君が夏を走らせる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297743

感想・レビュー・書評

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  •  現実味のない設定でめちゃくちゃだけれども、瀬尾さんの表現力で現実感を漂わせます。一緒に過ごす中で満たされていったものが沢山♪
     まだ、まともに喋れなくてもたくさんのものを人に与える。小さい子っていいですね!人と人との関係は言葉だけではないな、と。言葉にしなくても身体から溢れる流れを受け取って。目が見えなくたって、耳が聞こえなくたって、どこか不自由でも生きてれば何かを思います。それを感じとって、大切なことを互いに教え合い見つけ合い...。素敵な夏です☆

  • 「あと少しもう少し」にでてた、大田くんが主人公!1ヶ月ほど1歳の女の子の世話を引き受けて…金髪ヤンキーのひと夏の子育て奮闘記

    私的に作品によっては話の中盤くらいでやっと作品の世界観に入っていける作品もある中、瀬尾まいこさんの作品はいつも読んで2、3ページでなぜか物語の世界にすっと入れてしまう感じがする。
    読み出してすぐに大田くんが子供の世話??無理無理無理そんなん無理やって!でも確かに大田くん義理堅い一面もあるしなぁ〜ってしっかりと物語に入っていってた。

    金髪ヤンキーが小さい子供に振り回されながらも愛情を持って世話をしている姿は本当に心がほくほくして良い!

    この物語で金髪ヤンキー大田からスーパー家政婦大田へ進化したんやね

    子供が素直に感情を表現する姿に癒される。いつからこういう素直さを無くしていくんか

  • 瀬尾まいこさんは大好きな作家さんのひとり。
    教員と作家の二足の草鞋をはきつつ、素敵な作品を生み出されていたころから、ずっと瀬尾さんのファンです。
    この『君が夏を走らせる』は瀬尾さんの本、17冊目になります。

    読み始めてから気づいたのは、主人公の太田君はあの『あと少し、もう少し』の太田君だ!と言うこと。
    『あと少し、もう少し』では寄せ集めの中学駅伝メンバーの一人だった問題児の太田君。
    駅伝を通して、仲間の大切さ、走ることの喜びを感じていたのに…

    『君が夏を走らせる』で、高校生になった太田君。
    あら…
    あの駅伝への情熱はどこへいってしまったのか…
    再び、悶々とした日々を送っていて…

    そんな太田くんのもとへ、元不良の先輩から頼みごとが。
    先輩の奥さんが入院することになり、夏休みの間、先輩の1歳の娘、鈴香ちゃんの世話をすることに。
    鈴香ちゃんに振り回されながら、太田君が成長していく姿。
    キューンと胸に響きます。

    1か月という短い時間。
    仕方なく始めた鈴香ちゃんとの生活が、太田君の毎日を意味深い日々に変えていった。
    鈴香ちゃんとの別れは辛いと思えるほどに。
    でも、太田君はもう大丈夫!
    鈴香ちゃんのために過ごした夏は、太田君が自分自身のために生きる道程を示してくれたはず。

    瀬尾さんの本は、優しい気持ちにさせてくれます。

  • あの大田くんが!!ぜひ、『あと少し、もう少し』を読んでから読んで欲しいです!高校生になっても自分をまだ見出せず、周りの目を気にして反抗的になっていた大田くん。2歳前のまだ赤ちゃんな女の子と過ごし、ゆっくりだけど確実に心境に変化があらわれる。対して女の子は適応するのが早い。先輩家族がいなかったら、絶対に巡り会うことのない2人。もう、2人のやり取りが可愛くて可愛くて…!じんわり心が温まる素敵な話。2歳の手のかかるわが子とどうしても重なった。「おいで」した時の喜んで飛びついてきてくれる感じ、すごいよくわかる!!わが子にも大田くんと同じように接してあげたいなぁ。

  • ある日突然1歳の子供の子守を1ヶ月することになった高校生の話、と思って読んでいたら[あと少し、もう少し]の大田くんの話でした。その繋がりも嬉しかったし、大田くんの人として本気で相手に取り組む姿に感銘を受けました。

  • 余計なことを考えずに楽しく読みました。鈴香ちゃんが可愛すぎる。自分の子供じゃない赤ちゃんはただただかわいいだけですね。

  • 『あと少し、もう少し』に出てくる不良少年 大田くんが主人公。

    実は優しくて柔軟な心を持った大田くんと、ベビーシッターという組み合わせが絶妙。徐々に父性が芽生えていく、その心情の変化が面白かった。
    1歳児とのやり取りも可愛くて癒される。

    子育てでも仕事でも勉強でも、何か夢中になれることがあるというのは素敵なことだと思った。

  • 大田くんは、2016年2月に読んだ「あと少し、もう少し」の登場人物だと途中で知る。ちょうど5年経って同じ時期になった偶然に驚く。
    学校ではやるせなく過ごしていた16歳が、たった1か月ほどだが、2歳の子と共に過ごし、共に成長する物語。何か事件が起きるわけではなかったが、よかったね。

  • 読み終えたら
    いや、読み終える手前から。このバイトが終わるんだ、ということを意識し始めた時から、とても沢山の感情が押し寄せてきた。

    胸がいっぱいすぎて、うまく纏められないけど。


    最初は押し切られる形で始まった大田くんのバイト。もうハラハラドキドキ、危ないし、あらぬ心配までしてしまう。読み手としては老婆心が丸出しだ。
    そんなこちらの心配をよそに大田くんと鈴香は心を通わせていく。
    鈴香も大田くんを求めているし、大田くんも然り。

    いつしか大田くんの生活にはいつもバイトが据えられていた。


    鈴香との時間がなんらかの形で続いていけばと願ったが、きっとそうじゃない。
    大田くんも鈴香も、もっと世界を自分で広げていけるんだろう。

    今の世の中、レースはどこでだってやっている。

    走れ!!


    最後に、私もまだ”何者”かになれるんだろうか

  • ★4.5
    相手が子供ということで、何か起こるんじゃないかとハラハラしながら読んだけど、さすが瀬尾まいこさんの作品、悲しいことは起こらなかった…安心…
    友人の子供を思い浮かべながら、あーわかるわかる、と共感。他人の子供という距離感は同じかだけど、一日中ひとりで面倒見ることはないから、私が知る以上に大変なんだろうな。その分の愛おしさはきっと想像以上。
    最後、子供に拘らず、大田君にとっての次のレースを探しにいく様が、若者の可能性を感じさせた。

    一点だけ、鈴香の祖父母に当たる人たちに自分の判断で手紙を出したこと。そこは他人が干渉してはいけない領域ではと思った。大田君の気持ちはわかるけど、自分なら勝手にそんなことしないでほしい…

    「あと少し、もう少し」は未読。
    そちらも読みたい。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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