レインツリーの国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.68
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本棚登録 : 29432
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276311

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  • 一つの小説がきっかけで出会った男女の恋愛が描かれている。

    女性側は聴覚障害持ちで、それ故の壁があり、どうしても諍いが起きてしまう。
    お互いが思っていることをメールでぶつけ合うシーンが何回も出てくるが、どれだけ相手を思いやった文章でも傷つけてしまうことがあり、コミュニケーションの難しさを感じた。

    また、ハンディキャップのある方の目線を感じられ、自分の視野も広がり、人に優しくなれるような気がした。

  • どんな人にも妬みや僻みの気持ちがあって、ハンデを抱えた人や自分に自信がなければなおさらその気持ちは強くなる。どんなにわかろうと思っても自分以外の人の気持ちなんて想像の域を出ない。
    わからない事をそのままにせず、自分の気持ちを相手にぶつけ、考えながら近づいていくふたりの距離感がとても良かった。
    あとがきにあったように、余裕がないと結局自分の都合を優先してしまい、分かったつもりでいた自分に自己嫌悪してしまう。だけど自己嫌悪は無駄じゃない。何度でも自己嫌悪して、その都度考えて次は気をつけようと考えられる自分でありたいと私も思った。

  • キレイな雰囲気の話なのに、人間らしさが溢れていました。ハンデのせいで僻みっぽくなっている自分、そんな自分が嫌な自分。

    身体的なハンデがなくても、多かれ少なかれ、他人から見えている自分を決めつけてしまっている部分があるのではないかなと思います。

    2人のやりとりは、クサくてちょっとイタい気もするけれど、それもまたこの作品の良さなのかなと思いました。

  • スッと心に入ってくる感じが著者の真骨頂。

  •  痛みにも悩みにも貴賤はない。周りにどれだけ陳腐に見えようとも、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。

  • 面白い。
    恋愛小説なので、キュンキュンする場面も織り交ぜつつ、障害について新たな視点を持つことができた。

  • 聴覚障害者が普段の生活で感じることについて勉強になった。健聴者とぶつかることによって浮き彫りになったのだと思う。話者の口の動きを読んでいること、エレベーターでの重量オーバーのブザーが聞こえないこと、騒々しい場所では会話ができないこと。生まれつき聞こえない人と、事故などで途中から聞こえなくなった人では会話の仕方が違うということ。手話は全員使えるわけではないと言うこと。女性の高い声や男性の低い声など、高さによって聞こえに得意不得意があるということ。
    一概には括ることのできない聴覚障害者について、物語を通して知ることができた。

    そして恋愛はバトルだということ。攻撃力や防御力が関係してくるということ。それは健聴者でも聴覚障害者でも同じことだった。


    「無意味に見えるのは自分の立場で見るからで、それが必要な人がいるということを突き詰めて考えたことはあったのか向坂伸行」

  • 自分が関西人ということもあり、
    伸さんの関西弁の、
    その濃淡が少しずつ調整されてる感じがわかって、
    感情移入しやすかった。

  • 読みやすく、感情移入しやすい文章。
    ちょこっとイライラしたりもしたけど(笑)、私的には関西弁での最後のやりとりがきゅんきゅんして仕方なかったです。
    「家事に自信があったら飯作りに来てくれる気はあったん?」

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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