米中「AI大戦」

著者 :
  • 並木書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890633814

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  • AI技術の発達により将来、世界は中共系のAI商品/サービスを使うのか、アメリカ系のAI商品/サービスを使うかの二者択一になるだろうと筆者は予測。この二者択一はAIではないがSNSの世界で既に顕著になりつつあるように思える。中国系の動画特化ソーシャルネットワークであるTikTokを使うか、X(旧twitter)を使うか、ということである。アメリカ側は中国製を閉め出し、中国もそうしている。筆者はこれらを「ソフトウェアカーテン」と呼ぶ。本書の内容はAIだけにとどまらない。アメリカは宇宙軍の創設に見られるように宇宙空間での各国の覇権争いに本腰を入れ始めた。人工衛星を破壊する兵器や敵国の人工衛星と地上基地の間の交信を傍受するスパイ衛星まである。人工衛星を衛星破壊兵器で破壊したとき出るゴミがスペースデブリで、中国が出すデブリが問題化してるのも有名。またウクライナ戦争で一躍脚光を浴びているドローン兵器についても触れている。日本の陸上自衛隊はドローンの運用実績が他の国に比べて10年以上遅れているという。それに比してオーストラリア陸軍は「世界で最も兵員あたりの空中無人機の実装数が多い陸軍となる」と宣言しているらしい。自衛隊はとりあえずオーストラリア陸軍を見習うべしと筆者はいう。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou29902.html

  • AIそのものというよりも、AIを含めた近未来の軍事・技術動向がテーマ。一番面白かったのは、工業技術には蓄積が必要であり、中国がいくら設計図を盗んだり、リバースエンジニアリングをしてもアメリカのレベルには到底追いつかないということ。そこで、AIの出番ということになっている模様。AIによる攪乱戦では、インフラが整っていない中露側が有利になるが、そうした中で良いのは、紙、有線といったアナログ手法。対中では機雷による封鎖に希望を見出している。また、筆者は自衛隊の無人化の遅れ(特に陸自)や、従来戦の延長(グレーゾーン)で尖閣問題を捉えている日本政府にも手厳しい。

  • AIや宇宙の軍事面での活用というところにあまり今まで関心がなかったので、この本の内容は結構衝撃的だった。
    中国軍が発展しているように見せても、航空機のエンジンといった経験工学的な面でアメリカをひっくり返すことがほぼ不可能であり、アメリカと対抗可能な分野としてAIに力を入れていること、宇宙軍の話、無人機の開発と運用、無生物であるAIの特性とAIへの西洋人の一神教の神の投影、セルロースの栄養としての活用の可能性と社会変革、尖閣有事のシナリオなど、面白かった。

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著者プロフィール

昭和35年、長野市生まれ。陸上自衛隊に2年勤務したのち、神奈川大学英語英文科卒、東京工業大学博士前期課程(社会工学専攻)修了を経て、作家・評論家に。既著に『米中「AI大戦」』(並木書房)、『アメリカ大統領戦記』(2冊、草思社)、『「日本陸海軍」失敗の本質』『新訳 孫子』(PHP文庫)、『封鎖戦――中国を機雷で隔離せよ!』『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』『亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか』(徳間書店)などがある。北海道函館市に居住。

「2022年 『ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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