- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101347011
感想・レビュー・書評
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昭和22年に山本周五郎の担当編集になってから、彼が急逝されるまでの20年間における著者と山本周五郎との交友録。
以前読んだ山本周五郎自身の日記と比べ、他者からの姿が描かれているので、違った視点となり面白かった。
・馬込文士村で「曲軒」とあだ名されていた通りの傍から見るとへそ曲がりな言動
・知り合いを「急襲」して呑みや旅行に行くエピソード
等といった一連の流れを読むと、山本周五郎氏が如何に人間ぎらいではなく、己の言動を曲げるのが苦手な一種のはにかみやさんだったかということがありありと浮かび上がってくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
難しい人であったことは確かだな。私は付き合えない。木村久邇典さんだからこそ20年も付き合いとおせたのだろう。人を突き放し評価する、古い時代というのもあるだろうが。ただ正直ではあったのだと思いました。プライドはくそ高いけど。
「人間は必ず死ぬ」「どんな人間だって必ず死ぬ。人間は死ぬまでしきゃ生きられない。だからこそ、ひとは与えられた人生を、最期の最期まで、精一杯に生きなければならないんだ」というシーンが「本書で最も感動的」と書かれている解説の数ページ前にある、きん夫人の「どうしてもお酒を飲まずにいられなかったんだと思います。そう、一種の自殺ね。四十年来、小説を書きつづけてきた毒素が、体中にたまってしまった、小説の自家中毒だなんていってましたけど、今ではあたしにはやっぱり自殺に思える」という感想に、複雑な思いにさせられた。
しかしあと2年で彼の作品が青空文庫に出るのかと思うと感慨深い。