、、、
     
    私自身理事ではなかったものの、マンション問題に振り回されてきたこの一年間。
    無関心な住民、声を荒らげる一部の人、他人をコントロールして自分の思い通りにしようとする人、etc...
     
    こんな人いるよな~、という感覚で読み進めました。
     
    と言っても話のメインはそっちではなく、琴里がイケメン男性のストーカーにより精神的に追い詰められていく方。
     
    ドラマ観てませんでしたが、冬彦さんを思い出しました。
     
    ストーリー展開がやや強引なので、☆3つにするか4つにするか迷いましたが、個人的に身近な題材だったので☆4つにしました。
     
    マンションや団地に住んでる方にはぜひ読んでほしい一冊です。

  • 戦後中流層の『斜陽』物語。
    ハッキリ言って、人間は生まれた時から格差の中に放り込まれる。
    本当は一部の成金を除いては、格差の上階層へ移動することなど不可能なのだ。
    しかし、これからも景気は上向き続けるという幻想のもとにローンを組み、不動産を手に入れることで、自分もなんだか中流になっちゃった、とみんなが浮かれ踊ってしまった時代があった。
    後からバブル期と名付けられ、その時にはすでに泡ははじけていた。

    …などと冷静に書いているが、もう、自分とかぶり過ぎて、小説とは、ラストのクライマックスで泣くものだろうが、ダブルヒロイン(母と娘)の母世代の事情が説明されるくだりで、号泣したくなった。
    収入にそぐわないローンを組み、世帯主の給料は半減し、年金支給年齢は上がり、不動産価値は下がり続け、子供はまともに就職できない。
    集合住宅は老朽化で、建て替え問題で住民は揉める。

    娘世代は、幼なじみ3人組のそれぞれと、たらい回しされる、土地持ちナルシストボンボンが描かれるが、このあたりは、何の苦労もなく不動産で暮らせる、真のお金持ちがうらやましくはあるが、あまりに自分とかけ離れ過ぎて憎しみさえわかず、お坊ちゃまキモ~イ、と笑える部分である。

    頼子同様、節約に悩みながら必死で生きてきたが、もしかしたら、世の中の価値観というものが、戦争などという大事件無しにして、ぐるんとひっくり返ってしまった時代に遭遇してしまったのだろうか。
    人生ゲームの上がりは「持ち家一戸建て」ではない。
    雇用の安定は、無いが前提。
    そういう時代になった。

    とても考えさせられ、身につまされる内容だったが、やはりこの人の文章は読みやすく面白い。
    最終章あたりで「そんなに上手くいくわけないじゃない」と思わせる部分があるのは「七十才死亡法案、可決」もそうだったが、それを差し引いても面白かった。

  • 「家」と「女」の話。下世話だけどリアルでおもしろーい!色々な生き方がある、とはいえ将来のことを考えると息が詰まる。琴里のような暮らしをしている女性は多いだろうと思う。様々なテーマに対する問題提起を含んだまさに社会派エンタメ!

  • バブルの最後にニュータウンのマンションを購入し、修繕の時期に来たけれど、修繕するのか、建て直してしまうのか?!と理事会で右往左往する話。

    それと並行して、娘さんが友だちの彼氏を紹介されて、一緒にオペラを観に行くという話もあり、こっちの方に興味深々笑

    面白くて一気に読んでしまいました。

  • 読みやすく、あっという間の完読。
    途中までどういった展開になるのか
    とわくわくしていましたが、最後の推しがちょっと弱かったのが残念。。

  • とても現実味があったけど、話の流れがご都合主義感あった。男とんでもなくアホすぎる。

  • ライトで読みやすかった。議員になったところはご都合主義を感じたが、その他は作者の実体験に基づいていることもあり悲壮感が伝わった。家を購入するの怖いなと思った笑

  • 垣谷美雨さんの本は、身近な主婦目線の本が多く読みやすい。
    バブル崩壊前に分譲団地を購入した母とお金持ちのおぼっちゃまに翻弄される娘のお話。
    母の立場も娘の立場も自分に置き換えて考えてしまう…一戸建てじゃなくてアパート暮らしでもよかったかも…大金持ちと出会ってたなら…
    まぁ考えてもしょうがないけど…
    みたいに考えてしまうお話でした。

  • 10月-02。3.0点。
    ニュータウンで産まれた、幼馴染み女子3人。一人が、彼氏を紹介すると言われ行くと。。
    読みやすい。廃れていくニュータウンの状況描写が上手い。

  • バブル期の遺産ニュータウン団地の老朽化。結婚の価値観の違い。よくもまあ友達をはめてでも、自分さえ良ければと思えるなあ。しかもその後ずっと友達でいようとは。垣谷美雨の今までの生活が元になってるとは。なかなか社会問題をよくとらえていて、勉強させららた。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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