- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101276335
感想・レビュー・書評
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2022/08/12
有川さんの作品で、今回の主人公である古川真也は、自分が物に触れることでそれ(手紙とか文章とか葉書とか)を作った人々の記憶や思い、気持ちを読み取れる、不思議な能力を持った編集者です。真也に今回舞い込んだ仕事は謎の覆面脚本家としてアメリカで活躍しているHALの正体に迫ること。空港でHALを出迎えた真也は、偶然にも自らの力を使って彼がひた隠しにしていた重大な秘密を知ってしまう。
同僚の大場カオルや上司の安藤みずほらと共にHALの特集記事を組むべく奮闘するのだが、大場カオルとHALの関係が段々と明らかになってきます。
編集者の仕事ってどんなものなのか、脚本家ってどんなものなのかということもこの本でイメージしながら読むと面白そうです。
もう一つパラレル世界の話も収録されているので、比較しながら読み進めると面白いかもしれません!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
親父として、泣けた物語。
本当に有川さんの文章は、テンポが良く素晴らしい。 -
今まで読んだ4冊の有川浩の小説の中で1番好きかも。特にパラレル。いやどっちも好き。
これどっちも有川浩さんが書いたの?すごい。と思ってしまう。違う人が書いたような印象がある。何となくパラレルの方が表現が臭かったりするので、それがすごい。
どちらかと言うとパラレル推しなのは共感があったから。私も夢を追い続けているから。嘘はついていないけど、嘘をついて見栄を張っている晴男については他人事だとは思えなかった。痛いな〜と思いつつ、自分にもそういうところがある気もした。きっと私以外の夢も特に追い続けていない人にも、心のどこかにはそんな見栄があると信じている。ほとんどの人が自分の中の弱い部分だと感じるはず。そんな部分を掘り起こして共感させてしまうところがすごい。痛いな〜と馬鹿に出来ることが自分にも当てはまっていたりすることってあるなぁと思った。
「親も単なる人間だ。人間は迷うし間違うし卑しい。親だって迷うし間違うし卑しい。そういうもんだ、諦めろ。」
「こうしてくれたら許せるのに、こうだったら許せるのにってのは、子供の側からは正当な言い分だよな。だけど、親のほうがガキだったら仕方ねえだろ。だから丸ごと諦めるんだよ。諦めりゃそのうち『まあいいや』って許せるタイミングが来る」 -
有川浩さんやっぱり好きだわ〜
解説にもあったように読後感がいい。登場人物がいい。人と人との繋がりがいい。
まだまだ読んでない作品がたくさん、読破するぞー! -
物に触ることで残留思念を読み取れる不思議な力をもつ編集者の古川真也と、アメリカで名声を得ているという父親が帰国する同僚を取り巻く物語。
有川浩のすごいところは、テンポよく、でも丁寧にキャラの描写をしてくれるから、キャラの個性も考えていることも想像が膨らむし人から人への愛情を感じられるところ。
職場の昼休みで読んだけど、思わずうるっときてすこーし後悔した笑
またふと読み直したくなりそうなお話だった。 -
有川浩の小説。
有川浩らしい、とても爽やかな読後感のある小説だった。触れたものからその人の感情がわかると言う超能力を持つ設定だったけれどもそれが前面に押し出すしてくるわけでもなく、親子の愛情について描いた小説。難しい複雑な関係だけれども、過去のすれ違いをどう乗り越えていくか、なんというか爽やかな本なのに、考えちゃう話。 -
ひとつの物語がふたつのストーリーで展開されていてどちらも素敵であっという間に読み終えた。
あとがきにあった「読後感の良さ」はまさに有川浩さんの本全般に当てはまるなぁと -
久しぶりに満足のいく本が読めた
先が気になって一気読みしてしまった
複雑な親子関係を主人公かつ感情の波を予測できる能力を持つ真人が関わることで変わっていく様が見れる
父と娘のもどかしい親子関係が面白くかかれててよかった -
友達に昔借りてすごく面白かった記憶があったので購入。
小説を読んでると別の展開ならどうなったかな?と思うことがあるので、同じ登場人物のパラレルワールドを描いているのは面白かった。2つのパターンで遜色なく楽しい作品が描けることが凄い。
ただ、その分一作ずつのボリュームは多くないので、もう少し先の展開が見たくなった(特に一作目)。
主人公は特殊な才能を持っているが、それを持つが故にその力を失ったら自分の長所は無くなってしまうのではないかという恐怖、人の心を覗き見してやろうという浅ましい心、してはいけないという葛藤とで揺らぐことが何度かある。そういう心の動きの描写が鮮明でわかりやすく、とても共感できた。自分がその力を持っていても同じように感じると思う。
本に関する物語なので、読書好きには新たな発見や共感が多い本だと思う。
編集者が作品をよくしようとするときに自分の物差しを押し付けてあげあしとりをするのではなく、作品の登場人物に寄り添う必要がある、という点は、小説を読む身としても納得した。この本を読むと本に対する向き合い方が変わる。
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前半が好き。
奥さんと娘の前で虚栄心は肥大化してしまう。大切な人であるからこそ。その空々しい嘘は読んでいて共感性羞恥に苛まれて読むのをやめようかと何度も思った。
言わない。触れない。気づかないであげる。図星をつかないであげる。当人が求める反応をしてあげる。そういう優しさをちゃんと獲得していこうと思った。ついつい私は真実をついてしまう。
全力疾走している人は追いかけたくなる。綺麗に見える。=不器用とは限らないけれども。応援したくなる。そうありたいし、そういう人と一緒にいたい。