「徳川家康の決断」は、戦国時代の日本において、徳川家康がどのような選択を迫られ、どのようにして天下を制したのかを探求している。家康の波瀾の生涯とその決断を通じて、読者に深い洞察をもたらす。日本の歴史とリーダーシップに興味を持つ方々におすすめできる。本多隆成氏の筆致は鮮やかで、家康の人生を魅力的に描いている。戦国時代当時の政治的状況や戦国大名たちとの駆け引きの中、今川・織田の両雄に挟まれた弱小勢力としてスタートした家康は前半生では、正妻と嫡男信康を喪い、重臣の離反も経験した。また武田信玄や羽柴秀吉との戦いで鎬を削り、手痛い誤りも犯したが、運も味方にして幾多の難局を切り抜けた。そして三方原の合戦、本能寺の変、関ヶ原の合戦、大坂の陣など、家康が迫られた10の選択を軸に、波瀾の生涯が描かれていく。
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2024年4月22日

読書状況 読み終わった [2024年4月21日]
カテゴリ その他

皆さんは平安貴族についてどんなイメージを持っているだろうか?平安貴族たちは遊宴と恋愛にうつつを抜かし、毎日ぶらぶらと暮らしている連中で、しかも物忌みや怨霊を信じて加持祈祷に頼っている非科学的な人間であると信じられてきた。そして草深い関東の大地から立ち上がった勇敢な正義の武士に歴史の主役を取って代わられるのも必然であると思われていた。そのため世間では平安時代など全く人気がなく、歴史学会でも長く平安時代は悪い時代であるとの評価がもっぱらであった。かくいう自分もそのような否定的なイメージを持っていた事は否めない。しかし本書を読むとそんなイメージを覆される人も多いのではなかろうか。まず平安貴族は意外に多忙であるという事がわかる。遊宴と恋愛にうつつを抜かす貴族というのはほんの一部であり実務をつかさどる貴族は古来の先例に基づいた行事や法令、制度、風俗、習慣、儀式、装束などのことに縛られ、自分の子孫にも間違いがないようにと日記に記している。この日記は「にき」と呼び、現在の日記とは違い、儀式の指南書のような印象が強い。本書では有名な古記録である藤原道長「御堂関白記」、藤原行成「権記」、藤原実資「小右記」の三つを取り上げ誤解されがちな平安貴族の実像に光をあてている。とくに道長はNHKの大河ドラマ「光る君へ」の主要登場人物なのでドラマを見つつそのドラマの時代考証をもしている作者の本を読むとより楽しめる事うけあいである。詳細→
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2024年3月29日

読書状況 読み終わった [2024年3月28日]
カテゴリ その他

中央公論の歴史本第21巻。時代は明治。憲法制定と国会開設の請願、がこの本の主軸となっている。自由民権運動は1874年(明治7),板垣退助らによる民撰議院設立要求に始まり,国会期成同盟を中心に全国的に広まった。運動は81年,10年後の国会開設を約束する詔勅を引き出し,自由党や立憲改進党などの政党結成へと進んだが,政府の弾圧強化と運動内部の対立,福島事件や加波山事件など激化事件が相つぐなかで衰えた。板垣退助も演説中、暴漢に襲われ重傷を負うが、「板垣死すとも自由は死せず」などと言ったというのはデマであった。(誰か他の人が言ったとか。)明治十年代の政治の現実においては、絶対主義的な国家形態の変革=国会開設=立憲政体の樹立という目標こそが士族民権家や都市ジャーナリストや豪農運動家など多数の人々の共通の目標だったろう。国会開設を要求する請願の波は13年になって巨浪のごとく高まって士農工商や老若の別なく、異口同音にみな国会ひらくべしと唱道し、資産をおしまず奔走し、四方に遊説して同志をつのり、社を結び党をたて、甲は乙に先んじようと欲すれば、乙は甲におくれまいとのぞみ、その競争興起の情は、あたかも維新革命のときの尊王倒幕の志士たちのそれと同様であったという。詳細→
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2024年3月15日

読書状況 読み終わった [2024年3月14日]
カテゴリ その他

第166回直木賞受賞作。この本はジャンル分けに悩む。時代小説ともいえるしミステリともいえる。時代小説としてはもちろん小説なので史実とある程度リンクしつつ細部はフィクション。どの程度フィクションなのかは未確認。ミステリとしては今までの米澤先生の作風そのままに本格ミステリとして謎解きが楽しめる。全部で4つの謎が出てくるのだがその4つの謎を主人公荒木村重が推理した挙句、壁にぶつかり、城の地下の土牢に閉じ込めている囚人の黒田官兵衛(有名な軍師だよね)に相談を持ち掛け、官兵衛の助言を得て犯人を特定するというパターンになっている。官兵衛が牢屋に閉じ込められているところから「羊たちの沈黙」のレクター博士を連想させられもした。官兵衛は外に出ることができないのでいわゆる安楽椅子探偵みたいなものであろうか。さらに面白いのは4つの謎がバラバラなところに最後に4つの謎全てに関わる裏の重要人物が明らかになるところである。この人物が明かされることで全てが繋がり、その人物の行動の動機である戦国時代の悲惨な真実が立ちあらわれてくるところが良かった。歴史モノの良さとミステリの面白さがうまく融合している。お互いの良さを引き立てる相乗効果もあり、最後までページをめくる手を止められなかった。2月にしてはやくも今年ベスト級の傑作に出会えたことはうれしく思う。去年は自分が読んだミステリ作品が不作だった分、今年は豊作になる予感。詳細→
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2024年2月13日

読書状況 読み終わった [2024年2月13日]
カテゴリ ミステリ

この国の歴史の時代時代の中で誰が一番偉いのか?なぜ偉いとされているのか?という疑問を形式的に考えると当然「地位」が高いものが偉い。朝廷の秩序ならば天皇、幕府ならば将軍が最高位に置かれいる。将軍は天皇によって任命されているのだから、将軍よりも天皇が偉い。しかし、天皇は形骸化し、ないがしろにされていた時代もある。では、実質的に誰が実権を握っているのか?日本では「地位」よりも「人」に重きが置かれる。例えば豊臣秀吉は「太閤」である。太閤は役職でもなんでもなく、摂政・関白を退いた者の呼び名で、言ってみればご隠居である。しかし家康や秀吉の「人」に人々は従っている。ではなぜ「地位」よりも「人」なのか?これが本書のテーマの一つとなる。日本の権力構造をつぶさに見ていくと、地位=公の役職とは別の序列があることがわかる。それは「家」の序列である。家の序列で「人」の功績は代々受け継がれ世襲されていく。それは平安時代の頃の朝廷を見ればわかる。朝廷は上級貴族、中級実務貴族、下級官人の3者によって運営されている。その中でも世襲が根幹の原則として成り立っている。日本は中国の「科挙」制度を導入しなかったため、本来の意味での官僚をきちんと育成できなかった。才能を基準としての登用や抜擢があったとしても、それは世襲によって形成された階層の内部にとどまり、権力グループそのものの入れ替えはなされなかった。朝廷から武士へという権力の移行が起きても、両者それぞれの内部では、「家」を中心とした世襲に基づく権力構造が維持されていく。一方、中国では科挙を採用しているため、どんなに栄達を極めた家も4代から5代で廃れるという。これは4代5代連続で科挙試験に合格しなければいけないという困難さから来ている。また中国で皇帝の后だった女性がなくなると強権の根拠を失ったその家の人々(日本でいうと摂関家)は皆殺しの憂き目にあうという。だから中国では藤原氏のような家が生まれなかった。日本で戦国時代は下剋上の時代だったといわれるが世襲の力はまだまだ強力で織田信長の秀吉登用などは例外的である。むしろ世襲の原理が否定されたのは明治時代に入ってからであるといわれる。明治の政治家たちは跡取りの将来に便宜を図るような振る舞いはしなかった。「子孫の為に美田を買わず」という西郷隆盛の言葉がよく表している。世襲の原理は否定され、才能の重視が実現するのである。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28111.html

2024年1月29日

読書状況 読み終わった [2024年1月28日]
カテゴリ その他

タイトルにある黒幕とは、朝廷の表にあたる天皇、幕府の表にあたる将軍、それに対し裏の存在を指す。例えば摂関政治を展開した藤原氏、院政期の上皇、明治時代の元老政治なども含まれる。「ウラからオモテを操った人物」「重要な役割を果たしたが、陰に隠れた存在」。そんなところだろうか。ポストと実権が必ずしも一致しない日本の歴史は黒幕的存在を生みやすい。この本では「有名な黒幕」という矛盾した存在から、歴史的に「過小評価されてきた黒幕」、功績に対し政権内での地位待遇が高くない「不遇な黒幕」、歴史上広く名が知れているが、実は、隠れたところで仕事をしていた「意外な黒幕」までが登場する。こうした論は「陰謀史観」として批判されがちだが、歴史上の全ての事象が史料に記されているわけでもない。特に機微に触れるものほど、隠されている部分があると疑うべきである。仮説が成り立つかも含め「黒幕」のあり方を知るとその時代の権力の仕組み、日本社会がどのような力学で動いてきたかがよくわかる。本書では十六人の「黒幕」を紹介しながら、日本の歴史を新しい角度から見ていく。信西/天才学者を「黒幕」にした世襲の壁。北条政子/架空のクーデターでライバルを蹴落とす。海住山長房/承久の乱に反対した実務派貴族。平頼綱/肥大化した側近エリートの末路。北畠親房/正統を追求しつつ上皇を拉致。三宝院賢俊/「錦の御旗」を持ち帰った尊氏の密使。黒田官兵衛/「軍師官兵衛」といわれるが……。高山右近/前田百二十万石を救った「影のブレーン」。伊奈忠次/家康から過小評価された民政家。西郷隆盛/「慶喜に腹を切らせろ」ほか。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28110.html

2024年1月17日

読書状況 読み終わった [2024年1月17日]
カテゴリ その他

今まで福澤彰之シリーズで、漁師の生活や仏教といった変わった題材を描いてきたが、本作では米つくりの農家という日本人にとってある意味普遍的な日常生活を描く。都会に住む自分のような者にとっては異質だが、日本の歴史を通覧すると普遍的であると言え、衆目の目を惹きやすい変わった題材から普通の題材を描く事にシフトしているような気さえする。普通の題材をいかに深く描くか、という事に挑戦しているのか?とも思う。土と共に生き、土に還る。タイトルにはそんな思いが込められているような気がする。ただ単に伊佐夫が土のサンプル収集に凝っていたから、というだけではないだろう。その伊佐夫も、16年前に交通事故に遭い植物状態になって、半年前に死んだ妻の昭代が生前他に男を作って不貞をはたらいていたのではないかという疑惑を払拭できず、うじうじと考え昭代という死者にとらわれている。昭代の妹久代と結婚していればまた違う道を歩んでいたのかもね、とも思う。下巻になって伊佐夫のボケが進み目が開いていても現実と夢の境がなくなる事、記憶の中の風景と現実が混在していく描写には恐怖を覚えた。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou6711.html

2024年1月13日

読書状況 読み終わった [2024年1月11日]
カテゴリ 文学

今まで福澤彰之シリーズで、漁師の生活や仏教といった変わった題材を描いてきたが、本作では米つくりの農家という日本人にとってある意味普遍的な日常生活を描く。都会に住む自分のような者にとっては異質だが、日本の歴史を通覧すると普遍的であると言え、衆目の目を惹きやすい変わった題材から普通の題材を描く事にシフトしているような気さえする。普通の題材をいかに深く描くか、という事に挑戦しているのか?とも思う。土と共に生き、土に還る。タイトルにはそんな思いが込められているような気がする。ただ単に伊佐夫が土のサンプル収集に凝っていたから、というだけではないだろう。その伊佐夫も、16年前に交通事故に遭い植物状態になって、半年前に死んだ妻の昭代が生前他に男を作って不貞をはたらいていたのではないかという疑惑を払拭できず、うじうじと考え昭代という死者にとらわれている。昭代の妹久代と結婚していればまた違う道を歩んでいたのかもね、とも思う。下巻になって伊佐夫のボケが進み目が開いていても現実と夢の境がなくなる事、記憶の中の風景と現実が混在していく描写には恐怖を覚えた。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou6711.html

2024年1月13日

読書状況 読み終わった [2024年1月11日]
カテゴリ 文学

鎌倉幕府の有力御家人たちの出自を辿っていくと平家になる、と作者はいう。だから「源平の戦い」などと迂闊に言って、源氏対平家という構造を想起してしまうと、このところの重要性が見えなくなるそうだ。事の始まりは僻地の関東地方にやって来て大土地所有を始めた人々がまず平家だった。平家が土地を開拓し、やがて平将門たちが出てきた。そして成果をあげると美味しいところを吸収して伊勢に移っていった。その、いわば残り物を漁りに来たのが源氏の、源頼義・義家の親子となる。その後、義親と為義という腕っぷしが強いだけで謀反人にさえされる無能力者が2代続けて出た事で源氏はすっかり落ちぶれる。つまり関東において「前九年の役・後三年の役」からずっと源氏と東国武士との関係が続いていると考えると見誤る。そこに連続性はない。断絶している。その落ちぶれた源氏を再び盛りかえしたのが頼朝の父・義朝で、それがために頼朝は義朝を深く尊敬していたのだろう。義朝の功績の中には1143年の「相馬御厨乱入事件」と1144年の「大場御厨乱入事件」がある。さて、鎌倉幕府の13人の合議制には北条時政をリーダーとする北条派と反北条派がいたという。反北条派は時政にとって都合の悪い比企能員、梶原景時、八田知家、足立遠元の4人。時政はこれらの人物を疎ましく思い、排除しにかかる。梶原景時、比企能員は謀殺され、残り2名も殺されはしないが歴史の表舞台に出てこなくなる。しかし後に北条時政自身が平賀朝雅を実朝に代わる将軍に据えようと画策し、息子の義時に反対されて失脚する。このあたりの事はNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていたので少し覚えている。後鳥羽上皇に官位をもらい鎌倉という田舎より京都での雅な生活にあこがれを抱いていた実朝は公暁に殺されるが鎌倉幕府の御家人たちにしてみると「もうあいつはいらない」という認識が総意になり、行われた事ではないかと作者は言う。その後の鎌倉幕府は朝廷との関係を軽視し「京都の事を気にする必要はない」という独自路線に進む。実朝が殺された後、北条政権は摂関家から貴公子を戴いて「摂家将軍」を置くが、それは飾りだけの王であった。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28109.html

2023年12月30日

読書状況 読み終わった [2023年12月30日]
カテゴリ その他

日本史上で有名な、あの偉人達の「残念」なエピソード。歴史ファンにはちょっと腹立たしい、でもちょっと笑っちゃうストーリーが満載。34人の人物の「裏の顔」を覗いてみると、なぜか歴史の裏側も見えてくる。一風変わった日本史読み物。人物やトピックごとにイラストを配置し、文字も大きい。一人の人物について表の功績1ページと裏のエピソード1ページの計2ページで紹介。漫画のようにスラスラ読めるので日本史が難しくて苦手だ、という小中学生向けに書かれた本だろう。大人が読むと少し物足りないかもしれない。以下、内容紹介。糖尿病で満月が欠けて見えていた藤原道長、恋愛小説のカリスマだがリアル世界ではオクテな紫式部、妻の政子に愛妾の家をぶっ壊される源頼朝、武士道もへったくれもない卑怯な戦術で勝つ源義経、他の男との浮気を必死で言い訳する情けない武田信玄、残念なネーミングセンス、短気で残虐な織田信長、親バカのために豊臣氏を滅ぼす原因を作った豊臣秀吉、絵描きバカすぎて掃除もしないゴミ屋敷を転々とする葛飾北斎、器用貧乏だが歴史的にどんな功績があったかわからないまま獄死した平賀源内、学問のために庶民の暮らしも顧みず若い時は辻斬りまで!崩壊する「水戸黄門」のイメージ水戸光圀、死をも恐れず正しい事に猪突猛進するが今の社会ならKYの吉田松陰、歴史小説のヒーローだが史実の上では大した役割をしていなかった坂本龍馬、イケメンだが俳句のセンスが残念な土方歳三、裏の顔は戦を起こすためには手段を選ばぬ策略家だった西郷隆盛、読者を「サル」扱いし身分にも結構こだわった福沢諭吉などなど。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28108.html

2023年12月28日

読書状況 読み終わった [2023年12月28日]
カテゴリ その他

近年日本の尖閣諸島沖で中国船による領海侵犯や領空侵犯、威嚇行動が問題になっているが、本書はそんな迷惑な隣国である中国が何の目的を持ってそんなことをしているのかという問いに答えている。中国は日本だけに意図的な嫌がらせ行動をとっているのではなく、全方位の周辺国と衝突を繰り返している。例えばフィリピン、ベトナム、インド、マレーシア等々の国々である。しかし中共の本当のねらいは貧弱なガス田しか存在せぬ、尖閣諸島のEEZを含めた「東シナ海」などにはない。それは第一義的にボルネオ島(カリマンタン島)なのであり、ボルネオにある油田を支配するための足掛かりとしてのスプラトリー(南沙)諸島なのである、と筆者はいう。スプラトリー(南沙)諸島は位置的にボルネオに隣接している。このため中国はベトナムやフィリピンと小競り合いを起こしている。ボルネオ油田はとうぶんは枯渇しない第一級の優良資源であるし、有事に液体燃料の「ブロケイド(搬入封鎖)」を敵国や国連から受けたような場合には、自国領土内で原油が採掘できることの価値は、政治的にプライスレスでしょう。つまり何のことはない太平洋戦争中の日本と同じ発想で最終的にボルネオ島の油田がほしいのである。もしいきなりスプラトリーの南東縁を中国が軍事的に制覇しようとすれば、間違いなく米英両国との戦争になってしまう。かりに、優良油田が関与しない係争地に中国軍が侵略しても、米国はそれを傍観する可能性がある。しかし、優良油田がそこにあるのならば、米国は見逃さない。ボルネオのマレーシア領とブルネイ国にはその上、英軍(グルカ兵など)も駐留しているのである。優良な地下資源など存在しない尖閣海域との、ここが大きな違いだと筆者はいう。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou29905.html

2023年12月27日

読書状況 読み終わった [2023年12月27日]
カテゴリ その他

村上春樹作品は今まで長編しか読んで来なかったけれども短編も面白い事を発見。長編作品で時々見られるように下ネタが混ぜられることもなく淡々と進む展開に単調と感じるか、面白いと感じるか。自分は後者だった。「レキシントンの幽霊」は幽霊譚としてはさほど怖くもなんともないのだが、アメリカで起きた怪談話というところは変わっている。日本でおきたのなら本当になんてことない話になってしまう。「緑色の獣」は現実には起きえない超現実の話だが緑色のモンスターがかわいそうになる。短いのが良い。「沈黙」は学生時代にクラスに一人はいたであろう頭と要領の良い、いわゆるクラスの人気者とボクシングジムに通う少し暗い男の対立の話。本作品はこの短編集の中では一番好き。「氷男」これもよくわからん話だった。そもそも「氷男」って何?最後まで読んでも謎のまま。「トニー滝谷」トニー滝谷という男の生い立ちと恋愛の事が書かれている。「七番目の男」台風で友人をなくした男がそれがトラウマになる話。「めくらやなぎと、眠る女」耳の悪い、いとこの通院に付き合わされる主人公が昔を回想する話。以上だが全編を通して言えることは変に起承転結的なオチをつけようとせず、ありのままを読者に投げかけるのは好感が持てる。オチがつく話はたしかにわかりやすく意外性という意味で面白いのだが、現実味と文学的深みがない。そういう意味で今月読んだジェフリーディーヴァーの「クリスマス・プレゼント」とは対照的な短編集であった。個人的にはディーヴァ―の「クリスマス・プレゼント」と本作品どちらが良いかと問われれば本作品に軍配が上がる。面白かった。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou19608.html

2023年12月26日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2023年12月26日]
カテゴリ 文学

副題に「日露戦争の本当の勝因」とある。筆者は日露戦争の勝因を当時陸軍で正式に採用されていた「有坂銃」に求め、その性能と開発者である有坂成章の生涯を追っていく。明治時代、陸軍の基本的な作戦単位は「歩兵師団」(または旅団)だった。歩兵師団が戦場に持ち出して使う火器は、主に、野砲と歩兵銃である。日本軍でもロシア軍でも、これには変わりはなかった。ここにひとりのテクノクラートが登場する。有坂成章である。有坂は有坂砲と有坂銃と呼ばれる武器を開発し陸軍に正式採用されるが、その性能は有坂砲と呼ばれる野砲は命中率が悪く、発射速度が遅かった。弾の射程はロシア軍より1000mも短くそれ以遠では不発がちで、うまく敵のところで破裂しても威力が弱かった。期待された塹壕を破壊する力も、黄色薬600gでは、せいぜい40センチほどの深さの漏斗口がえぐれるだけであった。さんざんだった有坂砲だが、ならばなぜ満州の野戦で勝つことができたのかというと、有坂が野砲の開発の合間にたった三ヶ月で図面を引いた有坂銃(正式名称は三十年式歩兵銃)の性能がロシア兵が手にした1891年式歩兵銃を命中率の点で圧倒したからに他ならない。筆者にいわせれば日露戦争は有坂砲や二十八センチ砲で勝ったのではなく、有坂銃の6.5ミリ小銃弾の低伸性能と省資源性とによって辛うじて持ちこたえられた戦だったーという。2つの師団主兵器ーひとつは日本国を破滅の淵際に立たせ、ひとつは日本国を文字通り救ったーを設計したのがともに有坂成章という一人の陸軍人であったとすれば実に興味深い話である。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou29904.html

2023年12月24日

読書状況 読み終わった [2023年12月23日]
カテゴリ その他

2009年の本である。軍事という分野は常に最先端の武器や国際関係の変化に応じて内容が陳腐化しやすいと思う。しかしこの本や1つ前に読んだ兵頭氏の本は「未来」を描いているため内容はさほど古臭くは感じなかった。「未来」を描くためには「過去の歴史」を知らなければならないし「現状認識」もできている事が前提になる。この本では世界恐慌くらいからのアメリカの歴史や日本のそれも出てきて過去の連続体としての未来につながっているという流れは見えてくる。タイトルの「無人化計画」は何を意味するのか、読めばわかるが自衛隊を無人化=なくそうというのでなく、自衛隊を無人化する代わりに1000万台のロボットを導入しようという考えで、一応軍事評論家なのになかなかぶっとんだアイディアである。つまりロボット兵を造るという事なのだろうが、これは現在の日本の何倍もの予算を軍備開発につぎ込んでいるアメリカですらなしえてないことである。ロボット兵ではないけれど「ビッグドッグ」というハーバード大学が開発した四足歩行ロボットならある。このようにヒトと同じプロポーションで二本足で自律的に歩行するロボットである必要はなく、例えば車の運転を代行する「座乗型ロボット」でもよい。人間の身体機能の全部を再現できるロボットが簡単にできてたまるものではない。ミミズの身体機能の完全シュミレートすら、現下の技術ではまだ不可能な段階なのである。このように現在の技術ではまだ実現不可能な気がするロボット化だが、ロボットの競争で勝つか負けるかは、その国が兵器としてのロボット/無人機をまじめに開発する気があるのかどうか、それに国家予算をつけるかどうかの関数になると筆者は言う。そんな単純な問題でもないような気がするんだが…。いずれにしろ筆者の主張は簡単に言えば「ハイテク軍備に集中的に税金を投入しろ」という事なのである。軍事関係の人が自分たちの得意分野に予算をもっと寄越せと主張するのはありがちではあるのだが…。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou29903.html

2023年12月23日

読書状況 読み終わった [2023年12月21日]
カテゴリ その他

AI技術の発達により将来、世界は中共系のAI商品/サービスを使うのか、アメリカ系のAI商品/サービスを使うかの二者択一になるだろうと筆者は予測。この二者択一はAIではないがSNSの世界で既に顕著になりつつあるように思える。中国系の動画特化ソーシャルネットワークであるTikTokを使うか、X(旧twitter)を使うか、ということである。アメリカ側は中国製を閉め出し、中国もそうしている。筆者はこれらを「ソフトウェアカーテン」と呼ぶ。本書の内容はAIだけにとどまらない。アメリカは宇宙軍の創設に見られるように宇宙空間での各国の覇権争いに本腰を入れ始めた。人工衛星を破壊する兵器や敵国の人工衛星と地上基地の間の交信を傍受するスパイ衛星まである。人工衛星を衛星破壊兵器で破壊したとき出るゴミがスペースデブリで、中国が出すデブリが問題化してるのも有名。またウクライナ戦争で一躍脚光を浴びているドローン兵器についても触れている。日本の陸上自衛隊はドローンの運用実績が他の国に比べて10年以上遅れているという。それに比してオーストラリア陸軍は「世界で最も兵員あたりの空中無人機の実装数が多い陸軍となる」と宣言しているらしい。自衛隊はとりあえずオーストラリア陸軍を見習うべしと筆者はいう。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou29902.html

2023年12月20日

読書状況 読み終わった [2023年12月19日]
カテゴリ その他

ジェフリーディーヴァーの短編集。原題は「TWISTED」つまり「ひねり」。原題の通り収められている16の短編はほぼすべてどんでん返しのある意外性に満ちた作品となっている。ディーヴァーというとリンカーンライムシリーズなどの長編で有名だが、短編でもその手腕はいかんなく発揮され、長編作品を読んだことがない読者でも楽しめる。その意味では本書をディーヴァーの入門編と見なしても可。ただし表題作の「クリスマス・プレゼント」はリンカーンライムシリーズの短編なのでシリーズを読んでおいた方が背景が理解できるだろう。一読して心に残った作品は「ビューティフル」と「宛名のないカード」だ。前者はストーカーに悩まされるスーパーモデルがとった究極のストーカー撃退法、後者は妻の不倫を疑う夫が妻の怪しい行動から一枚のメッセージの何も書かれていないクリスマスカードを見つけ、不倫相手に送るものだと推定していき…という話だ。短編のような長さだと読者を欺こうとする作者の意図がすぐに察知できてしまうと思いきや意外にわからないもので簡単にだまされることが多かった。もっとも半分読んだあたりでネタがわかってしまうものもあるにはあったが。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou19110.html

2023年12月17日

読書状況 読み終わった [2023年12月17日]
カテゴリ ミステリ

本書で描かれるノモンハン事件とは昭和14(1939)年5月から9月にかけて、満州西北部の国境付近で、当時ソ連の実効支配化にあった外蒙(モンゴル)と日本との国境紛争の事である。日本側が国境線と考えるハルハ河を渡って、ノモンハン付近に進出した外蒙軍と満州国軍との衝突から、日ソ両軍の戦闘に拡大し、日本側は壊滅的な打撃を受けた。第一線将兵の敢闘にもかかわらず、上級司令部の指揮、指導が拙劣であったため、戦史的にも珍しい死傷率32%という完敗ぶりである。上級司令部とはここでは東京・三宅坂上の参謀本部作戦課と満州国・新京の関東軍作戦課である。この二つの司令部の温度差と行き違いに現場の兵隊が振り回されるのである。イケイケの関東軍と関東軍を本来指揮統制すべき三宅坂上が微妙に関東軍に遠慮し慮ったために優柔不断な命令しか出せず、無能な指揮官を更迭せずやりたいように放置してしまった。そしてソ連軍の軍事力を過小評価し、自分たちのそれを過大評価した結果起こる悲劇である。過去に日露戦争をなんとか勝利で終えたとき、日本人は不思議なくらいリアリズムを失ってしまった。要らざる精神主義の謳歌と強要。航空戦力や機械化戦力に大きな期待を持たず、白兵による奇襲先制を極度に重視し、積極主義の心構えを強制する。突撃戦法による先手必勝の信念を鼓吹したのである。それらの精神論は極論すれば全て兵器の性能と物量の不足をカバーするためにとくに強調されたものである。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou27608.html

2023年12月13日

読書状況 読み終わった [2023年12月11日]
カテゴリ その他

戦前日本に関して一般に抱かれているイメージは、昭和11年の2・26事件により軍ファシズムの時代が到来し、その軍ファシズムの手によって,翌12年7月7日の盧溝橋事件が惹き起こされた、というものである。その大前提となっているのは、まず国内政治においてファシズムが民主主義を押しつぶし、国民は戦争に向かう日本政府の動向について全く情報を与えられず、戦争を予期し反対しようとした人々には、反対行動はもとより言論の自由も全く与えられなかった、という歴史認識である。しかし本書を読むと昭和12年7月の日中戦争直前の日本では、軍ファシズムも自由主義も社会民主主義もすべて数年前と比べようもなく、力を増していると筆者は述べている。つまり政治が活性化していて、民主化の頂点で日中戦争が起こり、その戦争が民主化を圧殺していったという論なのだ。その詳しい真偽は本書を読んでもらうしかないが、従来の通説でない新しい視点だと思った。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28003.html

2023年11月28日

読書状況 読み終わった [2023年11月28日]
カテゴリ その他

中央公論の歴史本第20巻。時代は幕末~明治にかけて。幕府制廃止・王政復古のクーデターが決行され、倒幕派の指導者たちが、たんなる宮廷クーデターにとどまらず、ついに暴力変革にもちこむことに成功したとき、はじめて天皇政権樹立の道が開かれた。旧幕府軍と「天皇」という「玉(ぎょく)」を手にした新政府軍が鳥羽・伏見で激突。旗色が悪くなったとみた慶喜は大阪城を脱出。錦の御旗をひるがえした新政府軍は東征の途にのぼった。諸道では向かうところ敵なく、かつての参勤交代の大名行列と大差ない早さで江戸に進んだ。しかしその裏で相楽総三らの赤報隊事件などもあった。西郷隆盛と勝海舟の談判と江戸無血開城。この談判により江戸城は平和のうちに官軍に明け渡された。慶喜は水戸に去って謹慎した。残党は東北に逃れ、榎本武揚や土方歳三らは函館五稜郭にこもり籠城戦を展開。この戦いで旧幕府軍の敗北が決定的となり内乱が終結。江戸を東京と改め、明治と改元し地租改正や廃藩置県といった諸制度の改革に着手していく。その後、岩倉遣欧使節団が海外に行くと国内居残り組の西郷らと意見が対立、征韓論を唱えた西郷に対し大久保利通は真っ向から対立。徳望一世をおおう大西郷が東京を去りまさに維新政権最大の危機は、大久保・伊藤・大隈らの一致結束によってみごとに乗り切られた。西郷はその後士族に担ぎ上げられ西南戦争を起こすも政府軍に敗れ自害する。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou33601.html

2023年11月22日

読書状況 読み終わった [2023年11月21日]
カテゴリ その他

1978年(昭和53年)4月、カッパ・ノベルスより書下ろし刊行された『三毛猫ホームズの推理』は、記念すべき三毛猫ホームズ・シリーズの第一作である。ただそれだけでなく、赤川次郎をベスト・セラー作家に押し上げ、作家専業となるきっかけを作ったという意味で、彼の著作のなかでも、とりわけ重要な作品だ。愛蔵版のインタビューの中で著者の「幽霊列車」が小説の新人賞を受賞したとき、選考委員からこの作品が「日本に珍しいユーモア推理」と評されたそうだ。なぜそういわれたのか。当人はそんなつもりはまるでなかった。しかし、あまり深刻なものは嫌いだし、緻密すぎる謎解き小説は不得手であるため、明るいタッチで読めることを心がけ、トリックを一つ放り込んで、あとは軽快なスリラーのつもりで書いたらいいんじゃないかというぐらいの気持ちは持っていたという。「幽霊列車」は読んでいないが本作のスタイルもまさにそんな感じである。まず人がたくさん死ぬわりに深刻ではない。キャラの性格が明るい。猫がかわいい。これらの要素に加え本格ミステリとしての骨組みも失っておらず、謎解き小説としても十分に楽しめる。三毛猫シリーズの中でも一番有名な作品であり、著者のミステリ的手腕がいかんなく発揮された傑作であるといえる。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou202.html

2023年11月5日

読書状況 読み終わった [2023年11月5日]
カテゴリ ミステリ

半藤昭和史三部作・完結編。昭和史を世界史のなかでどう位置付けるか。それは日本が第二次世界大戦・太平洋戦争を通して世界からどう見られていたかを考えると見えてくる。日独伊三国同盟を結ぶに至る経緯と、日ソ中立条約のソ連側からの急な破棄などの章を読むと世界史は一筋縄ではいかず各国の思惑が入り乱れ重層的な様相を呈す。日本はアメリカと同様にヨーロッパから見ると辺境の地、世界が欧州大戦に目が向いている間に中国に進出、領土を切り取って最初のうちは押せ押せでよかったがやがて泥沼の日中戦争に突入。英仏が常に気にしてるのはソ連とドイツの動きで、そのからみで日本が世界史の表舞台に出てくる。ドイツの考えではごく簡単にいえば日本と同盟を組んでソ連を西と東から挟み撃ちにする形にしたかったのだろう。しかしさしものドイツもナポレオン軍と同様、冬将軍には勝てなったようだ。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou27607.html

2023年10月28日

読書状況 読み終わった [2023年10月28日]
カテゴリ その他

副題は「日中戦争はなぜ防げなかったのか」。1874年の台湾出兵に始まり、1937年の日中戦争勃発までの約60年の日本の政治体制の変遷を、「立憲」化と「帝国」化という二つのファクターを軸に考え、軍部の暴走を抑えられず、日中戦争に突入していった負の歴史を振り返りながら、なぜ止められなかったのかを明らかにしていく。現代の常識的観点からすれば、言うまでもなく「帝国」化は悲しむべきことであり、「立憲」化は喜ぶべきことである。しかしこの二つの歩みがつねに同時進行していたわけではなく、「立憲」が強い時には「帝国」は抑制され、「帝国」が強い時には「立憲」は息をひそめる、という形になっているのではないかと筆者は主張する。(例外的時期もある、らしい。)そして「内に立憲、外に帝国」のような両者の併存を意味する言葉で日本近代史を理解するのは間違っている、という。そして1.戦争が起こらない限り、デモクラシーを鎮圧することはできない、2.一旦戦争が起こってしまえば、戦争が終わるまで、デモクラシーには出番がない。この二つを前提にすると、問題は次の一点に絞られてくる。すなわち、デモクラシーが戦争を止めるにはどうしたらいいのか。そしてその問いに対する答えを一言で要約すれば、デモクラシー勢力が政権についていれば、戦争を止めることができる、ということである。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou28002.html

2023年10月18日

読書状況 読み終わった [2023年10月17日]
カテゴリ その他

中央公論の歴史本第19巻。時代は幕末。ペリーが来航し、各国が日本に対し開国を迫る中で、幕政担当者は開国をすべきかなかなか答えが出せないでいた。巷では水戸藩を理論的支柱として尊王攘夷思想が吹き荒れ、異人斬りといった蛮行まで起こる始末。時の大老井伊直弼は安政の大獄で尊王攘夷思想を持つ吉田松陰、橋本左内、梅田雲浜、頼三樹三郎等を死罪とした。そして将軍の相続人として徳川慶福を押し、家定の後継として将軍にし慶福は14代将軍徳川家茂となった。天皇の勅許をまたずに勝手に条約を結んだ井伊直弼は、その後水戸藩脱藩志士に暗殺される。その後公武合体を目指し、和宮を降嫁させるも家茂は死亡、15代将軍に一橋慶喜が抜擢される。生麦事件からの薩英戦争、四国艦隊下関砲撃事件により薩摩と長州は倒幕に傾き、坂本龍馬が薩長同盟を結ぶ。龍馬は近江屋で暗殺され、その後大政奉還となる。
詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou33501.html

2023年10月11日

読書状況 読み終わった [2023年10月11日]
カテゴリ その他

2020年このミス1位。あの横山秀夫の「ノースライト」を抑えて堂々の一位。期待して読んでみた。全部で4つの事件があり、霊媒探偵を名乗る城塚翡翠とミステリ作家の香月史郎のコンビが難事件に挑んでいく。城塚翡翠は霊能力で犯人がわかるため、最初に犯人がわかってからそれを論理的に説明し、証拠を探すのが香月の役目である。香月は警察から協力を求められ、香月から協力を求められたのが城塚翡翠、みたいな立ち位置である。霊媒という時点でオカルトだからミステリと言えないんじゃないかと思うかもしれないが、全然そんなことはない。むしろ本格ミステリに近いかもしれない。ネタバレになるのであまり書けないが最終話で今までの推理が一気に反転するという事になる。最初キャラ萌え路線かと思われた城塚翡翠も、香月史郎までも意外性が出てくるので途中で投げ出さず最後まで読んだ方が良いかもしれない。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou33401.html

2023年9月25日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2023年9月24日]
カテゴリ ミステリ
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