天使が通る (新潮文庫 あ 33-1)

  • 新潮社
3.23
  • (1)
  • (5)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 98
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101271118

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 浅田彰も島田雅彦も取り上げられてる人たちもろくに知らないけど概ね面白く読めた。両者対等な立場での対談だと思うのだが、自然と浅田彰が教師役、島田雅彦が生徒役という構図となっていて、浅田彰の解説に説得力を感じる一方、島田雅彦が話している部分についてはその後に浅田彰の訂正や補足が続くのを待ってしまう部分がある。浅田彰の知識がインチキなのか本物なのかはわからないが、参考文献として挙げられているものを本当に読んでいるのだとしたらすごい。

  • 批評家浅田彰と小説家島田雅彦の対談集。

    話題はダンテにはじまり、ニーチェ、フーコー、ミシマ(三島由紀夫)、ヴィム・ヴェンダースに終わる。

    とにかく、二人の噛み合ってなさがすごい。しかしどうも、企画の段階から、その噛み合わなさを狙っている節も見受けられる。島田雅彦の突っ走りっぷりにヒヤヒヤさせられる。

    やはり本書の佳境はミシマ論だろう。
    十代の頃から、ミシマの薄っぺらさを、特に『金閣寺』に対する生理的な嫌悪とともに繰り返し再確認してきたけれど、そして特に、横尾忠則の、無駄に紅茶の上に浮いている金箔みたいな滑稽なミシマ像を気に入ってきたのだけど、浅田彰の指摘を得てハッとさせられることがあった。
    確かにだった。
    自分もミシマの知性には確かに感心していたのだった。なのにどうしてあそこまで悪趣味、しかも陳腐で悪趣味なのだろう。彼の切腹(直接には知らないが)もしかり。
    それが長年の疑問だった。
    ところが、浅田彰のいうようにあれがあえての悪趣味だったとすれば……。だとすればその複雑さをもう一度考え直す必要はある。うーむ、嫌だけど、晩年の連作をいよいよ読むべきなのだろうか……。
    「嫌いの力」はある意味すごい。

  • f

  • ミシマの章のみ読了。「認識マシーン」としての、豊饒の海の本多を語った島田雅彦「ミシマが夢で私に語ること」(「語らず、歌え」所収)。まず設計図があって、そこへ向かって小説を組み立てていくから、明晰だが発見がない、発見があったとしても設計図からはみ出るものはうまく丸め込んだという見立て。澁澤龍彦は高度成長経済期までの文学者だったという注。三島というのは偽物であることを徹底したという見立て。仮面の告白のパロディといわれる島田雅彦「僕は模造人間」。「三島は自分がえげつない偽物文化体現者であることをよくわかっていたと思う。しかし、自分が偽物であることをエクスキューズすることなく、果敢に自己パロディという形で、批評的に開示したと思います」p.254/ヴェンダースの章から少し。Luigi Nono <<Fragmente -Stille, An Diotima>>という弦楽四重奏曲に興味がひかれる

  • 浅田彰と島田雅彦の対談集。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

浅田彰(あさだ・あきら)批評家、経済学者、京都造形芸術大学大学院学術研究センター所長。1957年兵庫県生まれ。著書に『構造と力』、『逃走論』、『ヘルメスの音楽』、『映画の世紀末』他、共著に『天使が通る』(島田雅彦氏)、『ゴダールの肖像』(松浦寿輝氏)、『憂国呆談』(田中康夫氏)他、対談集に『「歴史の終わり」を超えて』他がある。

「2019年 『柄谷行人浅田彰全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浅田彰の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤 周作
フランツ・カフカ
宮部みゆき
村上 春樹
村上 春樹
安部公房
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×