- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101286525
感想・レビュー・書評
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おもしろい!やっぱり介護の話を書かせたら、三好春樹はバツグンだ。
この10年、徐々に呆けていく母や老人施設にいる他の高齢者を見るたびに、『高齢者介護』というものについて様々なことを考えざるを得なかった。
福祉大学に通っていた長女が学ぶ“福祉”“介護”“高齢者”と、現実との間の埋めがたいギャップ。でも、この本を読めばそこが埋まるかもしれない。
高齢者を『じいさん・ばあさん』という一個の人間として、あるがままを受け入れるということはどういうことなのか。楽しく面白くわかる一冊。
同じ著者の「老人介護 常識の誤り」もオススメ。 -
久しぶりにレビューを書きたいと思えた本。介護に長年携わっている著者のエッセイ。老いるということ、介護についての見方が前向きに変えてくれる。良書。
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読み終わり。
だいぶ前の本だが、割と赤裸々であんまり現在と変わりない気がする。
わたしは「あるある」と割と軽く読めたのだが、母はこれは重すぎて読めない、という。
ナイチンゲールの本はこれをきっかけに読んでみたいと思った。 -
(2012.05.15読了)(2012. 05.14拝借)
かみさんが読んで廻してよこした本です。田舎に引っ越してきて、80半ば過ぎの老人二人を相手にすごすことになったので、参考になることがあればと思って読んでみました。
実に面白い本でした。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、等の医療従事者より養護老人ホームやデイケアサービス等の老人の日常生活に接している方々のほうが老人介護についてよく知っているようです。
ベッドの高さを適切にするだけで、寝たきりが防げるとか、朝食後に排便排尿の癖をつけるだけでおむつなしで過ごせるとか、遊びや目的を持った作業で、リハビリ効果が上がるとか、認知症の人は一人だと手がかかるけれど、複数人一緒にすると手がかからなくなるとか、驚くような話が満載です。
「この本は、老人介護の具体的方法を記したものでもないし、老人論を直接提起したものでもない。ボケや寝たきりのじいさん、ばあさんたちと、そのじいさん、ばあさんを愛してやまない介護職たちとの出会いをつづった私的エッセイである。だがその体験の中にこそ、求められている新しい介護の方法と老人論の〝原石〟が宿っていると、私は思っている。」(252頁)
【目次】
まえがき―介護現場の不可思議な法則
第1章 老いとの出会いは偶然だった
1 ここの老人、かわいそうだと思う?
2 年をとると個性が煮つまる
3 仁ちゃんのタバコ
4 風呂に入らない理由
第2章 介護の発見は必然だった
5 ウメさんの検査入院
6 ナイチンゲールはベッドの足を切る
7 下からは世の中がよく見える
第3章 専門知識と介護現場をつなぐ
8 知識が現場に届かない
9 訓練の持っている致命的欠陥
10 帰らすくらいならいかさにゃええじゃない
11 遊びリテーションとは?
第4章 在宅の老人はもっとたくましい
12 「一千万円もろうたよりよかった」
13 ムシロ・キャタピラー
14 五右衛門風呂のつり革
15 会話にならない会話
16 「救急車呼んだほうがたしかだもんね」
17 フェニックス小野田
18 ボケた老人のほうが好き
19 オムツ外し学会
20 老いと出会ってよかった
あとがき
文庫版あとがき
ギャグの向こうに 鷲田清一
●慰問(26頁)
私は、老人ホームに慰問に行こうという心優しい人たちに、来るな、というつもりはない。だが、「下手で、どこにも見せられないけれど老人ホームでなら」なんて気持ちで来ない方がいいよ、といいたいだけである。
●人生(35頁)
人生は、人格完成へいたる一本の道ではない。行き着く過程も行き着くところも百人百通りではないか。だとしたら、外れてしまった既成のコースに未練を持つ必要もないし、さらに、ドロップアウトしたということにもことさら意味を与える必要もない。
●効率(36頁)
一般の仕事では、効率をよくすることが至上命令である。ところが老人相手の仕事では効率主義が通用しないのだ。通用しないどころか、効率よく仕事をするほど効率が悪くなるのである。
●まごころ(50頁)
自分のまごころで相手を変えてやろうという、その意図そのものが、老人の反発を呼ぶのである。そこには、今あるがままのあなたは、本来の人間の姿ではないから早く人間らしい人間になりなさいよ、という、自分の人間観、老人観へ相手を誘導し閉じ込めようとする気持ちが無意識のうちにあり、それが老人の心を開かせないのだ。
●尿意(71頁)
トイレへ行けることがわかるや、彼女の尿意は回復した。不思議なものである。目の輝きが戻り、もとの松平さんに戻るまで一週間。
(病院に入院して、ベッドが高いためトイレに行こうとしたときにベッドから落ちたので、トイレにいけないようにされオムツをあてられて老人ホームに帰ってきた人)
●リハビリ対象外(90頁)
脳卒中で倒れて入院しても、リハビリの対象となるのは若い病人だけで、高齢者は相手にしてくれないのだ。つまり、若くてやる気があり、家族も回復を待ち望んでいる患者に行うのがリハビリテーションであるらしい。
●訓練とレクリエーション(139頁)
専門家による訓練ではどうやったってできないことが、レクリエーションで可能になるのである。訓練とレクリエーションはいったいどこが違うのか。
訓練にはなくてレクリエーションにあるものといえば目的である。
(2012年5月17日・記) -
(「BOOK」データベースより)
へんくつなじいさんと会話を楽しみ、ガンコなばあさんとも笑顔でつきあう―そんな介護ができる秘策は?老いに直面するじいさん・ばあさんたちの実情と、彼らを愛してやまない介護者の日常を綴りながら、現場を知る第一人者が、介護者の気持ちも楽になる全く新しい介護のコツを伝授します。「老い」とは新しい価値観との出会いです。じいさん・ばあさんとつきあえれば、老いても楽しく過ごせます。 -
面白いエピソード盛りだくさんで、思わず何回も笑みがこぼれました。
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強い感銘を受けたし、老人介護について希望の光を見つけた気がする。著者は実際の老人介護の経験から、実に理にかなった、時に胸のすくような指摘をし、しばしば簡単な改善に気づかない(あるいは敢えてしない?)現在医療機関に問題提議する。遊びリテーションの効果や、排泄ケアが必要なく、女性一人が機械装置なして入浴ケアをこなすリハビリクラブの成立など、ほんとうに眼を開かせられる話がたくさんつまった本。
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高齢者本位の介護ってどれほど達成されてるんだろう?
高校の卒論書いててふとそんな疑問が生まれた。やっぱり音楽施設と一体化した介護施設創りたいなと思った。QOLの向上とか口先ばっかでいってるんじゃなくて本当のニーズを見つけないとだめだ。 -
これほどエッセイを堪能したのは、古波蔵保好著『男の衣裳箪笥』以来かもね。介護というのは、人生の最終ステージにおける人間ドラマである。それゆえ、誰もが「される側」になったり、「する側」になる可能性がある。
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