血族の王: 松下幸之助とナショナルの世紀 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101310329

感想・レビュー・書評

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  • 松下幸之助の伝記。不遇の幼少時代を過ごし、貧困からの脱出を目指した人生だった。苦労しながらも若い頃からの努力とアイデアでチャンスを掴み、ナショナルブランドで成功する。本田宗一郎と並ぶベンチャー企業だったが、会社の雰囲気は家族的であり、彼は「家長」として君臨していたようだ。読んでみて、正直なところ自分はこの会社では勤まらないと思った。幸之助は自分に厳しい人だったが、他人にはもっと厳しかったようだ。当時は権力を誇示しても問題無かったと思うが、もし現代だったらパワハラと言われることも多かったかも。昔の会社がどういうものだったかを知るには、良い本だと思う。

  • 松下電器創業者、松下幸之助の評伝。技術は二流でも販売網で勝つ、幸之助の強引とも言える戦略は、まさに「真似した電器」、「二番手戦略」そのもの。

    圧巻は、電球事業に進出した際、「品質面でマツダランプの足元にも及ばなかった」ナショナル電球を、販売店を説得してマツダランプと同額で売り出したくだり。問屋の社長や販売店の店主に人情で訴えかけ、「ナショナル電球が二流品であることを承知しながら一流品の価格で売ることに同意」を取りつけた、という。無茶苦茶な話ではあるが、販売店の力でマツダランプを凌ぐ勢いで売れたという。販売店の力、恐るべし。

  • 自己啓発的な本ではなく、いわゆる松下の伝記といったところか。
    経営の神も人間。
    人間くさいところが見れて面白かった。

    晩年は少々見苦しい場面も。引き際(引退)って難しいですね。

  • 唯一神松下幸之助ではない部分を書いた稀有な本。コンプレックスに突き動かされる形の起業家で、そのことによる弊害は必ず起きるのだが、PHP教徒はそこを見ない… 揶揄しているのは私の感想であり、この本自体は非常に足を使った労作であり、一読の価値ある本。しかし相変わらず、販売網を築いた以外の松下幸之助の凄さがわからない。コカコーラと同じ、何を開発してもとりあえず売り場を確保してるんで勝ちますスキームに見える。

著者プロフィール

1955年、和歌山県生まれ。ジャーナリスト。2004年、『年金大崩壊』『年金の悲劇』(ともに講談社)により講談社ノンフィクション賞を受賞。同年「文藝春秋」に掲載した「伏魔殿 社会保険庁を解体せよ」で文藝春秋読者賞を受賞。2020年『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』(講談社)によって日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。
他の著書に、『われ万死に値す ドキュメント竹下登』『血族の王 松下幸之助とナショナルの世紀』(ともに新潮社)、『新聞が面白くない理由』『ドキュメント パナソニック人事抗争史』(ともに講談社)などがある。

「2021年 『キツネ目 グリコ森永事件全真相』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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