- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101307077
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/713414 -
ラスト5ページになってもハラハラさせる吸引力。ラストが博正でも久美子でも平八郎でもなく終わるとこがまた痺れる。
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映画版のラストしか知らなかったけど、非常に満足した作品だった。競馬に対する見方が劇的に変わった。おすすめの本を聞かれたときに紹介したい一冊になった。
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再読。
上下巻とおして、登場人物は牧場主の渡海博正が一番好きです。
渡海博正の祈りが結末に繋がったと思うし、夢と目標が実現してほしいなぁって応援しちゃう。
『終わりってのは、また始まるためにある』
良い言葉ですよね。
競走馬を生産する世界を歓迎して良いのかわからないけど、めちゃくちゃな悪人がでてこないので、この本の中では美しく感じられます。
で、競走馬のYouTubeとか見てしまいます(笑) -
血統だけでは勝てない。運も必要。人も頑張りだけで成功するわけではない。そこに軋轢、敵意、無力感が生じる。1頭の駿馬の誕生からの3年間は登場人物それぞれの生活、気持ちにどんな変化が起ころうと一途で清らかだった。久々に爽やかな読後感が得られた小説だった。2021.1.2
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それなりに面白い。
オチはもっと感動的だと良かった。 -
再読完了、やはり当方が読んだ古今東西のhorse racingものでNo.1。
古き良き時代から社台、もっといえばノーザン1強への競馬シーンとしてはあまり面白くないともいえる流れが背景に見え隠れするなど、リアリティという意味でも出色。
また、そんな知識無くとも人間ドラマとして結構重厚だし、ちょっとした推理的要素も兼ね備えている。
東京優駿が無観客で施行されることとなった今こそ読みたいMasterpieceであること、当方レベルでは何ですが保証します。 -
恋人の名前の由来となった小説と聞いて読んだ。
日本語が美しい。特に心の内や、表情の意味を説明している箇所。三島由紀夫のそれに通ずるような感じ。
群像劇でストーリーに心揺れることはそんなになかったけれど、言葉の美しさで最後まで読み応えがあったから、これは純文学だと思う。(主観です)
以下、引用。(上巻&下巻)
多田の顔からは、嘲らしきものはまったくみつからなかった。さらには、勝ち誇っていることをあらわにしないために、人がしばしば己の顔に装着する無表情という仮面もかぶってはいなかった。いつもの、冷たいのか暖かいのか判別しかねる、笑みも怒気も苛立ちもない、明晰な顔があった。
そうしたさまざまな人間たちの顔つきが、どれもこれも、ただTOKIOの目には真っ当な仕事をしていないもののそれに映るのであった。裕福なはずの馬主たちも、私がないサラリーマンでしかない記者たちも、身なりの違いこそあれ、みなやくざな顔をしている、と多田は思うのである。(略)表情のどこかに共通したものが漂っていて、それに多田は「やくざ」という言葉を冠したのであった。(略)初めて社長の平八郎のお供で馬主席に身を置き、そこにうごめく人々を見た時、その言葉は躊躇なく彼の精神からすべり出て、確かな一つの固定概念となった。
菊島はときおり博正を見て、薄ら笑みを浮かべた。蔑みの笑みではなく、ある種の好意を含んだ笑みであった。
坊や、人間、何かことをやろうって決めた時にゃあ、必ずその行き脚をさえぎるような災が起こってくるもんだ。俺は学もねぇただのツマラねぇ馬喰だが、長生きしてるうちに、それが判ってきた。不思議なことだが、その災いってのは、自分の一番弱いところをついてくるぜ。それでみんな前に進めなくなっちまう。ところがこれも不思議なことに、ちくしょう、こんな禍なんかふっとばしてやらあ、俺は行くんだって腹括ったら、禍はいつの間にか消えちまう。 -
感想は上巻参照