虚空の旅人 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

感想・レビュー・書評

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  • 「精霊の守人」シリーズが
    また ぐんと ひろがった感じです

    バルサが不在ですが
    その分 チャグム と シュガが
    ますます魅力的であります

    上橋菜穂子さんも
    「あとがき」で触れておられるように
    いよいよ
    「精霊の守人」シリーズが大河小説になっていく
    その気配が濃厚な一冊であります

  • 守り人シリーズ4作目。

    今回は新ヨゴ王国のお隣、サンガル王国が舞台。
    新王即位式に招待されたチャグムとシュガが、サンガル王国を支配しようとするタルシュ帝国の陰謀に巻き込まれます。

    サンガル王国にもナユーグルという異界が存在し、その異界の者に憑依され<ナユーグル・ライタの目>となってしまった少女。
    <ナユーグル・ライタの目>となってしまった者は都で最大級のもてなしを受けたのち海に帰すとして殺される運命にあり、
    以前、同じような境遇で殺されかけたチャグムは放っておけず、助けたいと思う反面、皇太子としての立場が邪魔をします。

    一方、以前から少女と顔見知りだった新王の弟であるタルサン王子も、少女を助けようとしますが、
    少女はタルシュ帝国の密使であるヨゴ人の呪術師に操られており、そのせいでタルサン王子も呪いをかけられ
    兄であり、次代の王であるカルナン王子に重傷を負わせ、罪を着せられ死刑判決をくだされてしまいます。

    その後、島守りたちの謀反やタルシュ帝国の侵略など慌ただしく物語が進む中、チャグムはシュガと共に奮闘するのですが、
    なんていうか...完全にチャグムの成長を見守る母親の気分でしたね。
    立派になっちゃって。ぐすん。
    最後の言葉もよかったなあ。チャグムとシュガの関係もすごくいい。
    バルサとタンダがあのチャグムを見たらどんなに喜ぶだろう...ああ!早く会わせてあげて!なんて思ったりもしました 笑。

    あとがきで「やんちゃで真っ直ぐなチビスケ」とチャグムのことを書かれている上橋先生にもほっこりさせられ、なんとも清々しい読後感。たまらん。

  • 今回はバルサは出てこないのでちょっとがっかりでしたが、シリーズ一作目では守られてただけのチャグムが皇太子として成長しているのをみることができてなんだか嬉しくなってしまいました。

    そして前作では王宮暮らしが嫌でたまらなかった様子だったけれど、この話の終わりには
    『兵士が駒のように死なない国に…わたしが、薄布など被らずに民と向き合える国にしたいと思う。』
    と皇太子としての夢を持つ。その成長がこのシリーズを読んでいく楽しみですね。

  • 虚空の"守り人"だと思って読み進めていたので、「いつまで経ってもバルサ出てこねぇな」と思って読んでいた(途中でチャグムの物語なんだと気付いてチョイ役なのかなと思い直した)。
    "旅人"であることは解説を読むまで気付かなかった。登場人物の最初にバルサとトロガイがいるので(「今回は(トロガイいるのに)タンダ出ないのか!」と思っていた)、勘違いが溶けなかった。

    解説の「作中で男女の役割が逆転している」に関しては良いところを見ているなーと感銘を受けた。
    闇の守人で短槍なら体格差を補える旨の記述があって多少の補強をしているとはいえ、男女間の筋力の違いは明白であるので、いつもはそういう非現実的な部分が気になり白けてしまうのだが、上橋女史の筆力なのか全く意識せずに読んでいた。
    その点についても"回答"を挙げているのがこの解説(者)の秀逸なところで、物語の成立(創作)と現実への違和感の部分は思わずうなるような卓抜した考察だと思う。
    この考察は近年の"なろう系"や転生モノのご都合主義極まる主人公の性質設定にも当てはまるように感じ、優れた目を持っていると思った。

  • バルサに助けられた皇太子チャグムと有能な相談役シュガのお話。精霊の守り人から3年、14歳になり成長したチャグム。外交という立ち位置でうまく身動きできなくても、誰かを見殺しにしようとしない姿勢は健在。

    人を駒として扱うのは私もしたくないし、違和感を覚える。それでも為政者は駒として使わざるを得ないときもあるのだろうか。実はシリーズ通して触れられるこのテーマ。今後、どんな結論になるか気になる。

  • 守人シリーズの4作目。

    青い海に浮かぶ島々…サンガル王国が舞台。

    1,2,3作よりも登場人物が多く、人を陥れようとする陰謀や、国同士の駆引き…に加えて呪術師や生け贄の儀式。てんこもり。。。
    冒険+ミステリーな感覚で読みごたえありました。

    チャグム…大きくなったね(泣)
    不安定な面があるけれど、自分の心に忠実に生きたいと頑張っている姿にジーンとする。
    お側に居るシュガにも…ホロリとしました。

    2022/10月再読。

  • 新ヨゴ皇国皇太子のチャグムが主人公のシリーズ第四弾。南のサンガル王国の新王践祚祝賀式に招かれたチャグムと星読博士シュガは、サンガルと周辺国を一網打尽に侵略しようとする南の大国タルシュ帝国の謀略に巻き込まれる。ナユーグル・ライタの目として生贄にされた少女、父を捕虜にされた漂海民の女、サンガル王血族で為政者の娘たち。それぞれの想いが交わるときに国が動く。

    冒頭にパラパラとページを捲って、今回もバルサの出番少ないのかぁ〜ハズレかなぁ〜…っと思ったら、めっちゃ面白い!国の存亡を懸けた戦いが熱い!良作でした^_^ そしてチャグムの成長が垣間見れて、とても嬉しい気分に!やっぱシリーズものは主人公の成長が楽しみですよねー^ ^

  • チャグムイイ男に成長中!(^o^)今回はサンガル王国の新王即位式に招かれたチャグムがシュガと共に大活躍!海底の民に魂を奪われた少女、タルシュ帝国の侵攻、国を守る女たちの画策などハラハラドキドキ展開(;゜∀゜)みんな頑張っていたけれど、今回一番頑張ったのはスリナァだと思う(*^^*)

  • チャグムが活躍する話。
    そしてシュガとの絆がより深まる心温まる話。

    「これはチャグムの話だから守り人シリーズの外伝となり、だから“守り人”ではなく“旅人”とした。」とあとがきで読んでから初めて、「ほんとだ!旅人だ!」と気づいた私。

    シュガがなんとかチャグムを助けよう助けようとしているのが、単にチャグムが皇太子で国にとって重要な人物だからという打算なものではないというのがわかるシーンがあり、思わず涙ぐんでしまった。

    これまでシュガは確かに頭はいいけど、打算的なところが好きくないなと思っていた。常にこれは得であるか損であるかを考えて生きているような。
    けれど、それはあくまでも立場からくる役割を果たそうとする使命感からであり、本当のシュガは心のあたたかい人なんだな~とわかって好きになった。
    「聖導師シュガ」が楽しみである。

    一つ、やっぱりなんだかんだバルサと一瞬でも会えるシーンが欲しいなぁ。
    毎回なんだかんだ会えてるじゃん!と突っ込みつつも、チャグムがバルサと会えるとこっちまで嬉しくなるから。

  • チャグムの物語が動き出した。
    今まで虚と実の世界を行き来していたのが、実の世界で広く動き回るのが面白い。
    それぞれの国の考え方や慣習、政治が違っていて、人類文化学の専門家である作者の知識が応用されているのを感じる。

著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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