夏の祈りは (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269733

作品紹介・あらすじ

文武両道の県立北園高校にとって、甲子園への道は遠かった。格下の相手に負けた主将香山が立ち尽くした昭和最後の夏。その十年後は、エース葛巻と豪腕宝迫を擁して戦 った。女子マネの仕事ぶりが光った年もあった。そして今年、期待されていないハズレ世代がグラウンドに立つ。果たして長年の悲願は叶うのか。先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの夏を鮮やかに切り取る青春小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 野球小説に初挑戦。
    用語だらけで読みにくくないかな…という懸念はすぐに吹っ飛ばされて、夢中になって読んだ。
    最初は高校野球を舞台にしたただの短編集かなーと思いきやまさかの連作もの。
    第一章の舞台は1988年、第二章は1998年…というふうに、10年ごとに北園野球部のそれぞれの夏を切り取っていて、その斬新さにも惹かれた。
    読みながら、高校生の時に野球部の応援で神宮に行った時のことが鮮明に蘇ってきて懐かしくもなった(結局決勝で負けて、甲子園まで後一歩だった…奇しくも北園と一緒!)
    やっぱり野球っていいね、青春って素敵。
    今年の夏の甲子園シーズンにまたもう一度読みたい。

  • メジャーなスポーツを扱った小説を久しぶりに読んだ。なんとなく男の世界のにおいがプンプンしそうなのは、避けてしまうのだ。
    この「夏の祈りは」は、昭和の高度成長期に準優勝したOBから平成最期の世代まで、埼玉県の文武両道を掲げる公立、北園高校を軸に描かれている。この伝統ある野球部に寄せられる様々な世代の悲願が、その時々の球児を通してヒシヒシと感じられる。
    野球にはイマイチ興味のない自分でも、球児たちの青春に乗っかることができる。
    2018.5.3

  • とある公立高校の伝統ある野球部を舞台として何世代にも渡り歴史を積み重ねていく。
    章ごとにに異なる世代のチームが主人公となるが、次の章に移ってもOBとして先輩、コーチ、プロ選手などで登場する。
    青春時代を描く作品は多くあるが、1つの舞台で世代を繋いでいくストーリーは新鮮であった。

    部活に限らず、学校、会社、その他多くの集まり、組織では先人達の想いと歴史があり、その事を日々の生活で少しでも考えることができれば今所属している場所の見方や感じ方が変わるかもしれない。

  • とある埼玉の文武両道の高校野球部の青春部活物語。
    短編ごとに時代が移り変わるが、それぞれ時代の描写がぴったりはまっている。
    20171231

  • 県立北園高校が何世代にも渡り悲願の甲子園を目指す話。高校野球が大好きな私にとって最高の小説だった。どの世代にも胸を熱くさせられ、勝ってくれと祈りながらページを捲る。先の章で高校球児のその先が知れるのも良くて、こんなに立派になって……と親戚気分になる。やはり夏は野球!

  • 最初はあだち充の漫画みたいと思ってよんでいたが、球児たちの夢が、時代を越えて紡いでゆき形作られてゆく過程に爽やかな感動を感じた。
    主役の高校のライバル校の溝口高校のモデルは、私の出身校らしい。はるか昔、甲子園の準決勝を見に行った記憶が蘇ってきた。

  • 高校野球県大会予選ベスト8がそろそろ出揃ってくるこの日に、この本を読み終えた充実感。
    毎年夏はテレビに張り付いて見ていても、この本を読んだあとに見るとまた違う楽しみかたが出来そう。
    今年も夏が来た。

  • 高校の時にマイナーなスポーツ部に所属していると、野球だけなんでそんなにひいきされるのさ!とひがんだりなんかしちゃうわけだけど。
    オトナになってその時代から遠ざかると高校野球の特別さってものがすんなり受け入れられるようになる。
    甲子園、というものの大きさ。野球部員だけじゃなく、そこに係るすべての人の夢を飲み込んでいるんだな。
    その甲子園への道に、ものすごく近い部もあれば遠い部もある。それぞれにそれぞれの夢があり、それぞれにそれぞれの「甲子園」がある。
    10年ごとに描かれる甲子園への道。その道への思いはひとりひとりの人生そのもの。熱く深く光り輝くそのひと夏、どれだけの祈りがこぼれ落ちたのか。泣ける。

  • 公立高校の野球部が甲子園を目指して奮闘するお話だが、各話世代を変えて歴代野球部の様子が描くという構成。高校生ものの小説は苦手なのだが、本作は性に合ったのか面白く最後まで読めた。

  • 自分の若かりしときを思い出させてくれるむずがゆい青春もの。すごくヨカッタ!

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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