なごり歌 (新潮文庫 し 61-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101337722

感想・レビュー・書評

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  • 人間ってのも まぁ なかなか
    いいもんだね
    と 思わせてもらえる
    朱川湊人さん

    少し前に マリ共和国の友達と話していて
    彼が 初めて日本に来た10数年ほど前に
    初めて新幹線に乗ることがあったそうな
    その時に 新幹線の駅のホームで待っていた時
    目の前を ものすごい速さで何かが通過していった
    横にいた連れ合いに 今のは 何ですか?
    と聞き、それが 自分の乗るモノだと教えられたときに
    あぁ それには 僕は乗ることができない
    と 強く思ったそうです
    人の常識、常態を飛び越えてしまったものに対する
    畏怖を 我々はもっと感知すべきかも知れない

    私たちは 誰でも そういう畏怖の心を
    持ち合わせているはず
    朱川さんの小説を読んでいると
    そういう気持ちを取り戻せるような気がします

  • 朱川湊人の一番得意なボールをど真ん中に真っ向勝負で投げてきたような短編集。舞台は昭和中期から後期のマンモス団地。団地があこがれだった時代から古くさくなる半世紀弱。

    それぞれの物語が少しずつリンクして、短編集を読み終わったら全体の俯瞰構造がうっすら見え出すという構成を仕組み。

    ひとつひとつの短編に題名のとおり「名残」を惜しむ登場人物たちと、その時々の歌が織り込まれて、うっすらとしたホラー(いやノスタルジー範疇の幻想)をちりばめて…。

    特に我々みたいな世代にとってはドンピシャ。そういや、スーパーカーブームとデレクアンドドミノスってほぼ同じ年代の流行やったんやねぇ。とか、新しい発見もあったりで…。

    これは朱川湊人の代表作なんじゃないかな?
    「何事もゆっくり、ゆっくりでいいんですよ」まさしく至言!

  • 昭和48年、県境に建つ巨大な虹ヶ本団地に住む人々。
    空から落ちて来た雷獣、ゆうらりと飛ぶ模型飛行機、ゆったりと時間が流れます。
    懐かしく切ない連作短編集です。

  • 短編全て良かった。久々に良い小説を読んだと感動した。そのうちドラマになりそうだ。

著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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