- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101334295
作品紹介・あらすじ
知り合った頃、この人と恋人になりたいと思った。恋人になったら、結婚したいと思った。夫婦になった今、次はどうすればいいのだろう-。士郎と結子は結婚七年。平穏な生活で仲は悪くない、だけど何か足りない。ところが思いがけない事による別居生活が始まって、ふたりは…。離れて、恋をして、再び問う夫婦の意味。結婚に悩めるあなたの胸に、静かな波紋を呼び起こす長篇小説。
感想・レビュー・書評
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感想
夫婦はどうやって相手に向き合うか。子供はコミットメントを確保する手段。それがないなら。2人で取り組むことを見つける。だけど適度に離れて。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不倫ものだけどドロドロとした感じはなく、こんな夫婦世の中にありふれてるんだろうなぁ…自分も数年後には同じ境遇になってもおかしくないなぁと思わされました。
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デザイン会社に勤めている妻は後輩に負け子供が欲しいと思い夫に話す
そして準備をしてその日が来た日にマンションの上の部屋が火事が起こって別居生活が始まった
そして始まる別居生活はお互いの生活がまた戻るまでの短期間のはずだったがそれまでに始まり出会う人々
ダブル不倫
飲み屋の女の子の子供の父親を探すことに
女の子に行きつけの飲み屋の働き口を紹介
いろいろなことを考え出会い道を歩く
子供がいなくても着いていかないと決めていたことでも着いていく
夫婦とは人それぞれ違っていろんな道がある -
バラバラで登場した人物達が徐々に交わり合うのが面白かった。
地上波ドラマの不倫ものとは違って、不倫した側に派手な天罰がくだることはなく、大袈裟な修羅場もない。
お互い、パートナーのちょっとした反応の違和感に気づくけれど深くは踏み入れない……それが妙に現実的でちょっと怖かった。
離れて暮らすのが快適なのは、いつでも戻れる場所があるからなんだろうな。と思った。夫婦の距離感は難しい。
特に子無しの夫婦は、我が子を育てるといったような共通の目的が無い。お互い向かい合っていたらぶつかるし、背中合わせでも別々の方向を向いていたら簡単に離れていってしまう。
良い夫婦関係を保つためには、その他の人間関係と同じで少なからず努力が必要だと思う。
この小説を読んで、夫婦って何だろう、とますます答えが見つからなくなりそうになったけれど、白黒はっきりするのは無理なんだろうなぁ。 -
夫婦の在り方を模索する2人から派生し、それぞれの登場人物からの視点で物語が展開していく。
バラバラに思えたそれぞれが交わり、結局最後は落ち着くとこに落ち着いて。
人生って真っ当ではないけど、何が正しいのか分かんないけど、まぁそれでもいいんじゃないかなって。男女の欲望をシンプルに、それでいていやらしくなく、的確に表現してくれる唯川恵さんがやっぱり好き。 -
子どもがいない夫婦の士郎と結子。上階の住人の失火で賃貸の部屋が水浸しになったことから別居生活になり、それぞれ浮気をスタートさせる。
という受け入れられない人は受け入れられない設定かも。
個人的には、不倫なんて他人が口を挟むことではないので構わないが、綺麗事にするのは好きでない派、かな(出会うタイミングが違ったのーとかね失笑)。そういう意味ではこの夫婦がどういう状態にあってなぜ浮気(不倫)を実行してしまうのかはわりと自然で理解できる気がする(とは言え冷静に見たら、まぁ、アレだけど)。
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素晴らしい本だった。ほんとに。大人になってから読んでよかった。そもそも大人になってよかった。子どもの頃は自分の力ではどうすることもできないことがあまりに多かった。自分に関係する様々なことが自分の知らないところで決まっていたり、気付いたときにはもう動き出していたりした。無力さを噛み締めたし、私の人生の主導権をなぜか当然のように握り続ける大人への憎しみで震えた。だから昔に戻りたいとか、若い頃が懐かしいとか、そういう感情を持ったことは正直ほとんどない。生きていて傷付いたり、苦しくなったり、朝起き上がれないほどしんどかったりするのは若い頃も今も同じ。でも大人になってからそういう思いを感じることは滅多になくなった。自分のことは自分で決められる。考えて、迷って、答えが出ないなあと悩んで、それでもずっと考えて、今できるベストの選択を、たとえ涙まみれの選択であったとしても、言い訳まみれの選択であったとしても、自分の力で、下すことができる。それって本当に自由で、幸福で、素晴らしいことだと思う。
複数の男女が織りなす恋愛アンソロジー。それぞれ性格も、年齢も、職業も、バックグラウンドも違うのに、読んでいるとなぜか、彼ら全員にぴったりと感情が寄り添ってしまう。登場人物の中で、だいたい一人くらいは、こいつ性格悪いなとか、いやさすがにそれはないでしょとか、冷ややかな茶々を入れたくなる人物がいそうなものだけれど、この作品には誰一人としていなかった。「隣の奥さん」としてサブキャラ的に登場する許子さえも、その言動の一つ一つに、わかるなあと苦笑いを浮かべてしまう。
この本をもっと若い頃、例えば学生時代なんかに読んでいたらどう感じただろうと考えてみる。今以上にあらゆるジャンルの読み物を手当たり次第に読み漁っていたし、今以上にものごとに白黒つけたくて仕方なかったし、そもそも白黒つけることが可能だと頑なに信じていた若い頃に読んでいたら、こんな大人の恋愛の複雑怪奇な云々を理解できるはずもなく、内容は記憶にとどまらなかったに違いない。登場人物たちがはっきりとした決断を下すことがなさすぎて、イライラして途中で読むのをやめたかもしれない。わたしも、大人になったんだなあと思った。どうにもならないこと、考えても仕方ないこと、手放すしかないこと、戻れないこと、諦めるほかないこと。小さな絶望に躓いては起き上がって、さすがにもう無理かもと涙してはやっぱり前を向くことを選んで、そういうことを何度も何度も数え切れないくらい繰り返して、なんとかここまで来たんだなあと思った。
今は35歳だけれど、もっと年齢を重ねたあとでまた読み返したい。そのときは何を感じるんだろう。 -
★購入済み★