ボトルネック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287812

感想・レビュー・書評

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  • ひたすらな救いのなさがとても好みだった。
    非現実的な設定に基づいて現実的な感情を描写しており、読みやすく感情移入もしやすかった

  • 米澤穂信氏の描く、青春SFミステリ小説。

    自分の住む環境とは似て非なるパラレルワールドへと迷い込んだ高校生・嵯峨野リョウ。彼が訪れた世界には、リョウが生きていた世界には存在しなかった姉・嵯峨野サキの姿があった。
    リョウの世界とサキの世界。二つの世界の相違から見出した真実には、哀しい結末が待っていた。

    自分の存在した世界と、自分が存在しなかった世界。その二つの違いを比較しなければいけないのは、読者目線でもゾッとするような体験だった。
    軽快に進んでいくストーリーとは裏腹に、読み進めるほど、その残酷な展開に胸が苦しくなる。村上貴史氏の解説から一言借りるのであれば、まさに『なんと容赦なく主人公の痛々しさを暴いたことか』。

    ラストの畳み掛けるように襲い来る絶望感含め、メンタルに亀裂が入っているときに読む作品ではないなと感じた反面、自分がいたことで誰かが救われるように、せめて『ボトルネック』にならないように、今よりも少しだけ必死に生きてみようと考えさせられた作品だった。

  • Amazonの紹介より
    亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。



    北陸を舞台にした摩訶不思議な物語となっています。東尋坊の崖から落ちたと思いきや、金沢の街にいて、そこは自分のいた世界ではなく、どこかのパラレルワールドであり、自分の人生とは真逆の人生を歩んでいることがわかります。

    自分の人生では、死ぬといった不幸の連続であるが一方、こちらの世界は、生きています。
    一つ一つパラレルワールドでの事実を知るたびに、なんとも切なかったです。

    2つの世界が存在すると、どうしても比較してしまう人間の性なのですが、それで生じる絶望や哀しみが、まぁ辛かったです。

    なぜタイムスリップしたのか?その仕組みは?といった真相はなく、2つの相反する世界を見ることで、主人公はどう見解していくのかが、この小説の読みどころかなと思いました。

    一つずつ消されていく希望の灯に、人生の辛さを感じつつも良い影響を与える人にも出会ってほしいと思いました。

    小説の中では、大きな括りとして、考えが似ている人だけにしか出会っていないので、これがもし、別の考えを持っている人に出会ったなら、もしかしたら主人公の動向は変わったかもしれません。

    最後、主人公がどんな行動をとったのか、読者は想像するかわかりませんが、どちらも地獄?と考えると、なんとも複雑な気持ちになりました。

    そういった主人公の心の揺れ動きだけでなく、恋人の自殺事件を深堀りしています。
    なぜ自殺したのか?もしかして殺された?といった推理をしていくのですが、あくまでも推理なので、本当はどうだったのかモヤモヤ感は残りました。

    もしかしたら別の解釈もあるんじゃないか?といった視点もあったので、気になるところです。

    いずれにせよ、パラレルワールドがあるにせよ、ないにせよ、現実を生きなければなりません。
    こういう表現だと、キツキツな気持ちになってしまうのですが、現実を受け止めながらも、こうできるんじゃないか。ああできるんじゃないか。といったポジティブな気持ちになることも大切です。

    周りの人達の影響で、心が変わることもあるので、色んな人に出会うことが大切なのではないかなと思いました。

  • メンタルがあまりよろしくない時にこの本を読み、最後の一文にめためたにされました…
    個人的にはリョウがこれから生きていく未来はなく、自殺エンドだと思いました。
    それにしても緑の目は昔から嫉妬の目と言いますよね。何をそこまでノゾミが嫉妬したのか、読み取るのが難しかったですが…

  • 以前、ビブリオバトルの記事を新聞で読んだ時にこの本が出ていて、気になっていた。
    記事の内容もうろ覚えで、ただ、読んだ人と話したい、みたいな内容のスピーチだったと記憶していたので、どういうことかなぁと思いながら読んだ。
    読み終わった時は、ん?って思ったけど、新たな分岐点が目の前に現れたって事かなと思った。
    すごくマイナス思考な主人公だったけど、なんとなく頑張りそうな気もするし、続きが知りたいなぁと思った。

  • R座で読んだ。
    すっきりしないというか後味は悪い話。
    パラレルワールドに転生してみたら、とかいうラノベな展開でありつつ、ジワジワと胸に重しがくるような話だった。

    キーとなる場所を巡る度に、一つ一つが良い方向に変わっていく。全体的には明るい展開でありつつ、「アレ、つまりこれ現実世界が救いようがないボトルネックってもしかして主人公…?」と少しずつ気付かされていく。

    自分がいなかった場合の世界は普通自分では見れないけど、それが実は自分がいる場合よりもグンといいものだったと知ったらもう生きていたくなくなるだろうな。何もしなかったことが間違いだったというメッセージもあるが、とはいえ主人公はそこそこ色々行動を起こしている(主人公姉の行動よりも思慮不足なところはあるかもだけど)。だからこそ、救いようがない。はあ。

    下手に過去とか未来とかパラレルワールドとか見ない方が、現実を受け入れられるんだろうな。今しか生きれないのってむしろありがたいことなのかもね

  • 私的にはハッピーエンドだと思ったんだけど他の人の感想を見てるとバットエンドなのかなとも思えてきたりもして題名の意味もわかってやるせない。あっという間やった頭から離れない。病んでるときに読まなくてよかった。最初と思っていた話が違ってまさかのって感じ。残酷。私がリョウの立場だったら耐えられない。どんどん追い詰められていく感じ。米沢穂信さん、おもしろいな。

  • 青春ミステリーものかと思って読んだけど、若干違っていた
    なんか見た事あるなあと思いながら読んでいたけど、森絵都さんのカラフルに似ている
    最後のメールが誰からなのかでバッドエンドかハッピーエンドか決まる。
    自分はサキからのメールであって欲しいなあ
    母からのメールであっても、かぞくはこんなんだけど自分は頑張るぞ!って気持ちで主人公は微笑んだのだと思いたい、、、

  • ただ嫌な気持ちになって終わる。再読はない。
    東尋坊と金沢の描き方だけは好き。

  • 青春ミステリの金字塔と言う通り、リョウやサキの感情の描写は繊細でスクーターに2人乗りのシーンがとくにお気に入りです。
    結末はもっといい方向かと思ったら最後は突然突きつけられた絶望にこちらまで目眩が……
    この悪夢を見せていたのはノゾミ??それともツユ……??

    あぁ……生まれて来なければ良かった……

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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