日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2014年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101283739

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日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 東京裁判の記録からも明らかなように、戦争犯罪人として海軍からは一人も裁かれていない。しかしこの著書のもととなった証言、記録からは悍ましい事実が如実に晒されている。
    職務に忠実な将校たち。忠実ゆえそれぞれの仕事に埋没し、やがて国民ひとりひとりの命が見えなくなっていく。このことはドキュメンタリー第1回のタイトル「開戦 海軍あって国家なし」にすべて凝縮されている。
    戦術も非道である。百田直樹の著書「永遠のゼロ」でも有名になった人間爆弾「回天」「桜花」。これらは神風特攻隊よりも早く実戦投入されている。それが何を意味するのか?第2回のタイトル「特攻 やましき沈黙」はそれを教えてくれている。
    海軍は他国での活動でも大罪を犯している。第3回のタイトル「戦犯裁判 第二の戦争」とは、そうした大罪をいかに隠ぺいし、陸軍に罪をなすりつけて逃亡を図ったか。また、そこまでして逃げなければならない非道さとは何だったのかが深堀りされている。
    つまり海軍は、自分で引き金を引いて、自国を地獄へと突き落とし、敗戦という結果を招きながら中心人物は逃亡した。そして組織をあげて事実を隠ぺいし、組織を守るために裁判対策を実施し、多くの事実を闇に葬った。まとめるとそういう組織だったということになる。
    エピローグの一言が忘れ割れない。「本当に大切なことは記録には残らないし、残さない。残された記録や資料には残した人間の意図が必ずある。残っている資料だけに捉われてはだめだ」我々は戦争の歴史をどうやったら正しく後世に伝えていけるのだろう?また日本海軍という組織が存在したという事実に、我々日本人はどう向き合ったらいいのだろう?

  • なぜ、海軍軍令部が開戦という意思決定をしたのか?それまでは、海軍省がコントロールしていたのに。
    伏見宮元帥の影響。昭和天皇も敬語。皇族批判にも切り込む。

    2017.10.1
    特攻。加害者への視点。自分が加害者の立場になったら?やましき沈黙を打ち破れるか?
    誰か特攻作戦を出したのか?軍令部か?大西中将

    東京裁判で、極刑となったa級戦犯はない。海軍の組織的弁護。背景には、米内?天皇の責任追及を避ける為、海軍とghqが協力。

    やましき沈黙を打ち破れるか?

  • 2014年(底本11年)刊。図書館借本の単行本読破済みで事実上の再読。◆海軍善玉論へのカウンターたる陸海軍五十歩百歩論が開陳された本書。テーマは①海軍の開戦決断、②特攻作戦の立案・実施、③戦後海軍の東京裁判対策の3つ。感想骨子は単行本レビューに。◆本書はTVの制作・取材秘話で、史論として舌足らずな印象は残るが、取材過程の開陳自体、重要かつ意義深いのは言うまでもない。◆再読後の注目点は以下。◇中澤佑軍令部第一部長の戦後の言動とその意味。本書175頁以下(特に190頁)記載の戦後水交社での講演テープの内容。
    特攻作戦発案に自らの責任ないことを強調する先の講演録と、同人自身の戦前の業務日誌記載事項(322頁)との明確な齟齬である。全ての自己正当化軍人証言に妥当させるべきでないにしても、証言の信憑性の基礎理論、つまり自己に不利な内容の証言はしない点。特に責任を問われ、又は第三者から批判される危険のあるものは隠蔽・捏造されることを地で行くものだ。本書は実に良い教訓・実例を開示してくれたものである。◇「永遠の0」に代表される特攻「隊員」だけに焦点をあわせた文学が特攻の何物も切り取っていないこと。
    ◇中国の三灶島(サンソウトウ)事件につき、ある程度の状況証拠が集まり、日本軍の住民虐殺の「可能性がある」程度の帰結は許容できそうな内容なのに、結論は慎重に「虐殺があったか否かも…全体像を明らかにすることは出来なかった」と小括。ここから伺えるのは、同局や現場担当の左巻き偏頗性など微塵も感じさせない点だ(記者の性格と大井氏遺族への配慮も伺えるが…。まあ、元来は全然左巻きじゃないし)。種々の意味で安易なレッテル貼りの問題を想起。

  • NHKスペシャルの裏側を綴った本。500頁ほどあるが、あっという間に読める。今と対比しながら色々と考えさせられる。
    あとがき含めグッとくる。

  • 原宿にある「水交会」というところで行われていた「海軍反省会」。
    その録音テープが残されていたってだけで、なんだか「おおっ」となります。

    その内容は、「ふざけんなよ海軍……」「そのために何人の人が犠牲になったと思ってんだ!」と怒りたくなるような内容なのですが。

    でもNHKのスタッフの人たちが気づくように、海軍のこの感じって今でも確かにあること。
    「ダメだって思ってるけど流された」とか「お金いっぱい使っちゃったから今さら戦争できない、なんて言えない」とか。
    上の人のそんな感じで開戦しちゃってんだもん、たまんない。

    もし日本がこの先、同じように「開戦か否か」ってなったとき、まったく同じことが繰り返されそうなのがすごく怖いです。

    そして、もし私が海軍の上の人の立場だった場合、たった1人で「いや、戦争はよしましょうよ」と言えるかっていったらそれもまた自信がないのが怖い……。

    番組の方を見なかったのが残念だなあと思っていましたが、この度NHKオンデマンドで見ることができました。
    テープから流れてくる声とか、取材を受けた人が動いて話している様子を見られたのでよかったです。

  • 大日本帝国海軍の失敗を組織論から考察。事なかれ主義やセクショナリズムなど、同様の宿痾を日本の現代社会や組織が有していないかを警告。
    論旨としては特に目新しいものでは無い。

  • 旧海軍士官らが昭和50年代より行ってきた「海軍反省会」のテープを元に制作されたNスぺの取材本。貴重な資料の内容もさることながら、現在も続く組織や意思決定の問題に驚く。この問題を超えられなければ、ご先祖様に申し訳が立たない。

  • 400時間分のテープを聞き込み裏を取る。学者でも無く下手すると専門家でも無い記者達が地道な努力の上で、あの番組を作り上げたかと思うと頭が下がります。
    番組も良かったし、本も記者の想いと番組作りにかける苦労そして日本海軍の思考が分かり素晴らしかったのだけど、一体これは何人工かかってるのだろうか…?
    皆さまのNHKじゃないと、とてもじゃないけどこんな経費かけられないよなぁ…

  • それぞれの執筆者のプロジェクトへ関わる経緯や、取材した人物に関する記述があまりに多く閉口するが、番組内容自体は新たな知見もかなり多く、有意義。
    もっと内容に関する深堀りが読めると良かった。

  • NHKで作成されたドキュメンタリーの内容と制作記録。

    章ごとの内容に重複があるのは気になったが、内容が凄まじくどんどん読めてしまう。この反省会の記録が、こうした形でしか出なかった、出せなかった理由、公開の検討はなかったのかを掘り下げて欲しかった。その理由は、書いてあるとは思うけれども。

  • 2014年10月末読了。
    「やましき沈黙」という言葉、過去の特定の組織だけの問題にはとどまらない。

  • やましい沈黙。うーん、わかる気がする。

  • 大日本帝国海軍上層部だった人たちの戦後10年以上行われていた「反省会」の録音テープを元に取材・事実の裏付けをした番組は観て、衝撃を受けました。この本は番組で放送出来なかったことや、その後の経緯等、真摯に向き合って書かれた印象を受けました。

    それにしても、反省会出席者の存命中は絶対に公にはしないという条件のもとに録音が許されたとしても、ここまでのことをした人たちが戦後も責任を取らず、家族の笑顔に囲まれ、天寿を全うしたというのはどうなのだろう。東京裁判に際しても、事前に口裏をあわせ、死者に鞭を打つかの如く、冒涜し、罪をかぶせ、最終的に無実と言っていい人をスケープゴートにした。
    何度も繰り返された「やましき沈黙」
    真実を知りたい。

  • 出る杭は打たれる。日本においては卓越したリーダーは出てきづらい。それでも危機に陥った幕末において、下から有能な人材が次々出てきて、実力を発揮した。当時、身分の低い者を積極的に登用した藩主は評価できる。でも戦時中、同様の抜擢は起きなかった。海軍でいえば、兵学校の成績順がずっと尊重され、味方同士でかばいあうような組織においてはそんな転換は臨むべくもないなあ。
    とふと考えた。

    現場を実際に見て、ある程度責任や権力を持っていた立場にも関わらず、どこか他人事のような感じで「反省会」が進んだ。という印象を読者に与えようとしているのがうかがえるが、400時間もあった一部だから、実際はどうだったんだろうか。
    取材者の葛藤が見える。生で番組見たかった。

    ・「(兵力量決定のイニシアチブを海軍省の手から軍令部に移そうという)軍務局長が『馬鹿な案』とまで言う組織の大改正が、皇族の威光を背景に強行されようとしていた」(軍令部総長、伏見宮元帥の影響)

    ・「予算を獲得するためには、何かしらの根拠が必要である。軍にとってのそれは、すなわち軍事的衝突の危機である。日米衝突の危機が深刻であればあるほど、海軍は軍備の充実を求めることができ、より多くの予算を手に入れられる……彼らは、組織内で評価されるために、予算過酷得という業務に埋没していただけではなかったか……海軍は国防という本来の任務から乖離し、組織を肥大化させることが自己目的化となっていた。まさしく、海軍あって国家なし、である」
    「対米戦に備えるおちう名目で軍備を拡張してきたので、今更「戦争できない」とはいえない。これが軍令部の本音だった」
    「予算獲得のために危機を煽り、事態が予想を超えて深刻化すると、引っ込みがつかなくなってさらに強硬な意見を主張する。その主張を正当化するためには、現実をねじ曲げる」

    ・「軍令部と連合艦隊で作戦目的すら共有されず、なれ合いで決まったミッドウエー作戦が失敗に終わったのは必然だった」

    ・回天記念館をはじめとして、これまでは「黒木・2品ら現場の熱意が回天を生んだ」という記述が「定説」として歴史に刻まれていたが、……黒島元少将が既に人間魚雷の試作を命じていた(P218)

    ・帝国として被害を極小に防止すること。個人の被害を極小にすることと。まあ、いわゆる陛下にご迷惑をかけないということと、後はこの裁判は国家弁護でいくということ(第二復員省)

    ・海軍は天皇制を護持するという点においては米国と利益を共有し、組織防衛を図っていた(P466)

  • 海軍という組織の無責任さの糾弾に終わらせない、現代の問題、自分たちの問題として考えるという姿勢には共感する。それだけにこのスタッフが現在のNHKとどう対峙しているか、気になるところである。

  • TV放送でも見た記憶があるが、
    本で読んでみると、また圧巻。

    TV放送では、取材した結果のみが伝えられるが、
    本だと、その放送に至るまでの過程を垣間見ることが出来、
    非常に勉強になった。

    いまの日本社会も、この当時の海軍になっていないだろうか?

  • 「集団同調バイアス」、「空気を読む」、判断を容易にするために人間に備わった機能だが、場合によっては大東亜戦争のような悲惨な結果を招く。
    わが身を振り返ってみて、言うべきことを然るべきタイミングで言えているか?
    100%そうとは言えないが、10年後に後悔しないように生きたいと思った。

  • 対米開戦・特攻・東京裁判。海軍中枢にいた者たちの発言。
    それすらも自己弁護に聞こえる。「反省会」での発言がなかったため仕方ないが、物足りなかったのは、①真珠湾攻撃での暗号電文翻訳の遅延に関わった外務省職員について②レイテ沖海戦で作戦放棄した栗田中将について③343空で特攻を指示したが志賀飛行長から司令がまず初めに出てくれと諌められた源田指令について④終戦後に源田らが関わった蜂起計画について。
    番組を待つ。

  • ◼︎2014/08/15 読了
    ◼︎日本海軍軍令部から見た太平洋戦争
    ◼︎なぜ海軍は戦争を始めたのか
    ◼︎なぜ海軍軍令部は権限を拡大できたのか
    ◼︎なぜ特攻が始まったのか
    ◼︎なぜ日本海軍のA級戦犯者から死刑者が出なかったのか
    ◼︎軍令部にいた人物たちが戦後密かに集まって反省会を行っていた時のテープを起こしてわかった事実をNHKスペシャルにしたものを刊行したもの
    ◼︎日本海軍が陥った組織的な過ちは確かに現代日本企業にとっても教訓となるが、教訓は当たり前の事実でもあり、驚きはない。
    ◼︎海軍軍令部というエリート組織にいた最優秀な人たちも結局は人の子であり、組織人であり、弱さも強さも持つ人たちの集まりなのだ。

  • 出張のお供に持って行ったのだか、行きの機内で読了してしまった。
    文庫版あとがきまで508ページだか、最後まで引き込まれる濃厚な中身は素晴らしい。
    細かな戦闘詳報の検証を通じてあぶり出される"組織の宿痾"に、息苦しさを感じる程だ。
    これは、終戦(敗戦)の時期に読む本ではなく、極めて現代の組織に通じる、マネジメントや決断を下し続ける組織人の必読書だと思う。
    「やましき沈黙」という言葉に、居心地の悪さを感じる私も、"典型的な日本の組織人"なのだ。

  • 単行本で既読。

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日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)の作品紹介

軍令部に在籍したかつての参謀を中心として戦後に開かれた「海軍反省会」。その録音が現存することが判明し、NHKスペシャルの企画はスタートした。発掘された元エリート軍人たちの赤裸々な発言が、開戦の真相、特攻作戦に至る道程、東京裁判の裏面史を浮かび上がらせる。やがて、彼らの姿は現代に生きる我々と重なってゆく。同名番組取材班6名による、渾身のノンフィクション。

日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)はこんな本です

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