- Amazon.co.jp ・本 (632ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101318158
感想・レビュー・書評
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南洋の島国ナビダード民主共和国。日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは……。善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。谷崎賞受賞。
(1993年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんな言い方すると怒られるのかな…ガルシア・マルケスを彷彿とさせる魔術的現実主義の世界だと思った。
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主人公のマシアスギリは人間として共感できる、能力ある魅力的な男として丁寧に描写されているが、一国の独裁者であるが故に行動に綻びが生ずる。
表面は上手く運営できているようでいくつかの不穏の前兆が現れる。決定的なのは島の環礁に外国のタンカー誘致を决めた件。
人間を超えた、自然の霊力のようなものが、彼の存在を許さなくなる。霊的なものと現実の人間が渾然一体となっているところがこの小説の味わいだと思う。
マシアスギリの来し方、育ててもらった人や関係をもった女性も興味深く描かれ、自分で頑張って生きているようでも、生かされている、という感覚を持った。 -
ファンタジー、アドベンチャーの無い、ミステリーの無い純粋なファンタジー。ちょっと、入り込み難かった。細部まで、よく書き込まれているという事かもしれないが、その分テンポが鈍くなっている感じもする。失脚に追い込んだのは誰なのか、何故なのか、その辺りが理解できないのも、辛いところ。
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前から読みたいと思っていた本。私が手に入れたのは函入りの単行本タイプの方で装丁もとても素敵な一冊。壮大な、ストーリー。
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南洋の島国ナビダード民主共和国の大統領マシアス・ギリの物語。
前半は説明なしのこま切れの話ばかりで読むのが辛かったです。でも不思議と続きを読みたい気分になり、かなりゆっくりと読み進め、後半はだいぶ話もまとまってきたし、盛り上がりもあって読みやすくなりました。
マシアス個人の話を掘り下げたり、かと思えば彼なんて大きな視点から見たら駒の1つに過ぎず、権力にすがらずにその役目を終えたと考えさせたり、最終的にはスケールの大きな話になってすっきりと終わりました。
バスレポートが意味がよく分からなかった…
バスがミサに出るって何…? -
良かった。バスではなく、船でもなく、飛行機に乗ったギリが象徴的。
運命論的だが悲観的なものではない、流れに身を任せる話。 -
かなり長いので、集中して物語にのめり込める環境が必要。ケッチとヨールの「最も進化した平和的動物としての酔っぱらい」についてのやり取りが、個人的に好き。
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南の島、
って空気感…。
マシアスギリの
なんか、頑な感じ。
これ、必要!?
って思うバス・リポート。
でもあってもいいかも
と思わす、シビアな雰囲気の
中の緩い空気。
なんか不思議な読み物…。
嫌い、じゃないけど
オモシロくもなかった。