- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101297743
感想・レビュー・書評
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瀬尾まいこさんは大好きな作家さんのひとり。
教員と作家の二足の草鞋をはきつつ、素敵な作品を生み出されていたころから、ずっと瀬尾さんのファンです。
この『君が夏を走らせる』は瀬尾さんの本、17冊目になります。
読み始めてから気づいたのは、主人公の太田君はあの『あと少し、もう少し』の太田君だ!と言うこと。
『あと少し、もう少し』では寄せ集めの中学駅伝メンバーの一人だった問題児の太田君。
駅伝を通して、仲間の大切さ、走ることの喜びを感じていたのに…
『君が夏を走らせる』で、高校生になった太田君。
あら…
あの駅伝への情熱はどこへいってしまったのか…
再び、悶々とした日々を送っていて…
そんな太田くんのもとへ、元不良の先輩から頼みごとが。
先輩の奥さんが入院することになり、夏休みの間、先輩の1歳の娘、鈴香ちゃんの世話をすることに。
鈴香ちゃんに振り回されながら、太田君が成長していく姿。
キューンと胸に響きます。
1か月という短い時間。
仕方なく始めた鈴香ちゃんとの生活が、太田君の毎日を意味深い日々に変えていった。
鈴香ちゃんとの別れは辛いと思えるほどに。
でも、太田君はもう大丈夫!
鈴香ちゃんのために過ごした夏は、太田君が自分自身のために生きる道程を示してくれたはず。
瀬尾さんの本は、優しい気持ちにさせてくれます。 -
あの大田くんが!!ぜひ、『あと少し、もう少し』を読んでから読んで欲しいです!高校生になっても自分をまだ見出せず、周りの目を気にして反抗的になっていた大田くん。2歳前のまだ赤ちゃんな女の子と過ごし、ゆっくりだけど確実に心境に変化があらわれる。対して女の子は適応するのが早い。先輩家族がいなかったら、絶対に巡り会うことのない2人。もう、2人のやり取りが可愛くて可愛くて…!じんわり心が温まる素敵な話。2歳の手のかかるわが子とどうしても重なった。「おいで」した時の喜んで飛びついてきてくれる感じ、すごいよくわかる!!わが子にも大田くんと同じように接してあげたいなぁ。
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ある日突然1歳の子供の子守を1ヶ月することになった高校生の話、と思って読んでいたら[あと少し、もう少し]の大田くんの話でした。その繋がりも嬉しかったし、大田くんの人として本気で相手に取り組む姿に感銘を受けました。
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余計なことを考えずに楽しく読みました。鈴香ちゃんが可愛すぎる。自分の子供じゃない赤ちゃんはただただかわいいだけですね。
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『あと少し、もう少し』に出てくる不良少年 大田くんが主人公。
実は優しくて柔軟な心を持った大田くんと、ベビーシッターという組み合わせが絶妙。徐々に父性が芽生えていく、その心情の変化が面白かった。
1歳児とのやり取りも可愛くて癒される。
子育てでも仕事でも勉強でも、何か夢中になれることがあるというのは素敵なことだと思った。 -
大田くんは、2016年2月に読んだ「あと少し、もう少し」の登場人物だと途中で知る。ちょうど5年経って同じ時期になった偶然に驚く。
学校ではやるせなく過ごしていた16歳が、たった1か月ほどだが、2歳の子と共に過ごし、共に成長する物語。何か事件が起きるわけではなかったが、よかったね。 -
読み終えたら
いや、読み終える手前から。このバイトが終わるんだ、ということを意識し始めた時から、とても沢山の感情が押し寄せてきた。
胸がいっぱいすぎて、うまく纏められないけど。
最初は押し切られる形で始まった大田くんのバイト。もうハラハラドキドキ、危ないし、あらぬ心配までしてしまう。読み手としては老婆心が丸出しだ。
そんなこちらの心配をよそに大田くんと鈴香は心を通わせていく。
鈴香も大田くんを求めているし、大田くんも然り。
いつしか大田くんの生活にはいつもバイトが据えられていた。
鈴香との時間がなんらかの形で続いていけばと願ったが、きっとそうじゃない。
大田くんも鈴香も、もっと世界を自分で広げていけるんだろう。
今の世の中、レースはどこでだってやっている。
走れ!!
最後に、私もまだ”何者”かになれるんだろうか