山妣〈下〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.67
  • (21)
  • (30)
  • (46)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 273
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101323237

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • どんよりとした読後感

  • ホラーではない坂東さん作品。
    上巻と違い読んだ後のスッキリ感がありました。
    住んだ事もない雪国の情景をイメージし易いのは、さすが坂東さん!という感じでした。
    後半に畳み掛けるように色んな事件が起きてハラハラドキドキでした。
    最後、妙や大八郎のその後や涼之助の今後も気にはなるところですが。。叶わぬ事が寂しいです。

  • 直木賞受賞作ですが、この頃の坂東眞砂子は素晴らしい。時は明治。山里に現れた美貌の役者涼之助と村の暮らしに飽きた地主の家の嫁。2人の許されぬ密通と涼之助の肉体の秘密。誰が悪いのでもない。あるのは人間の業と因果。そして壮絶なラストへ。娯楽小説とは違う哀しみを孕んだ傑作伝奇小説。一気に読ませます

  • ボリュームたっぷりなのに全然重圧な気がしない、それくらい内容が深くグッとさせる話だった、が、ラストの熊との格闘はどうなんだろう?救われなさ過ぎてせっかくいろんなことに未来が開けていたはずなのにすべてを閉ざさせらこの結末。
    山妣という生き様が鮮烈な印象を受けたがその周りの登場人物はあまりにスカスカ過ぎた。熊が魔物になっちゃった当たりは萎えてしまった。むしろ熊が暴走しなかったらこの物語は締められなかったかもしれないが....
    いろいろと後味が悪いながらも読む事に引き込ませてくれた話だった。

  •  坂東眞砂子 著「山妣〈上〉」503ページ、「山妣〈下〉」342ページ、2000.1発行(文庫)、一息に読了しました。山妣(やまんば ではなく やまはは)の生き方に感動、深い余韻に襲われています。昔遊女の君香、金を盗み、鉱山主をやむなく殺して山の岩穴で過ごし始めてから25年は山妣のいさ。村人には「やまんば」であり、娘ふゆ(てる)と異父弟涼之助(ふたなり:男でも女でもない)には「やまはは」。いさの心にぐいぐい引き込まれてしまいました。久しぶりに読書らしい読書をした気がします!
     坂東眞砂子「山妣(やまはは)下巻」、342頁、2000.1文庫。狼吠山の岩穴に25年住む山妣のいさ。娘ふゆ(てる)と息子涼之助への素朴な愛が感動の世界へ誘います。

  • 再読。
    登場人物ほとんど皆因果応報、しでかしたことの報いを受けているのである意味すっきり読み終わる。
    器も世界も狭い男たちに比べて、転がって強かに生きる女たちがエネルギッシュ。
    涼之助とふゆのあるがままを見守って二人が戻ろうと戻るまいとなおも帰るべき場所でい続けるいさの姿は母の原点なのかな。優しさや慈しみだけじゃない、もっと何か包み込むように広くて大きくて、ただそこにあるもの。
    雪解けの先の新しい未来へ踏み出した妙と大八郎は、欲や妬みで自滅する道とは違う道を歩んでほしい。

  • 山の中に逃げ込んだ涼之助は、扇水から受け取ったお守りの弾丸によって、里の人びとから山姥と恐れられるいさが、自分の母であることを知ります。さらに、鍵蔵の妻・てるが、いさの長女・ふゆであり、鍵蔵の世話になっている渡りマタギの喜助がいさを捨てた文助であることることが明らかになります。

    思いがけない運命のもとに置かれていたことを知った涼之助は茫然としますが、そこへてるを奪われた嫉妬に狂う鍵蔵の手が迫ります。鍵蔵は次々と殺人を重ねて転落していき、いさは山の中へ戻っていきます。涼之助は、そんな自分自身の運命を見据え、ひとり里を下っていきます。

    後半の展開は少し詰め込みすぎのような印象もありますが、おもしろく読めました。土俗的な舞台と物語構造に吸い込まれていくような、不思議な読書体験でした。

  • 特に最初のほうの東北弁がひどく、なんて読みにくいんだ、ということで、何度も本を置くはめになった一冊。
    ようやく我慢して読み進めたら、意外に面白かった。
    山妣が山妣になるまで、なってからの山での暮らしぶりの描写が特に。

  • 里での物語は雪に閉ざされた山で終息する。その舞台で明らかにされる「妣」の姿が悲痛。いやあ、力のある作品でした。

全29件中 1 - 10件を表示

坂東真砂子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×