- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101318202
感想・レビュー・書評
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福永武彦に興味があったところ、その息子である作者の存在について友人が教えてくれた。短編集で、束の間に起こる出会いや別れについて綴っている。他人の人生を垣間見する感覚で読み進められてとても好みだった。最近は私生活で気持ちが疲れることが多くて、遠いところに思いを馳せるということがあまりできなくなっていたから、このタイミングでこの本を読めたのは僥倖だったかも。
多分、この先暫くは心をすり減らして生活していくことになるんだろうし、好きなものを生活の中心に据えない選択をしたのは自分だからもう何も言うまいとは思う。人生の大体の方針はかなり前に決めてしまったから、あとは細かな身の振り方しか考えられないけど、この1ヶ月半を「人生の広場」とすべく沢山本を読みたいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
8つの短編集
とても短いものもあり、それぞれが全然違う顔をした短編集でどれも良かった。
身近な出来事で、ありそうだ!と思うものや
想像もつかぬ異文化の中のンクンレとレシタション
池澤夏樹の幅の広さを感じるものだった。 -
短編集
非常に精密に描かれた作品たち
こういうのを待っているんです -
人から勧められて久しぶりに本格的な文学作品を読んだ。
他の方も書いているように、偶然の出会いとそこで展開される話の内容自体が、短いのに大きなインパクトを残すものとなっている。
けれども大まかな内容(テーマ)だけが優れているのではなく、1つ1つの描写、
例えば自然背景や時間経過の表現、主人公を「私」としたり「彼」としたりといった違い、
それら筆者のこだわりが積み重ねられているからこそ、登場人物たちの心情や変化がより鮮烈に、印象的なものになっているのだと思う。
文学として美しいと感じた。 -
この先の人生で何度も読み返すだろう一冊です。
言葉、文章が美しく、舞台が世界各地なので、こちらまで旅をしているかのような気分にさせてくれます。
読後の余韻もたっぷり。
全て好きですが中でも、「レシタションのはじまり」「人生の広場」が今の自分に響いています。 -
f.2023/6/17
p.2010/8/30 -
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巧いです。
池澤夏樹さんの哲学や道徳を文学的に散りばめられる、その筆力が圧倒的でした。
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誰もが持つ空虚さを、世界各国の街に生きる人たちに投影して描いています。そう、これは短編集。
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センチメンタルになるつもりもなく、パラパラと気軽に開いたら、虜になりました。
おすすめくださった、砂川市のいわた書店の岩田社長のリコメンド力、さすがです。
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「関わりが短く浅かった分、別れは決定的で、それゆえ痛切になるだろう。」この解説も真理ですね。 -
うまいなあ。
2021再読 -
もっと早くに出会いたかった、と思う本はたくさんあるのだろうけど、これもそうかも。
書名にもなっている"君のためのバラ"はほっこり切なくてもちろん素敵。
今の私には、"20万マイル四方で唯一のコーヒー豆"が何だか引っかかった。
1万円選書の内の一つ。 -
牡蠣を食べるしんとした夜中の都市生活
レシタションのはじまり
正しく淋しさを味わう人生の広場
20マイル四方で唯一のコーヒー豆感傷的
余韻きみのための黄色いバラ
旅
鴻巣友季子の解説がよい
個人的にこのカバーはどうかと思う