- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101323237
感想・レビュー・書評
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どんよりとした読後感
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ホラーではない坂東さん作品。
上巻と違い読んだ後のスッキリ感がありました。
住んだ事もない雪国の情景をイメージし易いのは、さすが坂東さん!という感じでした。
後半に畳み掛けるように色んな事件が起きてハラハラドキドキでした。
最後、妙や大八郎のその後や涼之助の今後も気にはなるところですが。。叶わぬ事が寂しいです。 -
直木賞受賞作ですが、この頃の坂東眞砂子は素晴らしい。時は明治。山里に現れた美貌の役者涼之助と村の暮らしに飽きた地主の家の嫁。2人の許されぬ密通と涼之助の肉体の秘密。誰が悪いのでもない。あるのは人間の業と因果。そして壮絶なラストへ。娯楽小説とは違う哀しみを孕んだ傑作伝奇小説。一気に読ませます
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山の中に逃げ込んだ涼之助は、扇水から受け取ったお守りの弾丸によって、里の人びとから山姥と恐れられるいさが、自分の母であることを知ります。さらに、鍵蔵の妻・てるが、いさの長女・ふゆであり、鍵蔵の世話になっている渡りマタギの喜助がいさを捨てた文助であることることが明らかになります。
思いがけない運命のもとに置かれていたことを知った涼之助は茫然としますが、そこへてるを奪われた嫉妬に狂う鍵蔵の手が迫ります。鍵蔵は次々と殺人を重ねて転落していき、いさは山の中へ戻っていきます。涼之助は、そんな自分自身の運命を見据え、ひとり里を下っていきます。
後半の展開は少し詰め込みすぎのような印象もありますが、おもしろく読めました。土俗的な舞台と物語構造に吸い込まれていくような、不思議な読書体験でした。 -
特に最初のほうの東北弁がひどく、なんて読みにくいんだ、ということで、何度も本を置くはめになった一冊。
ようやく我慢して読み進めたら、意外に面白かった。
山妣が山妣になるまで、なってからの山での暮らしぶりの描写が特に。 -
里での物語は雪に閉ざされた山で終息する。その舞台で明らかにされる「妣」の姿が悲痛。いやあ、力のある作品でした。