近大マグロの奇跡: 完全養殖成功への32年 (新潮文庫 は 59-1)
- 新潮社 (2013年11月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101279619
感想・レビュー・書評
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こちらの仕事理解の一環で、養殖についてリサーチ。
養殖っていっても何から調べたらよいのやら、
全然イメージが付かなかったので、まずは近大マグロから。
マグロの養殖って、こんなに難しかったのか。。
魚の中でもピカ一の難しさ。
(というか、魚によってこんなにも養殖の難易度が変わってくるのか、、
というのも新鮮な発見。)
完全にプロジェクトX的なノンフィクションに仕上がっています。
生き物を扱うのって、やっぱり繊細なんだなというのが
自分のような素人にもよく理解できました。
残念なのは、著者の筆力。
もうちょっとダイナミックに大変さが伝わってきたら、
もっと面白い本になっていたのに…。
例えば、「奇跡のリンゴ」のように。
本当は、「奇跡のリンゴ」並みに面白い話のような気がするのに、
そこまで感動はなかったです。いいネタなだけに、残念。
※奇跡のリンゴ
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4344416457#comment詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日、銀座で昼飯食べるところぷらぷら探してたら、近大マグロの店を見つけた。1500円税込でマグロ三昧、こりゃお手頃だってことで食べた。食べてから気づいた。「完全」養殖ってどういう意味?
完全養殖というのは、養殖場内で育ったマグロが産卵し、孵化し、成長し、その成長したマグロがまた産卵し、と養殖場内で何世代も繁殖サイクルを繰り返すこと。いままでの養殖は、稚魚を自然界の産卵場から漁で捕ってきて、養殖場で餌を与えて太らせてから出荷してるだけ。だから乱獲や自然環境の変化などにより、激減する危険性がある。だいたい親になる前に稚魚を攫っちゃうだから、そりゃ減るわな。
なぜ近大だけが完全養殖に成功したのか。
①近大はマグロを養殖する前から、様々な海洋魚の養殖をしていた。ある程度の実績とノウハウがあった。
②私大だったため研究期間内(この場合4年以内)に成果をあげられなくても、打ち切りとはならなかった。同時期に研究をした国公立大は、4年で成果が出なかった時点で打ち切り。
もちろん5年目からは国から研究資金はもらえないので、自分たちで稼ぐしかないのだが、すでに養殖に成功している魚があったので、漁協の協力もあり、市場に流通させることができていてので、③研究資金が調達できた。
しかし長い年月をかけても失敗ばかりだった。
稚魚の突然死が多い原因が長いこと特定できなかった。最適な海水温度がわからなかった。黒潮の影響なども考えた。
地道な研究を続けたが何年も成果が出ない。研究に対して肩身の狭さを感じていた研究者を支えたのは近畿大学初代総長の言葉だった。
「不可能を可能にするのが研究だろ」
理解のあるトップに支えられ、折れそうな心を励まして研究を続けるうちにひとつひとつ原因を特定して改善していった。
突然死は生け簀内に近くを走る車のヘッドライトが入ることによって、マグロがパニックになることが原因だった。最適な明るさを見つけ24時間点灯にしたら壁に衝突死しなくなった。
大きい稚魚が小さい稚魚を食べていた共食いの問題は水槽を分けることで解決した。
海上より自然環境が安定した(コントロールし易い)陸上に巨大水槽をつくり、そこで養殖することにより、供給が安定した。
(ものすごくざっくりまとめたので大変そうに感じないかもしれないが、実際は試行錯誤の連続で途方もない作業量)
そして世界初のマグロの完全養殖という快挙を成し遂げた。
近大がこの研究を始めたのは今からおよそ50年前。研究者以外誰もマグロ資源が減るなんて危機意識を持ってなかった時代。
素人が何とかしろなんて騒ぎ出してから、研究を始めたって手遅れって話しだ。
近大は自然界で減った稚魚を、養殖の稚魚を放流して、回復させる試みもしている。
頭が下がる。
美味しいマグロをありがとう。マグロさんも尊い命をありがとう。 -
近畿大学水産研究所が成し遂げたクロマグロの完全養殖の物語。成功まで32年間、気の遠くなる月日です。もっと養殖が進んで、美味しい養殖マグロが家庭の食卓に並ぶようになって欲しい。
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32年かけてマグロの完全養殖を成功させた、近大「魚飼い」研究者の執念に脱帽。
銀座にある近大マグロの店に行ってみたいなぁ。 -
興味深い話題だったんだけど・・・
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本当は、★3.5。
昨年、近大水産研究所が大阪・梅田と東京・銀座に
開業したのは、記憶に新しいですね。
行ってみたいと思っているんですが、まだ果たせず。
クロマグロの完全養殖を
世界ではじめて成し遂げたのが、
近畿大学という私学であったのは、
非常に興味深いものがあります。
私学だから、逆に、30数年も継続できた
と言うことでも有るようです。