王国〈その3〉ひみつの花園 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359366

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  • 一緒に暮らし始めようとする真一郎を雫石は拒む。
    真一郎が亡き友人の母親を想い続けていることに雫石は気づいていたし、彼との暮らしを想像できなかった。

    恋愛とは別の種類の愛情を持っていること気づき、楓に告げる雫石。おばあさんから届いた翡翠を台湾で直し、気分も徐々に治り、雫石と楓と片岡さんの生活は満ちていく。

    ---------------------------------------------

    二人の人間関係に問題が起こったり、繋がりが消えてしまうとき、どちらか一方のせいでそういう結果になってしまうことはない。そう思っている。
    雫石と真一郎の関係もそう。どちらかだけがわるいわけじゃない。けれど、関係をおわらせるときの雫石の態度はあまりにひどかったように思う。
    真一郎の暮らしがうまく想像できなくて乗り気じゃなくなってきたなら、それだけを伝えればいいのに、「前に好きだった友達のお母さんをまだ好きなんでしょ。そんな状態で同棲始めないで。あの人のところに行きなよ。わたしはあの人のすべてがいけ好かないけどね!」みたいに言い放つ雫石はいったいどうなんだろう。

    自分から別れ話するときは自分が悪者になればいいのに、思ったこと言いまくった挙句、フラれた……と落ち込んで悲劇のヒロインのようになる雫石にはまったく共感できないなあ。

    傷心状態で向かった台湾では、日本と台湾を比較するような考え方ばっかりしてて、山と都会の暮らしを比べていたと思ったら今度は日本と台湾ですか……という感じ。
    何かを評価するとき、わざわざ別の何かと比較する必要はないんじゃないかな。それぞれの良さを認めればいいだけ。

    自分の人生だから何をしてもいいと思う。けれど、自分以外の人に対してのリスペクトを忘れちゃいけない。ダメ、絶対。

    主人公のことを嫌いになってしまった。その4へ続いていいのかわからないけど続く。

  • やっぱり一巻だなあ。

  • その1のときの新鮮さがない気がしました。でもこのお話の雰囲気は壊れていないので、このまま次も読みたいです。

  • 状況設定への違和感が最後まで響いて、言葉が伝わってこなかった。 大切なことを語っているんだろうが。

  • 再読。ハードカバーで読んだときの印象は、時を経ても変わらなかった。作者の、世の中に対する否定的な感情が、色濃く反映されすぎているのだと思う。山を降りた雫石がみたもの。かんじたこと。生まれたての子供のような無垢な魂。
    大きな展開はなく、ただ観念的なモノローグが続くだけの物語には閉塞感を感じる。わたしは割と熱烈なばななファンだと思うけど、「王国」だけはどうしても肌馴染みが悪いのだ。苦手。

著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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